放課後、魔法少女【創作】

 にゃ~、にゃにゃ?にゃ~にゃ~。にゃ?にゃにゃにゃにゃ!にゃぁ~お、にゃぁにぃや?にゃにゃ。にゃんにゃにゃ。にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ!ふにゃ~ん!!にゃにゃ?


 「ちょっと、ウメコさん。ネタバレやめてくださいよ!」
某ショッピングモール、フードコート。今日は、いきなりの奇声から始まった。
「だって~」
「だって~じゃありませんよ。まだ本題にも入ってないのに」
珍しくウメコが、マキに大抗議している。一体、マキの何が気に入らないのか。二人の会話についていけず、ほづみととんがりは首を傾げる。
「おい、なに揉めてんだ。仲間なんだから、仲良くしよーや」
「「ほづみは、黙ってて!!」」
二人の綺麗にそろった声が、フードコートに響く。この後は、言わずもがな。ほづみの思いやり(優しい表現)が炸裂した。


 「・・・で。なに揉めてたんだ?」
頭に小さなたんこぶを揃ってつくった二人は、すっかり仲直りしたようだ。落ち着いて、事情をほづみに語り始めた。
「最終回、次最終回なんです」
「ラストサムライ~」
「はっ?最終回?何が?」
「このお話が。次で終わりなの」
「えっ、ちょ、えーと。その次で終わり?」
「ピリオド~」
「しかも、最終回は、前後半にするらしいよ」
「誰が言ってんだ?」
「そこは、無視して。いくらなんでも」
「メタの線がわかりづらいな。殴んぞ」
「と、に、か、く!次で終わりだから、私なりの前後半でちょっといい話的なエピソードにしようと思ってたのに、ウメコさんが全部言うから私怒ってたの」
「猛烈反対~」
「うん、まぁ。分かった。そりゃ、ウメコは反対するだろ」
「私まだ話してないのに、ほづみ解ったの?」
「なんとなくだけど。マキが全然やって来なくて、あたしら心配する。で、マキに制裁を加えようと思ったら、実はマキはのら猫の世話をしていた的なやつじゃね?」
「うっ、合ってる」
「まぁ、マキが考えそうなエピソードだし。普通というか無難というか。でも、これじゃあウメコは反対するよな」
「わんこそば~」
「えっ、もしかしてウメコさん、犬派だから猫のエピソード嫌だったんですか。じゃあ、犬に変えますよ。私、別にこだわりないですから、動物のエピソードなら万人受けするかもって思っただけなんで」
「理由が腹黒い過ぎるきゃわ・・」
「犬はダメ~」
「ダメだな。ウメコも飼ってるから被るし。確か、フローラだっけ」
「いや、ウメコさんの犬の情報なんかどうでもいいよ。それより、そこまで普通って言うなら二人もちゃんと最終回のお話考えてよ」
「最終回ねぇ、終われなかったら終われなかったらで別にいいと思うんだけど、結局は力(権力、財力)でなんとかすればいいしな。ウメコは、なんか希望する最終回あんのか?」
みんなが、ウメコは方を見る。すると、ウメコは自信満々にランドセルから、自由帳を取り出した。
「ウメコが考えたのは、これ~」
次から、ウメコワールドが始まるぞ。見たくないやつは、読み飛ばそう。ブラウザは、閉じないで下さい。


 「事実無根」
ウメコの秘密がバレてしまった。そう、ウメコはハイパークールでスーパーウーマンではなかったのだ。マスコミに囲まれるウメコ。たくさんのカメラが、ウメコにフラッシュを当てる。ある秘密を、暴露しろと糾弾するように。
「やめて下さい、ウメコさんは悪くないんです!」
「いい加減にしろ!早く離れないと、潰すぞごらぁ!!」
仲間達が、ほづみとマキだけがウメコを庇う。
「背水の陣」
ウメコは、それを語る。そう決意を固めたように、力強く二人の前に出る。
「「ウメコ」」
二人もそれを理解したらしい。ウメコの決意を、推すようにウメコの目を見て、後ろへ下がった。
「私、井ノ頭 ウメコは、実は・・・」
カメラのフラッシュが、止む。ウメコ以外誰もいないかのような、静けさが辺りを包む。
「動物愛護週間」
そして、全世界が涙した。その勇気ある告白に。


