放課後、魔法少女【創作】
はじめまして、僕とんがり。魔法の国からやってきた妖精なんだ。妖精の仕事は、魔法少女と契約し毎月20日くらい魔法を使わせることなんだ。3人も契約したし、楽に出世出来るかと思ったらこれが問題児ばかり。全く、最近の子どもは・・・(ため息)。命令無視のほづみ、要るのかいないのかよく分からないマキ、夕方以降は無能のウメコ。仕方ない、こんな問題児でも俺の大切なパートナーだ。俺が支えてやらなきゃな。さぁ、今日もはりきって行くぜ!!
「空前絶後」
「うんうん、それは確かにそうかもしれませんね」
「阿鼻叫喚」
「えー、もっともふってしてませんでした?」
「西京漬け」
「いやいや、3分くらい許してあげましょうよ」
某ショッピングモール、フードコート。今日は、学校が創立記念で休みの為、午前中から魔法少女達は集まっていた。もちろん、ショッピングモールは権力により貸しきりにされていた。
「・・あのさ、マキってなんでウメコが言ってることわかんだ?」
朝から、運動(優しい表現)した為黙々とハンバーガーを食べていたほづみが、ちょっと不思議そうにマキに聞いた。
「いや、マキってそんなにウメコと一緒にいないしさ。アタシより、日が浅いじゃん」
「うーん、確かにそうだけど。なんとなーく」
「北極星」
「いや、別に勉強したとかじゃなくて。ホントに、なんとなくなんです」
「うーん・・・。なんか、ズルくね?」
ウメコ以上によく分からない単語が、ほづみの口から飛び出した。ズルくね?なにがだ?
「いやさ、アタシのほうが魔法少女としては先輩でウメコとは2年くらい付き合ってるわけじゃん。それがさ、なに?たかが3ヶ月のマキのほうがウメコのこと分かってるっておかしくない?」
「おうおう、嫉妬か?嫉妬ってかぁ?」
途中、入ってきた命知らずの不細工ユニコーンを場外にホームランしてほづみは席に戻った。
「いやさ、アタシ結構魔法少女として仲間が増えたのって嬉しかったわけよ。それがさ、こんな仲間外れみたいなことされるなんて、ちょっとショックってかさ。一家に一台、ロードローラぶちこもうかななんて気持ちになってくるって感じなんだよな」
冗談のレベルが高い。さすが、お金持ち。目のマジ感は無視。
「い、いや。私も嬉しいな」
「ぶちこまれるのが?電話したらすぐいけるけど」
「ち、違うよ。ほづみがそんなに仲間思いだってこと。私、ほづみっていつも怒ってるから、私達のこと嫌いなんだって思ってたよ」
「うんまぁ、あんまり好きではないけど。やっぱり、魔法少女として活動するなら数は多いほうが、いいじゃん。それに、部下をうまく扱えるのはトップとして当たり前だしな」
部下。仲間とは?
「とにかく、アタシもウメコの言葉分かるようになりたい!なんか、マキごときに分かるのにアタシに分からないのがムカつく」
本音は、それのようです。と言うわけで。
「ウメコ、さぁアタシに分かるように話しかけてくれ!!」
「アイスエイジ」
「はぁ?アイスエイジ?なんだそれ?」
「ほづみ、リラックスだって」
「それがなんで、アイスエイジなんだよ。リラックスよりアイスエイジのほうが文字増えてるじゃねーか!!」
「直立不動」
「あぁ?ちょっとちょっと待てよ。さっきの感じでいくと、アタシに動くなって言ってんのか?」
「違うよ、ウメコさんもハンバーガー食べたいって」
「なんで急にハンバーガーの話になるんだよ。ワケわからんな!ウメコ、もっとわかりやすいのくれよ」
「新鮮市場」
「ハンバーガー買ってこいってか!シャキシャキのレタスか?」
「違う、違う。今日は、午後から雨だから傘持ってきた?って」
「文字数が全く違う!あーもう、持ってきてねーよ。車で帰るし」
「ワンパターン」
「あぁ?喧嘩売ってんのか?」
「お、落ち着いて。ウメコさん、帰りは自転車なんだって」
ほづみは、それから何度かウメコと会話をしようとしたが全く通じなかった。そして、ほづみがついにあの言葉をウメコにぶつけた。
「ウメコ、もう我慢ならねぇ。お前、なんで普通に話せないんだ。理解されるからって、甘えんなよ!ウメコも合わせようとしろよ!」
「ほづみ!言い過ぎだよ!ウメコさんはね!!」
マキがウメコをかばうように、前に出たがウメコは制止した。そして、こう告げた。
「私、私・・・・・。昔から体力なくて、あんまり喋るのうまくなくて、それでー」
しどろもどろになりながら、ウメコは初めてほづみに自分の気持ちをぶつけた。自分の体力の全てをかけて。
「・・アタシも悪かった。ウメコはウメコなりに、話そうとしてくれてたんだよな。理解できなかったからってイライラして悪かった。だからさ、」
「「今から一緒に魔法少女活動し」」「ましょう」「やろうぜ」
きっと、今なら気持ちを一つに。本当の仲間同士として、言葉なんかなしで、やれるから!!
「えっ、私は無理」
その後、マキの家の近くにロードローラがあったとかなかったとか?
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