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植物観察

天気が良く寒い日は、家に籠りつつも自然と触れ合う。
つまり、植物の観察をしている。


繊細で異彩を放つ「マドカズラ」は、どこに居ても目にちらつくから、今日はこの際じっくりと観察しようと思った。
小粋な園芸店で見ることの多いマドカズラの正式名称は「モンステラ・フリードリヒスターリー」と独裁者のような名前だ。
「モンステラ」としてお目にかかる者たちよりも、マドカズラは輪をかけて怪物じみた顔をしている(”モンステラ”はラテン語で”怪物”を意味する)。
怪物の中でも、とくに死神の形相を醸し出す彼は、死神には似合わない朝や昼にその顔を輝かせる。
マドカズラは複雑な葉の形をしており、新芽が開きにくくなることが多く、それを見つけると自分の手でやさしく開く手伝いをすると良いらしい。


モンステラ属と同じくサトイモ科繋がりで、「ディフェンバキア・ホワイトマジック」が目に留まった。
なぜサトイモ科は、こうもファンタジーに片足を突っ込んだような名前になるのか?

このホワイトマジックとは付き合いが長く、寒さの脅威や、主の不手際を乗り越え、根も太く逞しく育っている。
見た目はサトイモ科でありながら、モンステラたちのようにうねりはなく、直立した樹木に近い見た目である。
だがよく見れば、新芽の開き方や幹の節の付き方は非常に似ており、なんだか故郷を忘れていない様子で私まで嬉しくなった。
役目の終えた葉っぱが、枯れきってもちぎれ落ちることは無く、執拗に幹にまとわり付いていることがある。
自分の手が空いた時は、その「垢すり」の手伝いをしている。


植物と触れ合うと必然的そして機能的に、自分は世話人や召使いになる。
だからいくらか謙虚な心を取り戻せる。
召使いなどといったヒエラルキー的解釈は意に介さず、手や目が非常に上手く機能しているように思えるし、何より役目を全うしているような誇りを感じる。


葉先を切り取ると、
怪物や死神のような顔つきが露になる。
サトイモ科の中でも
端正な色付きをする
ディフェンバキア・ホワイトマジック。

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