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つばき こぼれ話と思い出と

むかし、つばきの版画を作ったときの話。ある冬の日、私は疲れ切って外を歩いていました、
多分悩み事があったのだと覚えています。
悩みが尽きず、とぼとぼ歩いていたのだと思います。
そんな時、目に入ってきたのが、まっ赤な椿。
私は、はっと、我に帰りました。そしてそこで思い起こしたのが
「莫妄想(妄想する莫かれ)」という禅の言葉でした。
なぜそんな禅語が出てきたのか、それは、ある方から頂いた
本に載っていたのを覚えていたからでしょう。(その方には少年時代、
大変お世話になりました)そして、後日つばきの絵を描きました。
墨と絵の具を使って大きな紙に。

そして、版画にするにあたり、スキャナーのサイズを超えていたので、
写真を撮って、その写真をもとに版を起こし印刷しました。
ガリ版(謄写版)の手法で印刷したので、半紙に蝋を引いて、
その下に紙やすりを敷き、ガリガリと目打ちで引っ掻いて版を作り、
インクには油を使いました。
そしてできた版画をマルシェで売り出したのですが、全く売れず…
何ヶ月か経ってもうやめようかな…と思っていたある日、
なんと売れたのです。他人から聞けばなんてことはない話かもしれない、
でも自分にとっては初めて自分の作品が売れた、売れたぞ!とよろこびびに湧いたのを今でも思い出します。海外の方でした、「You are first!」と伝えたら、
向こうもとても喜んでくれました。(↓売れたものと同じ版で刷ったもの)


 さて、そんなある日私は不穏な記事を目にします。
「油を含んだ紙や布は発火する恐れがあります、気をつけてください」
なにっ!ということは…うちにあるあの版画たちは発火しちゃうのか!?
なんとかせねばっ!と完全にパニックになった私は早く処分せねばならないと思い作品を破いてしまいます。ですが当然大切な作品を破いたわけですからショックが
半端ではない…(泣)そうして、知人に相談したり、検索したり… 結局地域の
消防署にまで確認して問題ないことがわかりました。
 いやはや、慌てるとろくなことがない、とはよく言ったものです。
ただひとつだけ勉強になったのは、天ぷら揚げたときは後始末に気をつけよう、とかですかね…
 しかし、やぶった版画があまりにも忍びなかっので、すてる前に
やぶれた版画をセロテープで貼り直し、トレースし、
すでに開発していた新たな孔版印刷の技法で「復刻」したのです。
そこだけは我ながら機転が効いていたとおもいます。


下はオリジナルのトートバッグです。よければページをのぞいてみてください♪


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