五条悟がくれたもの
※呪術廻戦最新話までのネタバレを含みます※
「五条の勝ちだ」
から早数ヶ月。(多分)
とってもフラグ的な、絶対に良くない事が起こる様な、ストレート勝ちを確信出来ないあの一言。
私は次の水曜日に開いたXで、俺達の五条パイセンが真っ二つになっている絵を見てしまった。
やっぱりな、と嘘だ、と、いやいや身体をふたつに斬られたくらいじゃ死なないよ、と、色々な思いが混在していて、その日は朝方4時まで全く寝付けなかった。こんな事は、二宮和也が結婚発表した日以来だった。いつだって好きな男しか睡眠時間を削らない人生である。
その週の月曜日、発売された週刊少年ジャンプにはやっぱり身体を真っ二つにされて死んだ五条悟が載っていた。嘘じゃなかった。コラじゃなかった。エネルギー吸収アリーナの類ではなかった。
その日から、貯金を始めた。finbeeというアプリと連動させながら、GIGAかなんかの付録についていた紙で組み立てる獄門疆に500円玉貯金を始めた。五条悟が生き返ると信じて疑わない、「悟が生き返るまで貯金」。願掛けだった。毎週今度こそ、今週こそ「ハイ僕の勝ち」とかなんとか言いながら復活する五条悟が見られると思っていた。見られたのは、中身が乙骨で外見が五条の奇妙ないきものだった。全然嬉しくなかった。乙骨も五条も好きだけど、私が見たかったのはエヴァ13号機ではなかった。
五条悟はその後本誌が終わるまで、ファンサービスの如くちょい役で何度も顔を出した。ある日は回想、ある日はかたりべ、ある日は代弁者、ある日は先達者として。最後まで雄弁なストーリーテラーであり、骸さえ残さず、まるで最初から居なかったかのように、「五条悟」はいなくなったのだった。
五条悟が教えてくれたもの。それは、最強とは何か、理想に足る教師とは何かではない。軸を失っても人間は生きていくし、誰がいなくても何とかなるし、精々一人の人間に出来ることなんて空っぽの椅子を人の心の中に残すくらいで、例え電力のピンチが来ても五条悟ではなく知恵を絞って一国の電力は賄われ、でっけーヴィランが来ても高専生徒諸君が何とかしてくれるであろうことだ。
それでも、五条悟が残したかがり火は消えずに永劫灯される。乙骨憂太が、虎杖悠仁が、伏黒恵が、あるいは私が。
偉そうに宣ったのを聞いて全く違っても、「んー、まあそんな所かな」とか適当言ってくれそうな所も好きでした。天国に一輪の花を添えて。