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バリバリわんわん!ルール決定の経緯 とのざくに流動場6つの要素で振り返り その1

はじめに

先日、のざくに流!ボードゲーム制作道場 vol.1 ゲームルールの磨き方  に参加したので、自身の春ゲムマデビュー処女作『バリバリわんわん! を「売れるゲームの6要素」の観点で振り返ってみたいと思います。
#のざくにボドゲ道場

最終的な説明書とルールはこちら
ルールだけ聞くと
「こんなん簡単なルールでゲームとして成立するのか? 」
「ただの運ゲーでは?」
っと思われるのも無理ありませんが、実際にやってみるとその濃厚な体験に驚かれるかと思います(なんせ作者の自分が1番驚きました)。

簡単なルールからは想像もつかないほど多くのことを考える必要あり、戦略が多岐にわたります(真剣に勝とうとすれば)。

「乱雑な積み重ね(メッシースタック)誕生秘話

(誕生秘話と経緯は長いので、せっかちなひとは読み飛ばしてください)

誕生経緯

原型ゲーム「宝掘りとサソリのアクマ」のルール

【↑字が汚くて読み難いので補足説明】
コンセプト:全員ドキドキ!最初から最後まで!ウワーッ!って言わす
狙った駆け引き:自分で埋めた宝を掘りに行くと他のプレイヤーにバレるジレンマ

  1. ランダムにお宝(1~10点)とサソリ(古典的おもちゃ「さそりの標本」)の封筒を配る

  2. ターン順に好きな場所に各プレイヤー1枚ずつ置く(重ねて置いてもよい)。全員が全部置ききるまで続ける。

  3. ターン順に1番上(何も上に重なっていない)の好きな封筒を取って開封

  4. サソリが入っていたら「ウワーッ!」(中の5円玉をゴムで捻ったモノがバタバタ暴れる)

  5. 宝の合計点が高いプレイヤーの勝ち

元々、「肝試し」というテーマをこなす為に生まれたものであり、「サソリの標本で脅かす」がメインで、積み重ねていくルールはそれを実現する為に苦肉の策としてでっち上げたものでした。

ハッカソン1日目→2日目の間に「サソリの標本」を自宅で用意してくる予定だったのですが、急用でその暇が失くなり、仕方なく封筒とサソリの標本は無しでカードだけでゲームを作ることになりました。
なので、完全に偶然の産物です。

試作品段階のルール

ハッカソン2日目に自分が最終的に決めたルールはこんな感じです。

  • 1~3点の宝カード、サソリ(うんこ💩)カード2枚の計5枚が手札

  • ターン順に1枚ずつ伏せて置く、全部置いたらターン順に1番上から1枚ずつめくる、めくったカードは公開情報

  • サソリ(うんこ💩)を引いたら、任意の取得した宝カードを破棄する

なかなか面白いゲームになったんですが、あまり「肝試し」っぽく無かったので、チームとしては採用せずボツにして別のひとのゲームを発表しました。(ただ、講師のドロッセルマイヤーズの渡辺さんがこの試作品を高く評価してくださって、それが自信になり、バリバリわんわん!を作る決心が出来ました(大感謝!)。)

テーマの選定

ハッカソン後「テーマを犬🐶にしよう!」っというは割と早い段階で決まりました。
(本当はうさぎ🐰好きなんで🐰にしたかったけど、宝を埋めて掘り返すのは犬の方が合っていたので…)
これ以上、このシステムに合っているテーマは恐らく無いかと思います。

バリバリわんわん!のルール選定

難航しました。

試作段階のルールでもそれなり面白かったんですが、今ひとつピリッとしませんでした。
instさんでテストプレイしていたときに
「いっそ1~3点とか要らんのちゃう?」(うろ覚え)
的なアドバイスを頂き、思い切って宝1枚、うんこ💩1枚、スカ3枚にしてみると驚くほど引き締まりました。

これにより以下の3つの問題点が解決しました。

  • 5枚も埋めた場所を覚えられない→「宝」と「💩」の2枚を覚えるだけでよい

  • 覚えるの精一杯で「読み合い」する余裕がない→「読み合い」に専念できる

  • 宝を取ったときの感動が薄い→大きな感動に!

店長のてっちさんに感謝!!

6つの要素を満たしていたか?

