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みんな同じ

緑地を散歩していると、コアオハナムグリが居た。
カナブンやコガネムシとよく似た甲虫で、花の中によく潜っている。
私がまだ無垢で幼かった頃、ハナムグリはもちろん、カナブンやカブトムシを捕まえに行ったことを思い出した。
またあの様な思い出を作りたいと思った数秒後には、彼は私の握り拳の中に拘束され、5分後には円柱のガラス瓶の"監獄"に閉じ込められていた。
監獄はよく日の当たる所にあり、栄養豊富なバナナも供給されている。


次の日の朝、私は彼より早起きだった。
例の緑地を日毎に早く巡礼した後、彼の観察をする事にした。

さすがバイオリズムというべきか、監獄の床(寝床を兼ねた土が敷かれてある)に煌びやかな朝陽が差し込んだその瞬間に、土からむっくりと這い出てきた。
床に染みている水分を舐めた後、触覚を掃除し、部屋の中をうろつき始めた。
うろつくと行っても目的はあるようで、いつも太陽の差す方向へ身体を向けていた。
残念ながら大空へは翔けないと絶望すると、決まりが悪そうに自分のベッドルームにそそくさと潜っていった。
見ると、食材の皿にしている小さな銀色のコーヒーメジャーの下を寝室にし、入り口には、日よけ代わりに繊維質の腐葉土を被せていた。

次は、食材をどの様に食べるかを見てみたい。
これを観察し終えた時に、彼の"釈放日"が訪れるだろう。


コアオハナムグリが教えてくれたが、やはり動物も人もみんな同じだ。
お金持ち、貧乏人、社長、アルバイターと関わらず、自分にとっての太陽へ向けて毎日歩いているし、疲れた時に潜りたくなるのは自分で手がけた寝床だ。

ステイタス=自分と勘違いせず、平等感をもって生きていきたい。


休憩中のコアオハナムグリ。

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