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【詩】冬の忘れ物

車ほどの大きさの流氷が
渚に取り残されたまま

静かに波が洗う

春が来たと感じる

海面を埋め尽くした
白き氷原は消え

遠い記憶のように

青き海が広がる

風の冷たさも
春のもので

***

冬の忘れ物が

波打ち際に
あちこちに

凍れる季節
その姿は
輝くほど

それはそれは
果てしなく
美しく

春が来て
嬉しい

冬が去って
寂しい