同調
些細なことだと
理解しているのだけれど、
それでも偶然でも
ぴたと合うと嬉しいことが多い
ダブリンで家を移して初日
とても心細くて
でもやることはたくさんで
とりあえずスーパーに駆け込んだ。
今思うとなぜ何一つ食材を買わずに帰ったのか
本当に不思議なのだけれど
おそらく一息つきたい気持ちだったのか
紅茶一箱だけ手に取った
一箱と言っても
こちらの紅茶ちょっとおかしくて
デフォルトが80袋入りとかなので
なんかすごい買い物した気になる
いや、当時は特量セールでもやってるのかな、とか
暢気なこと考えて眺めていたけれど
本当にこれが通常サイズらしい。
なんならこの2倍のサイズも見たことがある
それでも負けじと二箱と少し
この生活で飲みきったので、
紅茶が身体に沁み込み始めたんじゃないかなとか。
珈琲ばかり飲み込んでいたあの頃が懐かしい。
ただの感覚だけど
紅茶の方が身体に負担が少ない気がしている。
でもあの忙しいビル群の雑踏の中で
踏ん張るには珈琲でドーピングしなければ
両足を地に着け続けることすら怪しい
そんな魔境。
近所のAldiで紅茶コーナーを眺めて
たくさん銘柄があるんだが、と途方に暮れつつ
なんとなくの直感でBarry‘s Teaの赤色を手に取って
スーパーに並ぶ。
前の女性が、すごい量の買い物をしていて
アメリカ以外も欧米はこういう感じなのか、
と、ほんとうに呆けて持とうとしていたら、
その女性が列を譲ってくれた。
中心街から少し離れたスーパーで
紅茶一箱だけ抱えて、呆けているアジア人、
確かに少しおかしい、心配になる情景かもしれないと思い返す。
少し、いやだいぶ治安のご機嫌斜めな地域と聞いていたが、
優しい方も住んでいるじゃないか、と
当の私は、その自然な気遣いにかなり感謝した。
この出だしが無ければ、
もう少しいじけて過ごしていた姿が容易に想像できる。
そして購入した紅茶
前述の通り、大きな理由も無く
その場のなんとなくで購入したのだけれど
ボンへが後にInstagramに投稿しているのを見かけて
あなたのお気に入りでしたか、と感動した。
それ以来、アイルランドの紅茶はBarry‘sTeaブランド一択。
こういう偶然だけれど、嬉しい選択の一致だけで
まだまだ頑張れる。
そういうことを、増やしていけたら。