2024.01 読書まとめ

大山誠一郎『アルファベット・パズラーズ』
 街中で事件が起き、刑事が臨場する。ありふれた一幕に手がかりを散りばめ、パズラーとして成立させているのが良かった。堅実さの中にアクロバットもあり楽しかった。

福井県立図書館『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』
 レファレンスカウンターに寄せられたクスッと笑える覚え違いタイトル集。図書館の仕事事情も覗ける一冊です。

マイケル・フィンケル『美術泥棒』
 盗むのは自分が気に入ったものだけ。ナイフ一本でさくっと盗み、売ることもしない。泥棒のイメージを覆す男の顛末を追ううちに魅せられてしまった。

上間陽子『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』
 暴力を受け、子供を育てるために夜の街で仕事をする。そういう境遇にある人間はそうしたくてしているわけではなく、せざるを得ないだけ。「強い」と単純化することも違うなと思った。

周木律『眼球堂の殺人』
 球形の建物で起きる不可能犯罪のオンパレード。何もかもがメフィストだがそれに終始してしまって物足りなかった。

西澤保彦『麦酒の家の冒険』
 迷い込んだ家にあったのはベッドと96本のビール、13個のジョッキ。酒カス大学生たちがこの状況に合理的な解釈をつける様は壮大なる『9マイルは遠すぎる』だった。作中の言葉を借りて言えば「芸術点が高い」真相。満足。

真門浩平『バイバイ、サンタクロース 麻坂家の双子探偵』
 ひねくれたロジカルなミステリ短編集だった。キャラたちの小学生っぽくなさも含めて稚気に満ちている。物語性がもう少し欲しいとも思った。

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