そのとき僕は強く拳を握った 第一話 「ふたきれのトンカツ」
たにっちとちひろくん。
この2人には練習で1回も勝てなかった。勝てたら嬉しいな、とは思っていたけれど、たにっちは僕たちよりもずっとはやくに身長が伸びていて体力もついていたし、ちひろくんはその校区では有名な足の速い3兄弟で小学1年生の時から1番か2番だった。いつも負けても少し悔しいくらいでしょうがないと思っていた。
そんなこんなで持久走大会の2週間くらい前におばあちゃんが入院した。乳がんの再発だった。よく分からないなりに悲しかったことを覚えている。そして悲しいなりに頑張って走