劇場版名探偵コナン『黒鉄の魚影』

 灰原ーーーーーっ!!!!!

 劇場版名探偵コナン第26作にして黒の組織も登場してがっつり話に絡んでとかどうでもいいです。今作には灰原がいればそれでいい。
 以下ネタバレ。





 まず舞台と黒の組織の絡ませ方が上手いですよね。全世界の防犯カメラと繋がるパシフィック・ブイ。あろうことか真っ黒な正装でカメラに映った黒歴史を削除すべく、黒の組織のイツメンが動き出します。パシフィックブイ、「老若認証」の言葉が出た瞬間「幼児化組絶対殺すマン」にしか見えなくなってしまった。
 組織に灰原=シェリーとバレたきっかけが、直美が志保に謝りたくて老若認証を使っていたことっていうのがエモいし裏目だしとっても因果です。私的利用甚だしいけど。
 あと灰原が拉致られた瞬間の蘭があまりに初動慣れてて笑いました。アイリッシュとやったときより強くなってやがる。
 博士のカーチェイスなんかも新鮮でよかったですが、これが後々カメラ改ざんの証拠に効いてくるのが上手いですね。フーダニットもしっかりしていて、しかもその起点が救出された灰原の証言っていうのもアツい。コナンたちの奮闘から得られた手がかりからロジックが展開していくという謎解きにおけるエモさのお手本だと思いました。まあでもフーダニットは分かりやすかったかも。伏線ぽい描写が個人に集中してるせいで。
 そして灰原救出までの流れもめちゃくちゃ良かったです。個人的にキールがすごい活躍してくれて嬉しかったです。安室とかいうハイパースパイのせいであんまり機会に恵まれていない感がありましたが、間違いなくMVPはキール。特に、巧みな誘導尋問でウォッカに情報を喋らせたことは大巧でしょう。お前の監督不届行きだぞ、ジン。
 そしてピンガ。黒の組織1アツい男。野心家だけど黒の組織のメンバーとしては甘いところが憎めない……インターポールの施設に入って見つかるし、女子高生に首やられるし、予定外の行動をして色々狂わせるし……でもディープフェイクの技術はピカイチ。キャラの割に特技が陰湿すぎる。ラムが気に入ってたのも技術力なのかな。まあでも、そんな執念深さが工藤新一生存を突き止めたんでしょうね。知ってしまったからにはジンニキに消されるぞ。新一生存を掴んだ構成員ほぼ死んでて、死神としての"格"が違いますね。あと直美を脅すときのウォッカが普通にクズで引いた。猫被ってんじゃねえぞ!
 シェリー生存バレ、どう収拾つけるのかなと思ってましたが、予想外の展開で驚きました。ベルモットは基本新一、蘭を守るスタンスなのでパシフィック・ブイもどうせ潰したかったんでしょうが、彼女は反灰原だったはず。めっちゃ肩入れするじゃん〜って思ったら最初の描写が効いてくるとはね……。探偵団たちを悪夢の八丈島へ招待するフックに留まらないんですね。技巧的。
 加えて黒の組織のボス=烏丸の思惑が絡むのも新鮮でした。確かにパシフィック・ブイは玉手箱というかシンプルにパンドラの箱。とんだクソシステムじゃねえか!!!
 そして灰原。観客はみんな「キスじゃん…」って思ってるのにお前が認めたら本当にキスになっちゃうだろ。蘭に返すな!!奪え!!そのまま自分のものにしろ!!!
 でも返しちゃうのが灰原が灰原たる所以というか、物語の関係図を見せつけられたようでげんなりしますね。あんまり意識してこなかったけど、灰原にとっての新一って救世主以外の何物でもない。
 あと直美パパ、FBIが助けたとかだと思ったら普通にコルンの失態で笑いました。「逃がさない(なお狙撃には失敗)」。
 ジンニキがシェリーのこと思い出してウキウキじゃなかったらお前消されてたからな。

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