30代腐女子が出産から推しの映像化までの数年をインターネットの海に散骨する話

7年前、待望の第一子を出産した。
流産後なかなかできなかったから、そりゃもう嬉しくて嬉しくて。両家共に初孫だったから、皆も喜んでくれた。
でもすぐ、慣れない新生児育児に疲弊していった。とにかく寝てくれない。特に20時〜3時位はノンストップで泣き続ける。おっぱい→オムツ→トントンで気がつけば夜が明けて。産後でボロボロな身体を回復させるヒマもなかった。友人より少しだけ早い出産だったから相談できる相手もいなくて、どんどん追い詰められて。一番支えになって欲しかった夫はDINKS時代と変わらない生活を続けた。大切にして欲しい人に軽んじられて、どんどん、体力と共に自尊心が目減りしていった。
割と大恋愛で結婚して、周りから理想のカップルだのおしどり夫婦だの言われたけど、まさに産後クライシスを地でいく感じ。数ヶ月で私は、出勤する夫の背中をみて、二度と帰らなければいいのに、と思うまでになった。
辛かった。子供は可愛かったけど、それ以上に、死なせちゃいけない、この子が今日を生きられるかは全て私の判断にかかっている、という強迫観念が強くて、育児を楽しむなんてできなかった。
住んでるエリアも保育園激戦で、電車を乗り継ぎ無認可園もみて回って。こんなとこに預けたくないよって泣きながら帰ったこともあったな…。何とか希望の認可園に内定が出て、仕事復帰して。夫との関係は変わらずだったけど、仕事が私を支えてくれた。いざとなれば娘と2人、私の稼ぎで食べていこうと思えた。あの時ほど、仕事を続けて良かったと思ったことなかった。
どうしても娘に兄弟を作ってやりたくて、更にもう1人我が子を抱っこしたいという思いが抑えられなくて。夫との関係は改善の兆しも無かったけど幸運なことに息子を授かって。夜泣き覚悟で産んだのに、息子は拍子抜けするくらいよく寝るよく飲むニコニコ赤子。同じ親から産まれてこんなに違うのか‼︎と衝撃を受けた。意外なことに夫は、娘の時とは比べ物にならない位、息子のお世話をしてくれた。ミルクを持って連れ出してくれて私が自由になれる時間をくれたし、寝かしつけもやってくれた。その頃から、私の夫への信頼が少しずつ、ほんっとに少しずつだけど回復していった気がする。
そんなタイミングで、見てしまったんですよ。おっさんずラブを。
私が胃腸炎で寝込んで、夫には子供達を連れて実家に避難してもらって。寝てるしかないからアマプラで適当にドラマでも流すか〜って。途中でどうせ寝るわ、と思いながら1話再生して。いやもう一気見。なんなら6話のラスト5分とか何回かリピートした。クッション抱えて、文字通り「キャーッッ‼︎」「もう‼︎春田も牧くんもバカっっ‼︎バカァーっっ‼︎」って叫びながら布団の上でゴロゴロ転がった。その場でDVDBOXと主題歌とファンブックをポチって、Twitter追っかけて、皆さんのレビューblogを読みまくった。通勤はひたすら主題歌聞いてファンブックやレビューを読んで、ずーっと2人のこと考えてた。こんな衝動久しぶり過ぎて、自分でも怖かった。で、思い出したんだよね。そーいや私、腐女子だったんじゃん、って。高校大学時代は結構な量のBL読んでたじゃん、って。久々にBL読んでみるかって思い立って、会社近くの本屋さんに行って。事前情報ほぼ無しで、平積みの表紙とかpopとかを頼りに何冊か買って帰った。電子書籍サイトも登録して数冊買ってみて。その時のラインナップが、ヨネダコウ「どうしても触れたくない」市川けい「ブルースカイコンプレックス」キヅナツキ 「ギヴン 」中村明日美子「同級生」(全て敬称略)ってすごくないですか。運命としかいいようがない。数ある作品の中からこの名作を選んだ鼻のききっぷり、警察犬もビックリなレベル。思えばあの本屋さんのBL棚も神だったな。ありがとうありがとう。帰って子供達を寝かしつけてページをめくったあの瞬間から、私の人生がもう一度始まった。妻でも母でもない、私自身の人生が。
前置き長くなったけど、私の最推し作品ギヴンのアニメ化ね。発表された時は「そうなんだー見よー」くらいのテンションだったのまじで。当日も起きられたら起きよう、と思ってて、まぁ起きられたんでね、見るかと。真っ暗なリビングでテレビつけて、ノイタミナのあのオープニング(女の子のあれです)をみた瞬間の、あの背中のザワザワを、どう表現したらいいんだろう。生きよう、って思ったんだよね。もうずっとずっと、その日を生きるのに精一杯で、先のことなんて考えられてなかった。未来が来た、と思った。
子供達は未来だし希望。当たり前。でもそれは夫にとって、我々の両親にとって、ひいては社会全体にとって、何より何より、彼ら自身にとって、のものだと思っていて。推しの映像化は、私だけの未来だった。ありがたかった。最終回を迎えた今でも、あの時感じた未来の中にいて、すごく幸せです。感謝しかない。これからも働いて納税して育児して推しに課金して、暮らしていこうと思う。
喉の渇きを自覚する前に水分を摂りましょう、って毎年夏に聞くじゃないですか。あれ心も同じ。渇く前に、動かなくなってしまう前に、潤いを、躍動を。
長々書いたけど、ま、推しが今日も今日とてカッコいい‼︎ってだけで生きていけるよね★って話です‼︎春樹さんの幸せを見届けるために2020まで生き抜くよっ‼︎ご静聴ありがとうございましたっ‼︎

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