 「つまり、どういうわけだ?」
隣でマキが号泣して、ほづみがイライラと貧乏ゆすりをしている謎の状況が出来上がっていた。
「えぇ~。ほづみちゃん、わかんないの~」
「悪い、前々回あんだけ一緒に汗流して魔法少女活動したけど、やっぱウメコの世界にはまだ入れないわ」
「ひっく、暴力しか頭にないから、ひっく、わかんないんだよ。つまりね、ひっく、ウメコさんは、犬派でも、ひっく、猫派でもなくてね。全ての生き物を愛してたんだよ」
マキが号泣しながら、ほづみの疑問に答える。
「あ、あぁ。ありがとな、マキ。ティッシュ使うか?」
「うん、ありがとう」
ほづみは、号泣するマキにティッシュを渡す。この話が終わったら、どうしてやろうかと思う怒りを隠して。というか、今日マキむちゃくちゃ腹黒くないか。やけか、やけになってんのか。
「ほづみの鬼~」
ウメコも煽ってきやがるな。やっぱ、また処すか?処すか?
「ほづみ、文句ばっかり言ってるけど。何か考えがあるの?」
「はいはい!僕はあるきゃわよ」
「いや、お前には聞いてないし。ちょっと黙ってくれない?」
「マ、マキ・・・。普通の小学生女子だったマキが、お前って。マキ、成長したきゃわね・・・」
そして、これがとんがりの最後の台詞になった。マキの怖さのあまり、トイレへ駆け込んだからである。ありがとう、とんがり。また、会う日まで。
「それは、まぁ置いといて。マキ、ウメコ。やっぱり、アタシも意見言わさせてもらうわ」
ほづみが、どっしりとフードコートのソファーに腰を下ろした。なにか、とてつもない決心が目に映っている。その目力に圧されてか、マキとウメコが黙ってほづみの前のソファーに座った。
「アタシ、今まで暴力と喧嘩ばかりしてきたし、こんな事言う資格ない。たぶん昔だったら、このまま殴って病院送りにしてた。正直、今も無茶苦茶イラついてるし、海に沈めようと思ってる。でも、今はそれ以上に強く思ってることがある」
いつもみたいに怒鳴り散らすと思っていたウメコとマキは、驚いた顔で、互いを見る。ほづみ、なんかいつもと違う。
「やっぱり、アタシはマキ、ウメコと仲良く魔法少女活動したい。これからもずっと。最終回なんてやめてほしい。それに、せっかく出来た仲間なのに、喧嘩したくないんだ。喧嘩上等なアタシが言うのも変だけど。こんな気持ち初めてなんだ、だから」
「「ほづみ」」
そうだ、こんなつまらないことで喧嘩して終わりたくない。なんやかんや嫌なことも、迷惑かけられたこともたくさんあったけど、同じ魔法少女で仲間なんだ。私達!
「ごめん、ほづみ。私どうにかしてた、主人公だからっていい最終回にしようって気合い入り過ぎてた」
「ごめんなさい~」
「いつも通り、アタシららしく終わろうぜ!」
「「うん」」
せーの、といつものあの台詞を無理やりねじ込んで言おうとしていた時だった。


 「だめですの!」
謎の少女がフードコートに乱入してきた。背は小さく、金色のツインテール。そして、彼女が着ている服はマキ達の魔法少女服に似ていた。
「まさか、魔法少女!!」
「そうですの、名は松梨華(まつりか) ジョリィ。小学3年生、あなたたちの後輩魔法少女ですの」
いきなり増えた妹系魔法少女。これでなんとか最終回を回避出来るのか?主人公なのにまとめられなかったマキは、生き残れるのか。次回、最終回?この物語はちゃんと終われるのか?
「それは、無理じゃないかな?」
さぁ、どうなんでしょ?とにかく、次回最終回?に注目?

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