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【パラ陸上 | あれこれ #5】 世界選手権 2019 ドバイ 一人で盛り上がる企画 その4

※今回の台風で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 パラ陸上世界選手権が2019年11月7日から15日の日程で、UAEのドバイで開催されます。大会の熱戦はNHKで放送予定ですので、皆さんご覧ください!現地での応援も良いかもしれませんね!

 選手の皆さんは、今回の大会では、2020年の東京パラに向け、少しでも高い順位を目指す必要があるわけですが、どれくらいの記録が求められるのか、過去の大会の結果を振り返って、目安を示しておきたいと思います。大会を見る場合にも参考になるのではないかと思います。

 前回大会は2017年にイギリスのロンドンで開催されました。前回大会の日本選手の競技は、下記に一部まとまっています。ご覧ください。

 というわけで今回、勝手に取り上げる選手は、

 高桑早生選手 T64クラス・100m 走幅跳

 日本パラ陸上競技連盟HPに公開されている、 「ドバイ2019 世界パラ陸上競技選手権大会 日本代表選手一覧」の選考種目には、個人種目として100mと走幅跳とありますので今回は、この2種目についてみてみたいと思います。ユニバーサルリレーの記載もありますが、別途取り上げたいと思います。

 高桑早生選手は、2009年の東京アジアユースパラゲームズで国際大会に初めて参加し、100mと走幅跳で優勝しました。この大会には、今回の世界パラ陸上に出場予定選手の内、澤田優蘭選手(T12)生馬知季選手(T54)鈴木朋樹選手(T54)も出場していました。高桑選手はその後、2010年広州アジアパラ競技大会(100mと走幅跳)、2012年ロンドンパラリンピックと大会のステージを上げていきます。初めてのパラリンピックである、ロンドンパラリンピックでは、100m、200m、走幅跳の3種目に出場しています。100mと200mでは予選ラウンドを踏まえて決勝に進出し、入賞を果たしました(100mと200m共に7位)。国内大会では、予選ラウンドはほとんどありませんが、国際大会では予選から決勝に向けて最適にパフォーマンスを発揮していく必要があります。その後、2013年にはリヨン世界パラ陸上(フランス):100m6位/200m6位/走幅跳4位、2014年仁川アジアパラ競技大会(韓国):100m3位(この100mは義足選手と義手選手のミックスで実施されましたが、公式記録のリアクションタイムを見返すと高桑選手が0.190のところ、その他の選手は0.2以上でした。義足選手の方が、義手選手よりリアクションタイムが良かったということで、これは高桑選手の特徴の一つであると思われます=「スタートが良い」)、2015年ドーハ世界パラ陸上(カタール):100m&200m予選敗退/走幅跳3位(100m&200mでのレベルが高まってきていて初めて決勝に進めない経験となりましたが、走幅跳ではシニアの国際大会で初めてメダル獲得となりました。前回大会では佐藤真海選手がメダルを獲得していたことから日本人選手が2大会連続メダルを獲得した種目となりました)、2016年リオデジャネイロパラリンピック(ブラジル):100m8位/200m7位/走幅跳5位(100m&200mで前年の雪辱を果たしましたが予選から決勝にかけて記録が落ちていることは今後の課題でもあります!)、2017年ロンドン世界パラ陸上(イギリス):100m&200m予選敗退/走幅跳5位、2018年インドネシアアジアパラ競技大会:100はオープンレース/走幅跳5位、と毎年国際競技大会に出場しています。100m、200m、走幅跳、いずれも近年レベルが高くなってきていますが、メダル獲得を目指して頑張って欲しいと(勝手に)思っています。

 このクラスにはどのような選手が出場しているのでしょうか。日本パラ陸上競技連盟のHPから確認できる、「分かりやすいクラス分け(こちら)」から下記を抜粋したいと思います。

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高桑早生選手が出場予定のT64クラス100mと走幅跳は、T64クラスの他、T44クラス・T62クラスの選手も出場することができることになっています(誰でも検索できるページから確認することができます)。

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 さて、これらを前提に、2013年以降の世界パラ陸上3大会パラリンピック1大会の合計4大会の女子T64 100mと走幅跳の結果を整理して、上位4位までを表にしてみたいと思います。

 まずT64 女子 100mを整理してみました。

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 上記の大会で2013年から2016年にかけて3大会連続して優勝しているのは、オランダのヴァン レイン(van RHIJN Marlou;1991年10月22日生選手です。前回大会は、イギリスのカムリッシュ(KAMLISH Sophie;1996年8月20日生選手に敗れて2位でした。

 前回大会の100m決勝には、2013年以降の国際大会上位4位以内経験者がほぼ揃う顔ぶれでした。上記の2名以外にも、トリニダード・トバゴのカイン(Nyoshia Cain;1994年11月15日生;T44)選手、オランダのヴァン ガンシェヴィンクル(van GANSEWINKEL Marlene;1995年3月11日生;T64)選手、ドイツのベンスーザン(BENSUSAN Irmgard;1991年1月24日生;T44)選手です。

