甲子園を彩る「魔曲」
こんにちは。第六回の今日は、高校野球のもうひとつの華、「ブラスバンド」についてです。
高校野球のアルプススタンドには、吹奏楽部による迫力のある演奏が流れます。チャンスで流れるテーマは、野球に詳しくない方でも一度は聞いたことあるかもしれないくらい、夏の風物詩にもなっています。
「音楽は人に力を与える」とよく言われますが、それは高校野球にも当てはまります。
高校野球ファンの中では、「魔曲」と称され、この曲が流れると何かが起きる!と愛されている曲があります。
今回は特に私が思い入れのある魔曲を紹介していきます。ぜひお耳のお供にしていただければ…
「ジョック・ロック」智弁和歌山
甲子園の魔曲といえばまずはこれ、というくらいあまりに有名な曲です。2021年優勝校 智弁和歌山のチャンステーマ。
原曲はヤマハのデモテープで、それを同校の吹奏楽部顧問だった教頭が編集した曲とのことです。
軽快な音楽と、アルプススタンドに映える赤い「C」の人文字。この曲が相手校に与えるプレッシャーは凄まじく、なんでもない打球がイレギュラーしたり、なんでもないゴロをエラーするといったことが起きやすく、そこから「魔曲」という愛称がつきました。
2019年夏の三回戦、エース奥川投手(現ヤクルトスワローズ)を擁した星稜戦。智弁和歌山打線は奥川投手に苦戦していましたが、チャンスでジョック・ロックが流れ出すと、たちまちタイムリーが飛び出し同点!その魔曲の効果を証明しました。
ちなみに…
このジョック・ロック、実は兄弟校で今年の準優勝校 智弁学園(奈良)も演奏することがあります笑
「Fire Ball」 近江
2021年夏ベスト4の近江のチャンステーマ。原曲はアメリカのPitbullというラッパーの方の曲とのことです。
特徴的なのがコール&レスポンス
「今日の主役はどこですか?」
「近江高校!」
「チャンスを掴むのどこですか?」
「近江高校!」
「勝負に勝つのはどこですか?」
「近江高校!」
「優勝するのはどこですか!?」
「近江高校!!」
と、まさに近江ナインを勇気づけるコール&レスポンス!
2018年の快進撃で有名になり、この曲の軽快なリズムに合わせて打線も活発化するなど、対戦相手校からも恐れられた一曲です。
「プリティフライ」高松商
オールドファンも多い四国四商の一角、香川県高松商のチャンステーマ。
2016年春、甲子園に久々に帰って来た高松商を後押ししたのがこの一曲。楽器を揺らして楽しそうな演奏が流れてくると打線が繋がる繋がる!準々決勝の長崎海星戦では17得点をあげる猛攻で、魔曲の力を証明しました!この大会、高松商は準優勝に輝きました。
実はこの曲、同じ香川県の尽誠学園のマーチングバンド部が吹奏楽用にアレンジしたものを、高松商の吹奏楽部が応援のブラスバンド用に再編したという経緯があり、香川県を代表する魔曲となっています。
「レッツゴー習志野」習志野
千葉県で数々の実績を誇る習志野高校吹奏楽部を代表する一曲。
その技術もさることながら、とてつもなく大きく響く演奏は「美爆音」と称され、ド迫力の応援として有名です。
こちらは習志野高校オリジナルの曲ですが、あまりにも有名なことから、実はプロ野球の試合においても演奏されたことがあります。
千葉県を本拠地とする千葉ロッテマリーンズの試合にて、習志野高校吹奏楽部コラボという企画で、その美爆音が幕張に流れました!
ロッテのチャンステーマは非常に人気が高く、またロッテを代表する福浦選手は習志野高校の卒業生ということもあり、レッツゴー習志野福浦選手バージョンが演奏されるなど、ロッテファンの心を掴む演奏に幕張が酔いしれました。(対戦相手の横浜ファンは震え上がったんだろうなあ笑)
「レッツゴー三重」三重
同じレッツゴー系としてもう一曲薦めたいのが、三重高校のレッツゴー三重。
野球の応援としては初めてジャズを取り入れた曲となっています。準優勝を成し遂げた2014年はこの曲の後押しで打線が爆発。
ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんもお気に入りとツイートするほどに、有名な曲となりました。
「V-ROAD」創成館、下関国際
元々はJリーグのVファーレン長崎の応援歌で、長崎の創成館の応援歌として甲子園で流れました。創成館の校長はこの曲に強い思い入れがあり、長崎県の応援歌として定着させ、長崎県を元気にしたいとブログでも綴っています。
また、この応援歌を演奏している高校がもう一校います。山口県の下関国際です。下関国際は2018年、同校初勝利から一気に3勝を積み重ね、ベスト8に輝きました。アルプススタンドから流れてくるV-ROADを背に受け、花巻東戦では延長戦を、創志学園戦では、好投手の西投手(現阪神タイガース)から後半点を奪い逆転!準々決勝の日大三戦も終盤までリードするというような激戦を繰り広げ、強い印象を与えてくれました!
特別枠「DREAM SOLISTER」立命館宇治
最後に魔曲ではありませんが、紹介したい曲があります。
NHKで放送されたアニメ「響け!ユーフォニアム」のオープニングテーマで、2019年に立命館宇治の吹奏楽部が演奏しました。
この大会の開催前の7月、宇治市にて、京都アニメーション放火殺人事件という痛ましい事件が起こりました。この年に甲子園出場を決めていた立命館宇治に、地元住民からぜひ甲子園で演奏してほしいという提案がありました。
二回戦の星稜戦。チャンスでこの曲が流れると打線が奮起。好投手の奥川投手から点をもぎ取るなど大盛り上がり!天国の京都アニメーション社員にも届いた、素晴らしい演奏となりました。
痛ましく、悲しい事件。その悲しみを乗り越え、地元住民、立命館宇治の選手たち、そして全国の京都アニメーションのファンたちの願いがこのアルプススタンドで叶えられたのです。
最後に
皆さんはお気に入りの曲ありましたか?
上記以外にも懐かしの曲やテレビで話題の曲が流れたりすることもあります。
ぜひ、耳を傾けてみてください。皆さんのお気に入りの曲が見つかることを願い、今回はここまで。ありがとうございました。
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