やっと本題です。
バリバリわんわん!がこの6つの要素を満たしていたかどうか振り返ってみたいと思います。
なお、この6つの要素はアークライト・ゲーム賞の基準でもあるそうです。

1.斬新で面白い

自信を持って満たしていると思います。100点!
「乱雑な積み重ね(メッシースタック)」少なくとも自分のボードゲーム経験500超の中では類似するゲームは思い当たらないです。テストプレイしていただいた多くの濃い方達からも特に似たゲームの話は無かったので、目新しい体験を提供できたと自負しております。
(いうてボドゲは星の数くらいあるので探せば近いのはあるかも…?)

2.繰り返し遊べる

個人的には満たしていると思います。100点!
カードの置き方に多様性があり、次はこんな戦略でやってみよう!という気になります。
また、置き方に性格が出るので、色んな親しいひと達とやってみたくなります。

3.人に紹介したくなる

100点!
ウンコ💩を引いたときの叫び、ひとによるプレイ癖、いろんな親しいひと達やりたくなります。

4.見ていて面白そう

100点!
理由は同上。傍から見てわかりやすいテーマとルール。
叫び甲斐があり、非常に実況者向けだと思います。
(実況者のツテがほしい…)

5.普遍性

100点!
ウンコ💩とわんわん🐶は万国共通! 犬と宝埋めのわかりやすさ

6.時流に合っている

80点!
のざくにさん自身も言ってましたが、5と基本的に相反し両方を同時に満たすのは難しいです。
強いて言えば「うんこドリル」ブーム
社会的に💩が全面に出ることが許容されているのは大きいと思います。

自己採点結果

600点満点中580点です!
「自分のゲームだからって激アマじゃねーか!」
っと思われるかもしれませんが、そのくらい自信作です。

※他のリリースに至っていない開発中のゲームはそこまで自己評価高くないです。

ただし、これは「最高到達点」による採点です。

「最高到達地点」と「最低保証」

読み合いゲームの宿命です。
対戦相手が同レベルの読み合いに挑んでくれないとゲームとして成立し難いです。人狼なんかも体験の振れ幅の大きいゲームの典型だと思います。

SKULL(薔薇と髑髏)のMINMAX

スカルは紛うことなく最高のボードゲームの1つだと思いますが、

  •  チャレンジしたひとは高い確率で薔薇、早々の降りたひとは髑髏の可能性が高い

  •  1本取ったプレイヤーに対しては多少リスクを冒してでも止めないとイケない

…くらいのことはわざわざ言わなくても察するレベルじゃないとゲームが成立しません(これがわからなくて、単なる運ゲーにしてしまう面子は意外と多いです)。
スカルの最低の体験例:
4人で遊ぶ、慣れたひとが難なく1本取る、次ラウンドで初手2枚宣言、全員降りて2枚めくって早々に終わり→なんやこのゲーム? おみくじ?

バリバリわんわん!のMINMAX

最高の体験例はこんな感じ:

最低の体験になりやすい様々な要因:

  1.  自分の置いたカードを忘れる

  2.  上の方に置いた宝を全員が早々に回収し、あとは💩を引くしかない

  3.  プレイする上での最低限度の読み合いせずに適当に置いて適当に引く

1.はボク自身たまにやります。こうなると「自分の宝を掘り💩を回避しようとしている」という推理材料の大前提が崩れ、ゲームが成立しなくなります

2.それはそれで面白いのですが、消化試合感がどうしても増します。これはルールデザインの問題かもしれません。

3.は例えば
「自分のカードを引ける状況だったのにわざわざ他人のカードを引いたのは何故か?💩だから引けなかったのか?」といった読み
「直後の手番のひとがどういう選択肢になるか?」
「公開されたカードのカウンティング」
くらいのことはやってくれないとゲームが成立し難く、単なるおみくじゲームになってしまいます(それはそれでパーティーゲームとして楽しいですが)。

終わりに

記事が長くなったので、一旦切ります。
その2では、
「上の方に宝を置いちゃう問題と対策案」
「合計点の終了ルールになった経緯」
「頂いた様々な改善案とそれを採用しなかった理由」
「6人対応は失敗だった? 実は2人対戦が1番熱い!」
について書く予定です。

すごろくや様にてバリバリわんわん! をお取扱い頂いています。
最高のゲームです。
面白いから買って!!

すごろくや様スクショ


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