The Apple
oasis / Waiting for the Rapture
メリーゴーランドの
降り方を忘れた人形達
今すぐにでも
皆んな降りたいのに
望んでもいない
大げさに飾り付けられた
陶器でできた白馬に跨り
止まらないから降りられないんだ
そう言い訳して
飛び降りるタイミングを
逃し続けた素振りだけ
いつしか猛スピードで廻り出して
本当に降りられなくなる
その前に
目の前に差し出された赤い林檎に
手を伸ばす
理由なんて当座はどうでもいい
止まらないその輪から逃れるために
回転木馬から転げ落ちた
勢いのまま
見知らぬ空を泳いで
彷徨うのも厭わない
だってそうじゃない?
掌いっぱいに詰められたメレンゲのお菓子
カラフルな色は暑さに溶けていく
甘く芳しい香りが地面から煙立つ
メリーゴーランドから離れられない
彷徨う人形達が
ふたたび列を成す
そしてまた鞍にまたがり
廻り始める
いつまでも、いつまでも
いつしか袋の底には手が届かなくなり
触り心地も思い出せなくなる
気づいたら袋の中に閉じ込められて
真っ暗闇
今すぐ目の前に置かれた
真っ赤な林檎を掌で包んで
陽の光を迎えに
向かうべき場所は既に知っているから
後は走るだけ
林檎を掴んだ理由も使い方も
全部知らない素振りは許されない
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