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ベトナムブーム、AI時代の課題解決の鍵は『人間力』にあり

先日、日本経済新聞に「ベトナム人介護人材、日本へ1万人」という記事が大々的に掲載されました。
ベトナムにおける活動が長い私たちからしてみれば大きな驚きはありません。
しかし、先々の憂いが増したのが正直な気持ちです。今、ベトナム人人材はベトナム国内は言うまでもなく、日本国内でも奪い合いの様相。
ベトナム国内では、進出ラッシュの中、通訳、IT、営業など日本語を理解する、または日本語が話せるベトナム人は引っ張りだこ。
一方、日本に来るベトナム人は、技能実習生、留学生ともに近年増加を続けています。
日本への留学生数は、昨年、ついに中国人に次いで第2位となりました。
技能実習生の行き先は農業、水産業などが定着してきており、今後はサービス業への展開が必至の状況です。私たちが、ベトナムに日本語教育とIT教育の専門学校を設立したのは今から10年以上前です。
卒業したベトナム人約100名に来日してもらいました。今から振り返ると、隔世の感がありますが、その当時の日本国内はIT人材が人気でした。ですが実際は、ベトナム人人材への期待度もあまり高くありませんでした。
それが今ではベトナム人人材の争奪戦というから・・・時代の流れは速いものです。

ただ、この流れは少し心配です。
この急激な時代の流れに日本側もベトナム側ものっかって、猪突猛進になってはいないか、と考えてしまうのです。
要は、「急いては事を仕損じる」のではないかと。
教育というのは、種まきから始める農耕型であるべきです。
それは日本がかつて人を育てて経済の基盤を確立してきたように、世界に対する強みのひとつでもあります。
現状を垣間見るとどうでしょうか?
教育も不十分のまま拙速にベトナム人を呼び込むことは日本にとっても大きな代償を払うことになるのではないかと思えてならないのです。
すでに、良識的なベトナム人人材サービス会社の経営者はこのことに気づいています。

知らないのは、目の前の人手不足に右往左往する日本企業ばかりです。

さて、話は変わりますが、高野山大学にて開催された「高野山大学フジキン小川修平記念講座講演会」に招かれ、参加してきました。この講演の中でも特に国際高等研究所所長である長尾真教授の「人工知能と書」と称した講演を大変興味深く拝聴しました。
人工知能のエキスパートでもある長尾氏は21世紀は心の時代といいます。
一方でAIは心は持てないとも断言されていたのです。
我が意を得たりとはこのことだと思わず膝を打ちました。
近日中に「地球と共生するビジネス」をテーマにした書籍を発刊します。
地球上で生活する皆が地球と共生する時代です。
それが、心の時代にも通じると思うのです。
これからはビジネスにおいても一般的な生活においても、心の教育が必要になってくるのではないでしょうか。
人間力を高めていくことこそ、AI時代を幸せに生活し、人生を楽しむ最大のポイントになると思うのです。
やはり、ここにはシニアが一番役割を果たせると考えています。
日本国内だけでなく、世界に対してもそのメッセージを発信していければと
考えています。

来日前のベトナム人、来日後のベトナム人にシニアが教えられることは山ほどあると思います。
もちろん、ベトナム人から学ぶことも数多くあります。日本は教師でもあり、反面教師でもあるのです。
そのことを深く胸に刻み込み、ベトナムとも向き合っていきたいと考えています。

(本記事は、2017/09/19 BRAIN NAVI27号に掲載したものです。)
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