見出し画像

日本人は今、アジアでどう思われているのか?

今、手元に一つの興味深い調査結果がある。

外務省の調査データで「ASEAN主要6ヶ国における対日世論調査」
と銘打たれている。
「アジアでビジネスを進めるにあたり、日本、日本人はどう思われているか?」
そんな潜在的なニーズに応える調査である。

この内容を知って、私個人は少しばかりホッとして、その他は大いに残念がったといったところだ。

要約すると、今でも日本人はおおむねアジアの人たちからは、歓迎されている。
しかし、年々その期待値が下がってきている。

いうまでもなく、日本人は日本人目線からの自身の良い点悪い点は、理解しているだろう。

グローバルスタンダートの時代といわれ、インターネットなど世界的にネットワークの急速な発展の中で、世界中の人々とコミュニケーションが可能となり、情報が瞬時に行き交う時代になった。
また、ビジネスにおいても、EUの事例にも見られるように国の枠組みを超えて、安定的な経済活動のための連携も活発だ。
一昔前のように、日本の中だけで経済も生活も成立していた時代から大きく事情が変わった。

海外に目を向けなければ、日本自体の存続も危うい時代に突入しているのだ。

今までは、日本人がスタンダードと思っていた多くの部分が、世界では通用しなくなりつつある。

世界から見たら、日本人は相当変わっていると見られている。

そのことを私たち日本人もようやく気づき始めた時期といえるのではないか。

これからはアジアと一体になってビジネスをする時代だと、私は再三、メッセージを発信してきた。

相互の信頼関係の基に、ビジネスの協力関係を築き、友好なパートナーとして、共存することが必須だ。

あるいは逆にコンペティターとなって丁々発止の駆け引きをする時代がそこに来たともいえる。

ならば、アジアの人たちが日本人のことをどう思っているのかはやはり気になる。

というよりも、よく知った上でビジネスを進めるべきなのだ。

期待値が下がりつつあるとはいえ、ベトナム、フィリピン、インドネシアの3国は、今後も、友好なパートナーとして、日本を1位に挙げている。

その理由は
「日本人は勤勉である・仕事が能率的である・礼儀正しい・団結心が強い・伝統的価値を重んじる」
などが上位を占めている。

また、日本という国に対しては
「経済が発達している・科学技術が発達している・生活水準が高い・美しい国」
というイメージが並ぶ。

一方、タイ、シンガポール、マレーシアの3国は、期待する相手としての1位に中国を挙げている。

例えば、タイなどは“日本の工場”とも呼ばれ、
日本人が潜在的に10万人ほど居住しているとも言われている。

そんな国でも中国に目が向いている。

残念なことに、前出6カ国の日本への期待値は年々下がりつつあるという結果になっている。

ある国がある国に対して、友好的か、あるいはその反対か?

また、ビジネスのパートナーとして期待しているか否か?

これらを決定付けるその要因は多岐にわたる。

民間レベルの話だけではなく、両国間の歴史的背景、地理的関係性から、外交政策やODAなど、国の活動なども密接に関連してくる。

一概に原因の言及はできないにしても、アジアで活動しながら日本人への評判を耳にすると、何が原因であるかはある程度は見えてくる。

相手から良いと思われている部分は、日本人自身も良い点として自覚している。

ここは、もっと自信を持って磨いていけばよい。

「真面目・信頼できる・仕事を効率的に行うことができる」という点など。
そして、何よりも有名なのが「日本の商品は品質が良い」というファクターだ。

問題は、評価されない部分、ダメ出しを突きつけられている部分。

自己分析の有名な手法である『ジョハリの窓』では“自分は知らないが他人は知っている自分”に気付くことが大切だといわれる。
今の日本人が気付かず、アジアの人が『ダメ』を突きつけている部分を知ることも
大切だ。
そして、考える。
改善の必要があれば改善する。

例えば、ベトナムなどでよく聞く話を紹介しよう。

日本はODAでベトナムにも相当貢献をしている。

そのおかげで、社会インフラが整備されつつあり、産業の発展や豊かな生活の享受に関して貢献度大である。

政府関係者、企業関係者だけにではなく、空港や道路といった一般の生活にも関係するものは特に、一般庶民から大いに感謝される。

十数年後には、ハノイからホーチミンに至るまでの総延長1700Kmの
新幹線開通も計画されている。

自ずと、日本人に対しての信頼感や親近感が高まる。

にもかかわらず、最近は、大きく事情が違ってきた。

日本人は最初はよいが、実行力がない、決断力がないと思われている。

日本人にはもっと、不動産分野や都市開発、新規事業などで進出して欲しいのにアジアの人たちからは、日本人は、慎重すぎるといわれる。

視察にしても、何回も視察に訪れるが、一向に具体的なビジネスにつながらないと不平を持つ企業経営者も増えてきた。

慎重といえば慎重なのだか、臆病といえば臆病だ。

アジアの地では、日本人はよく韓国人と比べられる。

10年以上前は、韓国人の評判はあまりよくなかったと聞くことが多い。

それに比べて、日本は紳士との評判が高かった。

しかし、今は変わりつつある。

いつまでもリスクテイクを怖がっている日本人に対する期待が縮小している。
その点、韓国は、国をあげて海外進出を推進している。

少々のリスクでもGOをかける。

日本はまだ余裕があるから、慎重にと言うところなのかもしれないが、それこそ大きな勘違いといえる。

いい加減にしないと、トロトロしている日本人はノーチャンスになってしまう。

もう一つ、韓国人の“うまさ”を実感することがある。

韓国人も過去の悪評を改善しつつあるし、なによりも、ベトナムのテレビでは、韓国アニメやドラマが数多く放映されている。

日本といえばNHKのみ。

これでは、多くの子供が韓国に親しみを持つのもうなづける。

こんなところにも、日本の下手さ加減が透けて見える。

日本が本気でアジアで活躍するためには、国を挙げて取り組むべきだと思う。

平和ボケの日本が、本気で気付くのはまだまだ先だろう。
せめて、若者だけでも他の国に負けず、チャレンジ精神、アントレプレナーシップを発揮して欲しいと思う。

そんな若者を後押しできるような仕組み作りを少しでも多く実行しようと考えている。

(本記事は、ブログ「近藤昇の会社は社会の入り口だ」に、2009年1月7日に投稿したものです。)

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!