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中小企業で働き、アジアで活躍することのススメ

――荒波の中でも通用するビジネス筋力を身につけて、アジアや世界で活躍しましょう。

今、率直に若い世代に伝えたいメッセージだ。
日本は経験したことのない試練の時期を迎えている。
ここ数年で日本がアジアで存在感を発揮し、共存共栄の新しい形が創れるかどうか、正念場だ。
そんな中、今の若者には日本の危機、アジアのチャンス共にあまり見えていないと思う。
しかしこれは、日本の中で過ごしていれば仕方のないことだ。

日々、劇的な変化をしている社会の中、若者たちの今年の就職活動もほぼ終盤だ。
悲喜こもごもだろう。
今年の学生は自分の就職活動に満足できただろうか?
当社も今年の採用活動を通して感じることは・・・例年とそれほど変わらなかった。
日本の大ピンチである。
すべての会社がアジアに出るしか、生き残りの道がない・・・。
そんな焦燥感を抱きつつ、社会全体が劇的に変化を始めているのである。
こんな状況でもやはり、若者たちは今まで通り、“会社”選びをしている。
残念・・・大人たちが伝えてあげなければならないのに・・・。

会社と一言でいっても多種多様だ。
大・中・小の分類はいうまでもなく、業種によっても社歴によっても経営者によっても異なる。
今の学生達には判別するのは難しいだろう。
どんな会社も今は、激変する社会の中で翻弄されている。
どうせ大変なら、中小企業こそがこれからオススメなのだが。

中小企業は採用難。学生は中小企業には目を向けない。
ミスマッチは随分長く続いている。
今年は少しは中小企業志向が強まった、とメディアで報じられた。
私は以前から中小企業で働くことを勧めてきた。
私自身の経験とこれからのアジアビジネスを考えると想いはさらに強くなる。

率直に言って、大企業で働くことよりも多くのものが得られる。
私はかれこれ自分で創った会社も含めて25年近く、中小企業の立場で仕事してきた。
会社の名前で仕事することはほとんどなかったし、誰にも知られていない会社の人間として勝負すると実に楽しい。
何よりも社会や経済やビジネスの実態に近いところで仕事ができるメリットは大きい。
社会の現場がそこにあるのだ。

中小企業の立場で働くと、大企業と仕事するときに自らの社会の位置付けが明確になる。

例えば、誰でも知っていることだが、大企業は仕事を出す側。
中小企業は仕事をもらう側。
これが逆転することはまずない。
元請けと下請けの構図は仕事の常識。
日本では仕事を出す側の方が上だ。
こういう立場で仕事をしていると大企業の担当者の仕事スキルが自分より低くても、相手のほうの言うことに普通は従わざるえない。

コストコントロールの面においても中小企業は厳しい。
大手企業の半額以下で中小企業が仕事をしているケースもザラだ。
それに厳しい納期がついて回る。
大企業の手配ミス、仕様などの指示ミスのしわ寄せは、中小企業側にツケが回る。
これだけのことを考えても、鍛えられそうと思える。
そう、ビジネス筋力が自然と身につくわけである。

当然、起業したいならば、中小企業における経験は役に立つ。
仕事全体が見えやすい。
仕事を若くして任せられるし、任される。
アジアビジネスにかかわるということは、日本の数十年前の環境で勝負するということ。
それには中小企業の経験が最も効く。
パートナー候補の相手も中小企業。
彼らは目を輝かせ虎視眈々とビッグチャンスを狙っている。

無名なちっぽけな存在でいかに存在感を発揮できるか。
なくてはならない存在となり得るか。
これは、実は今の日本がアジアの中で置かれた立場でもあるのだ。

給与水準は低い。
倒産リスクは大企業よりも高い。
こんな不安定の中に身をおいていると自然とメンタルも強化される。
大企業が温室だとしたら、中小企業は常に外気に触れている。
もっとも、今の大企業はある日突然リストラの憂き目にあうという恐怖感はある。
必ずしも温室ではなくなってはきているが・・・。

実はこういうスキルを身に着けると自然とアジアで大活躍できる。
大変なぶん、未来は明るい。

(本記事は、ブログ「近藤昇の会社は社会の入り口だ」に、2012年7月7日に投稿したものです。)

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