卒業制作 覚書①

 卒業のときがやってきてしまいました。私のゼミは卒業制作として、2万字以上の小説を書くことになっています。なんとなく思考を整理するための覚書です。もし同級生の方が見てても声はかけないでほしいです。
 卒業制作と銘打つからには、何か意義が欲しいなと思います。中学から創作をしていて、多分この先もすることになりますから、卒業制作はその区切りであってほしい、と。
 ……結論が出ました。田舎です。
 中学で初めて書いた小説は、夏の田舎を舞台にしたものでした。『ひぐらしのなく頃に』のような舞台の本格ミステリを書きたくて、創作を始めたのでした。というより、そういうミステリが読みたかったけど見つからなかったから、自分で作ってしまえ! という心持ちでした。
 長編ではないものの、2万字以上というのは中編くらいにはなるかもしれません。珍しくプロットを組むことにしました。でも私プロット作るの嫌いなんですよ。作ってるうちに「考えるのめんどくせえ! 書くか!」ってなるから。
 たまたま早川書房から出ている『SFの書き方』を読んでいて、その中に梗概からプロットを作る、といったことが書いてありました。それならやりやすそうだってことで、まず梗概を書くための草案作りから始めました。
 入れたい要素を列挙して、とりあえずあらすじを書いて、いけそうならメモのように細部を詰める……といった具合。
 入れたい要素はとりあえず夏と田舎。祭りなんかもいいですね。夏は夏でも私は晩夏が特に好きなので、時期は8月の終わり頃。ゼミで書いた小説は2作とも日常の謎寄りで、同級生からは「是非卒業制作では人を殺して欲しい」と言われました。ということで死体がひとつ。
 とはいえ、新本格みたいな感じにはあまりしたくないんですよね。パズルや人工性はシャカミスとかネットに出す作品では全然OKなのですが、ゼミには「普段ミステリ読まない人にも刺さるミステリ」を出したい。人死を軸に別の物語を展開させたいなと思い、過去の死と、そこから友人に疑念を抱いた大学生を主人公にします。友情の話、というざっくりしたコンセプト。ずとまよの「ばかじゃないのに」を鬼リピしてたせいかもしれない。
 回想形式と聞いて真っ先に思い浮かぶのが、米澤穂信『ふたりの距離の概算』若竹七海『スクランブル』の2作です。どちらも回想形式で日常の謎を挟みつつ、そこから伏線を拾って現在の謎を解くというスタイルです。いつか書いてみたいと思っていたものなので、それにチャレンジすることにしました。
 私は作品を書くとき、とりあえず舞台を決めてしまいます。地図上に物語の舞台があるだけで、イメージのしやすさがぐっと高まるからです。話の展開上手筒花火を登場させたいので、それが盛んに行われている東海地方を舞台にすることにしました。ということで、浜松市の左下に架空の町を作りました。
 雰囲気を摂取するために北村薫「夜の蝉」米澤穂信「遠回りする雛」を読みました。いや〜〜文章が上手い。特に北村薫は、『ミステリーの書き方』の中で「語り手を自分から離れた立場にすることで「浮かぶ」」のだと言っていて、私もそのやり方を気に入っています。大いに参考になりました。
 プロットは完成していないものの、大まかな流れは決まったしええやろと思って冒頭だけ書きました。経験則として、とりあえず冒頭だけ書いて、ハマった、と思ったらあとは大体どうにかなります。
 ハマりました。なので卒業制作は完成したも同然です。

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