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6歳の時の記憶の話

HSPの特徴のひとつとして「相手の気持ちを察する」というのがよくあげられている。

自分では別にそんな大層な能力か?と思うけど、すごく鮮明に覚えている出来事があるので、記憶の整理がてら書いてみる。6歳で、小学校に入学したての頃のこと。


子供の頃から大人しい気質だった。好きな遊びは絵本を読むこととぬいぐるみ遊び。三輪車という存在は好きだったけど外で乗り回すわけでもなかった。親や先生の言いつけも基本的には守るタイプだったけど、小学校に入学して1,2ヶ月経った頃、なぜだか急に門限を破ったことがある。


門限破りと言ったって、17時門限の所を17時15分になっても帰ってこないとかそんなレベル(時間は正確には覚えていない)。けど、普段そういうことをしない子供だっただけに、母がとても心配して近所を探し回ってくれたそうだ。そんなこととは露知らず、「ふう今日は激しく遊んでやったぜ」とのこのこ帰ってきた私は、おかえりと言ってくれるはずの母が家におらず驚いた。(今思うと、母も玄関に鍵かけず開けっ放しで探しに出たのはどうかとおもうよ。あ、でも、入れ違いで帰ってくるかもと思ったのかな)


驚いた私は、なぜか自宅の2階に隠れた。靴もランドセルも隠した。確か、もう帰宅してるんじゃないかと母が一度家に戻ってきたけど、その時も2階で息を殺していた。まあこれが後々の母の怒りの原因につながるわけだ。


再び母は探しに出かけ、私は「なぜ2階にいるのに気づいてくれないのか」くらいの気持ちでオロオロしていた。でもいつまでも隠れている訳にもいかず、意を決して隠していた靴を玄関に戻した。その辺りで母が戻ってきたように記憶している。


で、まあ、そりゃ怒りますわな。キレますわな。

「あんた今まで何処にいたの!」「おうちにいた…」

「家!?さっき戻ってきたけど、いなかったわよ!」「2階にいた…」

「嘘でしょ靴だって玄関になかったし!」「靴も持ってってた…」


母に激しく怒られたことなんてなかったので、私はべしょべしょに泣いていた。

「なんであんたが泣くのよ、泣きたいのはこっちの方よ!」

って、母が言ったのを鮮明に覚えている。6歳児の記憶力、あなどれない。泣きまくって頭の中しっちゃかめっちゃかのはずなのに、どこかですごく冷静に「お母さんが怒っている」「お母さんは私を心配して探したと言っているけど、無事に今ここにいることを喜んではくれない」「お母さんは自分の心配と探した時間が無駄になったから怒っている」「その無駄なことをさせた原因が私だから、私のことを怒っている」って考えてた。


たぶん「遅くなっただけで何もなかったのね、あー良かった!」って言ってもらえると思ってたんだろうな。だけどそうじゃなかった。おかげで、幸か不幸か私は6歳の時から「母と私は違う考え方をする、別々の人間」って認識を持ち続けている。


たまに人生相談で「お母様はあなたの母である以前に一人の女性です。お母様ご自身の選択を尊重してあげましょう」みたいな回答を見かけるけど、そういうの見る度に「親と自分は別の人間って認識を持ってない人がいるのか」と逆にびっくりしていた。今はまあ、そういう認識を持つきっかけが今までなかった人もいるよねえ、ぐらいに思ってるけど。


きっと本人は覚えていないけど6歳児に鮮烈な記憶を植えつけた母は今日も変わらず私の母で、昨日買ってきたルタオのチーズケーキがお気に召したらしく「今朝も食べたけど、残りの半分も晩ご飯の後で食べよーっと」って言っています。私には「あんたはスーパーで買っちゃった今日が賞味期限のチーズケーキ食べちゃってよ」って言ってきます。ひとまずは元気でよかった。

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