[アニメ]神様になった日
賛否が大きく分かれる作品となりましたね。
「面白くない」という人の「面白くない理由」も序盤で観るのをやめた人と、最後まで観た人で大きく変わることになるであろう作品です。
私の感想としては「面白くなるポテンシャルは大いにあったけど、制作側のいろいろな選択誤りが重なって不快感の方が強い作品になった」という感じです。
まず、序盤で観るのをやめた人の感想に多いであろう「笑えない」「寒い」という意見はごもっともです。
序盤は笑えないコメディみたいな作品でしたよね。
私自身、マージャンのことがさっぱりわからないのでマージャン回とかは完全に置き去りにされてましたね...
一方で私はラーメンにはこだわりを持っている人間なので、ラーメン回に関しては激しく賛同できる点も多く楽しめました。(ここも人によって賛否が分かれる)
原作者である麻枝准さんは多彩な方なのでいろいろな知識が豊富なんだと思うのですが、今回は視聴者の知識量を無視して突っ走ったような内容が多かったような気がします。
さて、麻枝准さんの作品に関してはCharlotteに観られたように日常がガラガラと崩れて重い話になだれ込んでいくというのも作風のひとつで、神様になった日もそのような作品でした。
この「日常が崩れるところ」まで観た人は最後まで鑑賞した人が多いのかなと思いますが、最後まで観た人で面白くないという意見は「シリアスな話なのにおちゃらけを挟むのが笑えない」「主人公(というか花江夏樹さんの演技)がとにかくうざい」というものも多く、私も同じ印象を持ちました。
「設定が力任せでガバガバ」という意見についても同意なのですが、こういう部分はある程度目をつぶらないとフィクションを楽しめないので許容範囲かなとも思います。
最近はシリアスで重い話なのにちょっとした笑いを入れるのって割とスタンダードになりつつある気がします。
鬼滅の刃とかもそういうノリの部分がありましたよね。
ただ、これってすごく高度なテクニックで匙加減が難しい手法だと思うんです。
特に、人の生き死になどがかかっているシーンでのおちゃらけは失敗すると全然笑えないどころか視聴者は引いてしまうし、場違いなツッコミを入れているのを見ると「うるさい、黙れ」とすら思います。
そういうのが繰り返されると原作者の人としての良心や感性を疑うレベルにまでなってしまいます...
神様になった日はこの匙加減が成功しているとは到底思えませんでした。
この辺りは人生経験が豊富になればなるほど楽しめなくなる作りだとも思っていて、目先の感情にスイッチをすぐに切り替えられる若い子には刺さる部分もあるかもしれません。
もう一点、制作側の問題ですがこれからの作品は花江夏樹さんの起用は慎重に判断すべきですね。
ランウェイで笑って(感想)などでも感じたのですが、鬼滅の刃の大ヒットにより花江夏樹さんの演技が竈門炭治郎にしか聞こえないシーンが多いんです。
声優としてはとてもお上手なのですが演技の幅が広い方ではないのでどうしても同じような声になるのでそのように聞こえて、本作でシリアスシーンの叫びやツッコみなどは「うるさい、邪魔をするな」という感情しか湧かなかったんです...
花江夏樹さん自身に問題があるわけではなく、完全に起用側や演出の問題だと思います。
売れっ子ゆえの弊害か、この先の花江夏樹さんにはどうしても竈門炭治郎のイメージが付きまとって、叫ぶ、ツッコむの演技はどうしても竈門炭治郎になっちゃうんです...
制作側が「とりあえず今人気だから」くらいの軽い気持ちで起用していたら簡単に作品をぶち壊してしまう可能性すらあるのです。
これからの作品で花江夏樹さんを起用する場合は、作品に対する適正と本当に彼の演技が必要な作品かという慎重な見極めが必要かなと思います。
不思議な少女が現れて日常が変わってゆくけど、難病をきっかけに日常が崩れてゆくという着眼点は素晴らしいと思いました。
同じテーマで「悪ふざけが過ぎない」作品を作ってくれたらぜひ観てみたいです。
内容だけなら★1というくらいの気持ちなのですが、作画は素晴らしかったです!
★★☆☆☆(2/5点)