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三転法輪(その1)

仏教の教えは、西洋の一神教のような、誰もが例外なく常に従うべき教義ではないので、それがどういう文脈で説かれたかを抑えておく必要があります。
チベットの伝統で、教えの大枠とされてきたのが、三転法輪説です。
釈尊は三度法輪を転じられた、と説くもので、
教えを説くことを法の輪を回す(=転じる)ことにたとえています。
インドの国旗の中央にあるのが、この法輪です。
この捉え方は、インドに起源があり、中国や日本にも伝わっていました。

初転法輪は、四聖諦(ししょうたい。四つの真理)の教えです。阿含経典で説かれています。
第二転法輪は、般若経典で説かれている空の教えです。これは大乗経典の教えです。
第三転法輪は、『解深密経』や『如来蔵経』などで説かれている、唯識と仏性の教えです。これも大乗経典の教えで、密教も第三転法輪の教えに分類されます。

東南アジアに伝わる南伝のでは、阿含経典のみを認めるのに対し、中国・日本、チベットなどの北伝では、阿含経典と大乗経典の両方を認めますが、阿含経典の内容とは別に大乗経典の教えがあるわけではありません。
初転法輪の四聖諦の教えー苦(苦しみ)・集(苦しみの原因)・滅(苦しみの消滅)・道(苦しみの消滅に至る実践)のうち、第二転法輪の教えは滅諦をより詳しく説いたもの、第三転法輪の教えは道諦をより詳しく説いたものとされています。
北伝でも、教えの基本とされているのは、初転法輪の四聖諦の教えです。

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