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塩の専売 -漁村にて-

大分のとある漁村に、塩屋があった。
正確には、「酒類」「塩」「切手類」の看板が掲げられ、店の前には「たばこ」の自販機があった。
中を少し覗くと、花を売っているように見受けられた。塩も棚に並んでおり、規格商品らしかった。

なぜ、塩なのか。

よくローソンが「酒・たばこ」の看板を出しているが、依存性のある嗜好品、という括りで理解することができる。
逆に言えばこのお店はコンビニのような役割を果たしているというわけで、切手類もコンビニで取り扱いがあるのでここで取り扱いがあることにも必然性を感じる。

なぜ、塩なのか。

まず真っ先に思い当たるのは、塩漬けによる保存である。
近くにはスーパーなど見当たらない。一番近くても徒歩1時間弱、車なら10分だが、(私の感覚で言えば、)かなり遠い。

そういえば、津留の家には駐車場が無いが、中津浦の、大きい道に面した家には駐車場があった。
中津浦にしても、道が細くて車など通れない。どこに駐車しているのか?港の共同駐車場?
それともまさか、車を持っていない??津留ならある程度体力があれば徒歩でも問題無さそうだが、中津浦ではかなり厳しそう。そういえば明らかに車のための道をずんずん歩いているおじさんがいたな。ウォーキングとは違うように見えた。
んっ、、?車よりむしろ、船か、、????
船で移動してるの?船って、クルマってこと?
(追記:先生によると自転車が感覚的には近いらしい。なるほど)

塩には専売の歴史がある。
日清戦争後、財政確保と、欧米資本による市場独占の防止を理由として、明治38(1905)年から始まったらしい。
まずそれがなぜなのか。

専売化の条件は、「市場が寡占化されていること、定量で販売しやすいこと、そして、技術力により商品に差が出ないことの3つ。例えば原料や製法の違いにより多様な種類がある酒類などと違い、当時のたばこ(紙巻たばこ)も塩も、その品質や味に大きな差はなかった。」
という記述に行き当たった。
(https://www.newsweekjapan.jp/nippon/museum/2016/09/176674_1.phpから引用。)

市場が寡占化されていること、が少し分かりにくいが、塩は生産地が限られる、ということらしい。もう一つの専売商品であったたばこも、有力企業数社による寡占状態が形成されていた。

この記述に従うならば、専売化の条件に塩漬け云々、つまり「需要」とか「生活必需性」といった要素は入り込まない。じっさいたばこは生活必需品ではない。まあ需要は高いが。

ていうか専売ってなんだ?

…もしかすると、鶏と卵を間違ったかもしれない。

つまり、話はこうだ。

わたしは
塩大事→漁村のコンビニ(仮)でも取り扱い→専売もされてた
と考えたのだが、そうではなく、
塩は専売に向く→専売化→漁村のとある建物がその役割を請け負った
……
これが実際なのかもしれない。

この点についても先生に聞いてみたところ、たばこの専売が解除されたのは最近のことで、3.40年前はたばこを売っていないコンビニもあったほどらしい。
であれば、築80年の民家があったりするこの漁村で、たばこ専売の許可を得ていた地元有力者(と先生は言った)の店がその名残を見せているという説は、納得感をもって迎え入れることができる。


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