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日本文化の諸相:日本の自然と神仏習合(箱根篇)

 観光地として知られる箱根は、日本の神仏習合の歴史においても重要な場所です。

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 奈良時代、万巻(満願)上人は箱根三所権現を感得し、人々を悩ませていた悪龍を鎮め、芦ノ湖の主として祀ったのが九頭龍神社だといわれています。

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 万巻(満願)上人は、茨城県の鹿島神宮や三重県の多度大社の神宮寺を創建したことで知られています。

 熱海温泉も、海の中に湯が湧いて、魚たちが苦しんでいたのを、万巻(満願)上人が祈って、地上に移したといわれています。

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 仏教が伝わる以前、自然は恐ろしい神々の領域とされ、容易に足を踏み入れることのできない場所でした。仏教が伝わり、そのような地で厳しい修行をおこなう僧が現われ、修行の地として開かれていきました。
 平安仏教の最澄や空海も、そのような山林修行者の出身です。
 栃木県の日光も、勝道上人によって開かれたといわれ、直接の面識はなかったようですが、空海は勝道上人を讃える碑の碑文を請われ、記しています(「沙門勝道山水を歴りて玄珠を瑩く碑並序」『性霊集』)。


(『神と仏の倫理思想【改訂版】』北樹出版、三章1で、『日本霊異記』などを題材に仏教の伝来と定着について語っています。)


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