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溶かして固めるだけのチョコ作り!【モノづくりログ移行記事】

【Notice】この記事はモノづくりログ(https://media.dmm-make.com/)のサービス終了に伴って、そこに投稿した記事を移行したものです。一部加筆修正もございます。

本記事は2018/07/21にモノづくりログに投稿したものです。元記事リンク

最初に

こんにちは。 真空成型機が楽しくていつも何ができるか考えています。
※真空成型機に関してはこちらを参照してください

今回はバレンタインなのでチョコを作ります!
チョコ作りと聞いて僕が思い出すのはこれです。
作ろう!きのこの山
僕が子供の頃は、こういう遊び心のあるやつではなく、標準のきのこの山が8つくらい一度に作れるキットでした。
子供心にプチ量産の喜びと、均一なきのこの中に自分で遊びを入れていく楽しさを学んだ記憶があります。

普段工作でいろんなものを作るので、チョコを溶かして固めるくらい簡単なはずです。
きのこの山キットの思い出とともに型から作って、一口サイズのオリジナルチョコをプチ量産します。

チョコの型の型を作る

まずはチョコの型の型を作ります。
型の型……。チョコまで遠いなと思われるかもしれませんが、最新の機材を力を借りればすぐです。
作業場所はDMM.make AKIBA(以下AKIBA)です

チョコのモデルはAKIBAのテックスタッフ三谷さんです。
三谷さんは自分の顔の3Dスキャンデータで様々な実験を行っており、AKIBAの施設のあちこちに造形物たちが潜んでいます。

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↑三谷さんです。とても美しい頭をしています。
チョコにする人物としてこれ以上の人はいない美しい形です。
チョコにしない理由がなかったので、今回チョコにすることにしました。
三谷さんからもらった頭部データを元に作業スタートです。

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まずは型を作っていきます。
もらった頭部のデータから顔の全面だけ切り取ります。
(編集ソフトは僕はRhinocerosを使っています)

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↑この写真みたいなシチュエーションSF感あって好きです。わかりますか?

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3Dプリンターで出力。いっぱい作りした。
12個、ダースです。

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レーザーカッターで型のベースを作って、出力したミニ顔を並べてくっつけます。
これでチョコの型の型、完成です。

写真では見にくいですが、個々の三谷さんの上下左右計4箇所に0.8mm程度の空気穴を開けてます。

チョコの型を作る

ここからはTechShopでの作業です。
真空成型機使っていきます!

※2020/06/13追記:Tech Shopは2020/02/29を持って閉店してしまいました

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今回は0.5mm厚のPET素材を使います。食品にもやや安心。
可能なら食品向きのプラスチックでもっと耐熱性のあるもの方がよりよいかもしれません。
でもチョコならPETで十分だと思います。

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余計な部分をカッターで切って、型のできあがり。
調子に乗っていっぱい作ってしまいました……。誰かいりますか?

チョコの型としてはシリコンを使う方法もあります。
シリコンのほうがおそらく細かいところまで再現できると思うのですが、真空成型のメリットは型自体の量産ですね。
いっぱい作れます!

チョコを作る

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ここからはお家での作業。作った型は食器用洗剤で洗ってから使います。
チョコを湯煎で溶かします。
ホワイトチョコの方が好みなのでホワイトチョコを使います。

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放射温度計(触らずに物体の温度を計れる温度計、便利)で計ったら80℃くらいなので、PETが溶けたりするような温度ではない。安全を確認。
型に流し込みます。
(後述しますが、これが間違いです)

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最初は溶けた溶けた〜と思ったのですが、思いのほかうまく型に流れない。
そしてだんだんチョコがダマっぽくなってしまっている。

それでもなんとか型に詰めて、粗熱取れたら冷凍庫に30分ほどぶち込みました。
一枚の板チョコから上記の数作れました。合計22三谷。

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使ったチョコはこれです。愛だナ、ガーナ。

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冷凍庫から取り出して、型をパンパンしてチョコを外す。
型にバターとかサラダ油とか離型剤になるものを塗る必要あるかなと思ったけど、必要なかった。

しかし、あれ、なんか素手で触ったらすぐに溶ける……。

反省

調べてみると手の温度ですぐ溶けるのはテンパリングができてないからではないか、という説が出てきた。
(もしかしたら選んだチョコとが元々溶けやすいものだったかもしれないけど)
80℃は温め過ぎのようです。ダマになってる時点で間違ってる気が少ししていました。
50℃くらい→20℃後半→30℃前半とやるのがテンパリングらしい。まだ良くわかっていない。

放射温度計があれば温度をある程度計ることはできるけど、熱湯ではないお湯で溶かして、冷まして、またちょっとだけ温める。
めっちゃめんどくさい……。
今回の全行程のうちチョコを溶かし固めるのは、ラストの20%くらいだったのだけれど、ここが一番きつかった。
他の工程は楽しくできたのに……。

最近は手作りチョコに対して「溶かして固めただけ」とか「元の品質より劣化したチョコ」という批判をする人もいるけど、いざやってみると大変な作業でした。
確かに品質は元より下がるかもしれないけど、愛がないとこの作業はできない。
もらう機会があれば、全力で感謝するしかない。

三谷さんが食べる

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できあがったチョコを保冷剤でくるんでさっそく三谷さんへ。
並べてみると面影があります。ありますよね?

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実食。
三谷さんが食べているという状況でもあり、三谷さんが食べられているという状況でもあります。わかりますか?

自分の顔を食べるって普通に生きててなかなかない出来事ですよね。
しかし結果は普通に食べられるとのこと。
そりゃそうか。溶けやすい以外は普通のチョコですもんね。

溶けやすいがゆえにせっかくの顔チョコなのにじっくり手に持って観察できなかったり、舌の上で顔の形を楽しむことができないというのはやはり失敗なので、またリベンジしたいと思います。

チョコを溶かして固める以外は難しくないのでみなさんもぜひチャレンジしてみてください〜

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