凶悪殺戮生物になりたい
印象に残った夢の、そのリバイバルのような夢を今日偶然見たのでそのことについて。
今日の夢
アニサキスのような形状の生物である私は、人の耳から侵入しては人格を乗っ取り、多くの人間を殺した果てに自殺によって他の体に乗り替わるという行為を繰り返していた。
どうせ人類のことなどは私の知ったことではないので、楽しさのままに刹那的な殺人を繰り返していた私だったが、とあるアウトレット近郊の宿泊施設で私という生物自体に殺害命令が出されていることを知り、息を潜めながらも自殺を続けることで追跡機関を煽ってすらいた。
以前の夢
殺人と捕食を繰り返し、偶然ヒーローと同じ姿をとることが出来た肉塊操作吸収系のヴィランである私。どうせならそのヒーローと出会い、あわよくば成り代わろうとさえ考えていた。そして民間人に爽やかな笑顔で聞き込みをしながら夜の空を飛ぶ私には、弱点があった。それは文字が読めないこと。
文字はまるで見たこともない並行世界のそれのように異質なもので、発音から始まる私の言語体系では理解の及ばないものだった。その違和感に街の看板を順に眺めていると、ふと食事という観念についての興味が湧いてきた。調理、経口摂取を必要としない私にとって、食事というのは無意味にストレスを与える奇妙な風習でしかなく、しかし、「味」というものを感じる器官が欠落しているというよりは、それを「味」として認知する能力の欠如であるように感じられた。
今日、夢を書き出しているうちに二つの夢の中には奇妙な関連性があるかのように感じられた。人類という集団のことを理解すらしない不定形怪物になり殺人行為に及ぶという点において、私の観念は何らかの意味を持っているのかもしれない。
殺人行為に快楽を見出しているのではなく、殺人が行える凶暴生物というポジションにこそ関心があるであろうことは、そこに追跡機関や正義などの敵対構造があることから明らかだ。
ここで有識者の意味深BGM屋上美少女ゲームヒロイン君にお越しいただいた。
凶悪殺戮生物と「人類」。
私としては現在の自分は人類側にいるという確信を持っている。なぜなら私のカタチは人類のそれと同じだから。
もし凶悪殺戮生物のカタチであったとしたら私はそのあり方に従うと思う。
でも私はいつか必ず殺される。それは覆すことができない。
カタチに従うという在り方を選んだ私には、その絶望によって納得と安堵を得た私には、人類が人類である意味を理解できない。
なるほど、興味深いです。
確かにこの系統の夢の場合、最初に与えられた役柄に従って話が進むことが多いかもしれません。そうして別のレイヤーでは明晰夢として役柄に沿わない自我が物語をクリアできない、ということもあるでしょう。
彼女が言っていた人類という概念は、同じカタチの集合であるというもの以上に、そうあろうとした個人個人のことにフォーカスを当てているのでしょうか。彼女自身は、そのカタチが人類であっても凶悪殺戮生物であっても、そのカタチに従うということでしか自身の在り方を定義できないということでしたが、その場合、その先にあるそうあろうという意志の前に敗北することは必然であると。またそのこと自体も所謂カタチを受け入れているという状態の表れなのでしょうね。
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