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 フランスのマリー(LE FUR Marie-Amelie;1988年9月26日生;T64)選手は現在、産休中です。

 オランダのヴァン ガンシェヴィンクル(van GANSEWINKEL Marlene;1995年3月11日生;T64)選手は今年、12秒66(+0.5)で走り、ドイツのベンスーザン(BENSUSAN Irmgard;1991年1月24日生;T44)選手は、12秒72(+0.5)で走っており、非常にスプリント力を高めています。

 アメリカのアヤンベック(Femita Ayanbeku;1992年6月30日生;T64)選手は、2019年のランキングで3位であり、前回大会では決勝進出しましたが、フライングにて失格となり、今回にかける思いもあるでしょう。

 2019年ランキング4位の記録は、カナダのマリッサ(Marissa Papaconstantinou;1999年10月13日生;T64)選手であり、13秒15(-0.6)まで記録を伸ばしています。前回大会は6位であり、今大会は上位に入ってくる可能性があります。

 その他、オランダのフルール ヨング(Jong Fleur;1995年12月17日生;T62)選手が13秒16(+1.0)、アメリカのビートリッツ ハーツ(Beatriz Hatz;2000年10月7日生;T64)選手が13秒17(+1.6)を記録しており、ハーツ選手のような10台の選手も上位に入ってくることも考えられます。

 2019年のT44、T62、T64クラスの女子100mのランキングを統合すると上位4名は下記のようになります。

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 メダルを獲得するためには13秒0台もしくは12秒9台が必要であり決勝に進出するためにも、13秒1台が求められるでしょう。非常に混戦になってきました。

 続いて、T64 女子 走幅跳を整理してみました。

 このクラスは、実は、世界パラ陸上では、2013年のリヨン大会から3大会連続して日本人選手がメダルを獲得している種目であります!今大会でもメダルを期待しましょう!!

 2013年リヨン大会 佐藤真海選手

 2015年ドーハ大会 高桑早生選手

 2017年ロンドン大会 中西麻耶選手

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 これまでこのクラスの走幅跳をリードしてきた、フランスのマリー(LE FUR Marie-Amelie;1988年9月26日生;T64)選手は産休のため出場が予定されていません。2018年のヨーロッパ選手権(ベルリン)で、このクラスの世界記録、6m01(-0.1)を記録しています。

 オランダのフルール ヨング(Jong Fleur;1995年12月17日生;T62)が100mの記録を伸ばすと同時に、走幅跳の記録も伸ばしています。2019年9月14日に5m72(+1.2)を記録しています。8月のパリGPでは5m21(+0.4)だった記録がさらに伸びています。

 イギリスのステフ リード(Stef Reid;1984年10月26日生;T64)選手は、各大会で安定した跳躍を見せており、今大会でも上位に入ってくると考えられます。6月のレバークーゼンでは5m38(+1.9)を跳躍しており、バランスの取れた跳躍動作を行うことができる選手です。前回大会の優勝者です。

 オランダのヴァン ガンシェヴィンクル(van GANSEWINKEL Marlene;1995年3月11日生;T64)選手は、100m12秒66(+0.5)のスピードを活かした力強い跳躍を行います。レバークーゼンでは、5m51(-0.1)を跳躍しており、スピードと跳躍動作が合致するとさらに高いパフォーマンスを行う可能性があると思われます。前回大会は2位でした。

 前回大会3位は、中西麻耶選手でした!

 今年のジャパンパラ陸上(長居)にも出場していた、オーストラリアのサラ ウォルシュ(WALSH Sarah;1998年7月14日生;T64)選手は、9月22日に5m34(+1.6)を記録しており、前回ロンドン大会、走幅跳4位からさらに上位を目指しているでしょう。

 アメリカのビートリッツ ハーツ(Beatriz Hatz;2000年10月7日生;T64)選手は、5m14(±0.0)を記録しており、今大会でどのようなパフォーマンスが発揮されるか楽しみです。

 2019年のT44、T62、T64クラスの女子 走幅跳のランキングを統合すると上位4名は下記のようになります。

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 これらのことから、メダルを獲得するためには、5m40程度の記録が求められるのではないかと思われます。これはリオデジャネイロパラリンピックと同水準であり、もしかしたら、ベスト8に残るために、4m90〜5m00程度の記録が必要になるかもしれません。これは過去最高の競技水準であると言えます(エントリー者数は8名以上になるでしょう)。したがって、最初の3本までに5m00を目指して跳躍し試合を優位に進めて欲しいと(勝手に)思います!

 がんばれーーーーーーー高桑早生選手!!

 つづく

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