2022.07 読書まとめ
前は上半期まとめとして出したのですが書きたいなと思ったので七月分をもう書くことにしました。
アンブローズ・ビアス『アウルクリーク橋の出来事』
死を詳細な筆致で描いた粒ぞろいの短編集。短いながらも鮮烈な印象を残すものばかりでした。お気に入りは「ジョン・モートンソンの葬儀」。
北山猛邦『少年検閲官』
書物が禁じられた世界を旅する少年クリスが遭遇する怪事件。世界観の構築とミステリの骨組みがしっかりとマッチした傑作です。
伊吹亜門『京都陰陽寮謎解き滅妖帖』
妖を滅する少年少女三人を主人公に据えた特殊設定ミステリ。もちろんロジックもしっかりと冴えていますが、やはり伊吹亜門はホワイダニットが上手いと思わせる一冊です。
ジャニス・ハレット『ポピーのためにできること』
とある町で起きた事件の真相を探る英国本格ですが、特派とすべきはその形式。メールや手紙だけで物語が進行し、分厚いもののリーダビリティは圧巻です。
佐々木ちわわ『ぴえんという病 SNS世代の消費と承認』
現役大学生の著者が歌舞伎町にて参与観察を行い書き上げた、いわゆる「ぴえん系」についての本。身近な存在であるだけに興味深く読むことができました。
芦辺拓『大鞠家殺人事件』
戦下の船場、大鞠家を舞台に起こる怪奇事件の数々。奇妙な謎に合理的な解決という、探偵小説の魅力が詰まった作品です。
シヴォーン・ダウド『ロンドン・アイの謎』
頭の働きが一風変わった少年、テッドと勝気な姉のカット。従兄弟が観覧車ロンドン・アイに乗ったきり消えてしまったのを目の当たりにして、謎解きに乗り出します。周りとの距離感に困惑しつつ謎を解くテッドの姿が胸を打ちます。
北山猛邦『オルゴーリェンヌ』
『少年検閲官』に続く第二作で、今度は館ものです。物理トリックの連続の末導かれる真相は凄まじく、最高の読書体験を味わえました。
新名智『虚魚』
「人を殺せる怪談」を探す二人の女性の探求が物語の大筋ですが、過程で形を変える「怪談」の在り方にゾッとさせられます。
就活でてんやわんやだったので遅めの読書ペースでしたがミステリ、小説以外も読めたのでよかったです。『オルゴーリェンヌ』はオールタイムベスト級!!!
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