旅行記①
自宅を出て大宮駅に着いた
自分にとって旅の始まりはいつも大宮からだ。
あまり急ぐ必要もないが、豆の木のモニュメントを横目に有人改札へ向かう。青春18きっぷは日付の入ったはんこを押してもらわないことには単なる紙切れなのだから。
はんこを押してくれた駅員さんから「いってらっしゃいませ」と言葉を頂きこちらもお礼を言って改札をくぐる。
第1走者
大宮駅 5:54発
上野東京ライン熱海行き
ここから2時間半の乗車だ。2時間半である。よくよく読者の皆さんも考えて頂きたい。2時間半もあれば我々は東京から新大阪まで行けるし、大宮からであれば八戸くらいは行けてしまう。
なんならこの電車を東京で乗り捨て、東海道新幹線に乗り換えれば昼前には目的地である博多には着いてしまうのだ。
その道のりを僕は2日間もかけて地道に進んでゆくのだ。
思わず笑ってしまうほどにのんびりした旅である。
大宮操駅が通り過ぎていく。貨物列車が数本。丸々としたタンク車を連ねた石油輸送列車と、大小さまざま、色とりどりのコンテナを積み込んだコンテナ貨物が止まっている。彼らもこれから遥か遠くを目指すに違いない。お互いに頑張ろうと内心勝手に励まし合う。
さいたま新都心、浦和と過ぎて列車は速度を上げていく。川口駅のカーブを過ぎれば赤羽はすぐそこ。東京都に入る。これで一つ県境を越えたが、これから越える県境の数は片手では数え切れないし、両手でも数えることはできない……
続く
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