Cluster用のVRアバターを1日で作るまで
「VRChat、知らない人から話しかけられてなんか怖そう」
VR(Virtual Reality)については、私が今の仕事をするようになった2014年、ちょうどOculus RiftのDK2がリリースされた年ということで、取材に行ったいろいろなイベントで、VRを体験することがあった。当時は一部の開発者が盛り上がっていただけだったが、その後、コンシューマ向けのVR機器や、VRを扱ったテーマパークができるなど、VRはだんだんと普及して行くとともに、私は相対的にVRに触れていない側の人間になっていき、少しずつ離れてしまった。
バーチャルYouTuberもはじめの頃は少し見ていたが、熱狂的なファンが生まれるほどの状況になると、まったく追うことが不可能になる。
VRとは、私にとって「ま〜別に私がやらなくていいかな」と思う程度の存在であったのだ。
しかし昨今、オンライン上での活動に注目が集まるなか、仕事も大きく状況が変わりそうだし、何より自分の誕生祭をどうしようという悩みがあって、さまざまなオンライン表現について試してみたくなっている。
ということで、オンライン勉強会に参加したり、(自分で主催するまでのエネルギーは持てないものの)オンラインミートアップのお手伝いなどをしたりしつつある。
そのなかで、VRイベントプラットフォームのClusterも「何かしら参加してみたいな〜」という興味を持っていた。
実は、仕事で携わっているイベントで、2016年にCluster(当時はFictbox社)の加藤さんに登壇してもらって、印象に残っていた。また、友人が転職したということもあって、何かしら使ってみたい気持ちもあった。
3月5日には、アップデートを発表する「Clusterカンファレンス」というイベントがある。そもそも新機能が気になるし、Clusterも触ってみたい、友人とみね氏も重要人物として出るということで、ぜひ参加しようと思っていた。
そして、Twitterで「バーチャル空間勉強会」という勉強会も見かけた。
先日お会いしたばかりのお知り合いのおかしょいさんが運営で参加するということ、発表テーマもエンジニアに刺さるものならなんでもいいとのことで、だったらぜひ登壇側に回ろうと思った。
そして私は、3月3日の15時頃にイベントに申し込んだ。
そのなかで、上記connpassの募集ページのアイキャッチ画像にもある、主催者のういろう氏のアイコンが気になった。この、粗いドットのような、ブロックを組み合わせたようなVRアバターの表現は、アイコンの雰囲気を表しつつも、シンプルで、とてもかわいらしいと思ったのだ。
Clusterの利用には必ずしもアバターを用意する必要はない。だが、せっかく登壇するなら衣装を用意したいのが人間の欲求である。
「ういろう氏のようなアバターならもしかしたら自分も作れるかも?」と、私は調査を進めた。ちなみに私はモデリングはほとんど経験がない(やや馴染みがあるとすれば、建築学生だったのでCADソフトを触ったことがあるというくらい)。オープンソースの3DモデリングソフトであるところのBlenderも、今回調べてみるまで有料ソフトだと思っていたのだ。
転機となったのはこちらの記事。
MagicVoxelという、ボクセル(ピクセルの3次元表現のこと)を、ドットを打つように直感的に操作して立体をつくるツールを使い、モデリングをして、その後アバターにしていくというブログ。基本的にはこのブログに沿って行った。
そして上記ブログでは、最終成果物はVRChat用のFBX形式のアバターであるけれども、ClusterではVRM形式のファイルにする必要がある。そこで、最後の仕上げは以下のブログを参考にした。
具体的な手順は上記2つのブログを見てもらうとして、やったことを時系列で挙げてみる。
・3月3日22時頃:iPadのドット絵エディタDottableでラフ描き
お絵かきアプリでもよいが、実際にボクセルでモデリングすることを考えると、ドット絵でラフを描くことでイメージしやすくなった。
・3月3日23時台:MagicVoxelでモデリング
MagicVoxel、ダウンロードファイルも3.5MB、アプリも軽量で非常にサクサク。モデリングも大変楽しいしかわいい。
・3月4日0時台:Blenderで人間として動かせるようにする(リギング)
一番難しい作業。ブログと少しUIが変わっていて、意図したようにモデルが配置されてくれず、見様見真似で動かすことに……。
・3月4日1時台:Unityでごにょごにょ
たぶん5年前くらいに自分のPCにUnityをインストールして、あまりに自分のSSDの容量を逼迫するので消した思い出がある。まずインストールに時間がかかり、その後、なんかうまくいかないところがあって、3時くらいまで格闘し、さすがに諦めて寝ることに。
・3月4日12時台:UnityでVRMファイルに書き出し成功!→Clusterにアップロード
なぜ成功したか分からないものの……何度か同じ工程を繰り返し、3度目の正直でようやく意図したエクスポートができた。髪の毛がなんか変だけど、かわいい。
Clusterにアバターをアップしてみると、特にエラーもなくスムーズに成功。容量も非常に軽量なアバターのようだ。やっぱり髪の毛が変だけれどもw
ということで、Clusterでのイベントに参加を決めて、24時間しないうちに、VRアバターの制作とClusterへの登録を済ませることができたのだ。我ながら速が高い。
ここまでやると、もっと欲が出るのが人間だ。Clusterで実戦投入する前に、どこかでこのアバターを動かしてみたい。そしてせっかくなら、VTuber的な動画が撮れないか? とまで思っている。
一つのイベントが人間をここまで駆り立てる。よい機会にめぐりあえて幸運だなと思うのだった。
お読みいただきありがとうございました! よかったらブログものぞいてみてください😊 https://kondoyuko.hatenablog.com/