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私達が今の若者にすべきこと、できることとは?

日本とアジアを往来していると、痛切に感じることがある。
ビジネス目線が根底にある話ではあるが、日々、日本の中と外での意識ギャップは広がる一方である。
今、日本の外でビジネスの一線で活躍している人は、皆一様に、衰退し沈没しつつある日本の未来を心配し、憂いている。
今の日本人にとって日本の外はアウェーである。
長年、そのアウェーで戦ってきた日本人から日本の中を見ると、余りにも温室で恵まれすぎたホームに見えるのである。
このホームがいつまでも維持されるのであればまだしも、日増しに、加速度的に厳しい風が吹き始めている。
アジアがこれだけ元気でも、国内だけを見ていると、経済の先行きもますます不安が募る一方だろう。


若者、とりわけ学生の世界はどうだろうか?
少子化の流れの中、減り続ける学生の数。
大学も顧客としての学生が減少する中で、顧客確保のために自大学のPRに必死だ。
併せて、将来の顧客の囲い込みのために小中一貫制度も増える一方である。
学生を甘やかすしくみがエスカレートするばかり。
東大が先導しかけた秋入学への移行など、大学の仕組み全体を未来に向けて改革する話などは、足並みがそろわない。


今の若者は社会に出てもすぐに辞める。
就職間無しの離職率の高さの原因を、他人や環境のせいにする風潮も相変わらず。
会社が悪いとか、上司が合わないとか。
就職先とのマッチングに殆どの問題あり、とのもっともらしい評論家の無責任な意見が目立つ。
こんな対症療法で解決されるはずもなく、日本のぬるま湯環境に浸かったまま日々は過ぎていく。
いましばらく、過去の積み上げの上にのっかっている日本のホームは存在するだろう。


だが、すでに日本がアジアに出て、戦う時代は始まっている。
若者には、その現実を見せてあげないといけない。
感じさせてあげないといけない。


先日、シンガポールで20代から完全アウェーのアジアで活動してきた素晴らしい女性社長に会った。
彼女の話を聞くと、アジアの外で働くという事は実に実りが大きい。
彼女がアジアに飛び出したのは20年近く前。
今のアジアよりももっと、ビジネスがやりにくかったはずだ。
しかも、女性である。
今の日本は、若者に対して過保護に過保護に対応している。
大人たちは、過保護にしているとは余り気づいていないだろう。
なぜなら、日本国内しか知らない人たちだから。
基準が日本の国内の今だから。


外で活躍している人たちは、皆同じ考えだ。


「早く、日本の外に出てきなさい。
 早く自立して、海外で活躍して、そして日本の衰退を防がねば」


こんな事を日々思う中で、若者がアジアに出るにしても、私が、一番心配していることは何か。
一言で言うと、“今の日本”で育った若者がアジアで戦うことは難しい。


私の言う“今の日本”とは、バブル絶頂の頃の最高を極めた時点から落ち目を迎え、不安視されている日本のことではない。
東南アジアの国々と比べた遥かに豊かな日本である。
ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーなど日本とこんな近くにあるこれらの国はいまだに大半が貧困生活である。
今の日本はこれらの国と比べても豊か過ぎるし便利すぎるし清潔すぎるのだ。
少なくともアジアで働くためには、日本の昔を知って欲しいと思う。
全く同じではない。
しかし、東南アジアのこれらの国々には、私が子供の頃の田舎の風景や空気、生活環境がある。


今の若者が知らない時代の、知らない環境。
日本の昔は、少し努力すれば、色んなことを知ることができる。
今の若者は、自分達の環境がどれだけ恵まれているかを知ることが必要だと思っている。

(本記事は、ブログ「近藤昇の会社は社会の入り口だ」に、2012年12月14日に投稿したものです。)

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