見出し画像

ホストと私


私には好きな男がいました。
彼は歌舞伎町のホストです。痩せてて背が高くて襟足の長い金髪。タバコが好きです。自分のことを僕って言うのが可愛いです。
いつも隠してるけど腕に鷹と蛇のタトゥーが入ってます。

彼と初めて出会ったのは、私が社会人一年目で働き始めて1ヶ月くらい経った時でした。
学生の時よりも小金を持っていてある程度の自由が効くようになって、ずっと行ってみたかったホストクラブの初回に行ったんです。そこで出会ったのが彼でした。見たことないくらいかっこよくて、優しくて私の欲しい言葉を全部くれました。
自分のことが大嫌いで、誰かに愛されたいと思っていた私は彼のことが大好きになりました。


私は彼にまたすぐに会いに行きました。
2回目あった時、私はシャンパンを入れました。夜の仕事も始めました。彼のために生きていました。親に仕事のことがバレても何とかして彼に会いにいく方法を考えました。

一緒に住んでいた時期もあります。
彼の住んでいた町田のおんぼろアパートで。
まだ冬の頃で寒いのが苦手な私はいつも寒い寒いと文句を言ってて、それを鬱陶しそうにしながらも寝る時は気遣ってくれて私に何枚も布団をかけてくれたりくっついて寝てくれたりしたね。
一緒にスーパーに行った時はいつも私の好きなものをいらないよそんなにってくらい買いだめしてくれたね。
貴方も、私に愛のようなものをくれてたのかな。分からないけどそうだったらいいな。都合よく解釈しておくね。

確かに、私は風俗嬢で彼はホストだったし所謂やってくれたこと全てが営業だったんだと思います。でも私にとっては全部かけがえのない時間でした。きっと、死ぬ時に1番に彼と過した時間を思い出して「死にたくないな、また会いたいな」と思うでしょうね。情けないです。

私は彼に執着しすぎました。
死にたいと思うことが増えてその感情を彼にぶつけました。死にたいって言われても何も出来ないよね。ごめんね。
死のうとした時は本気で怒って泣きながら止めてくれました。あの時、彼が帰ってきていなければきっと死んでいたと思います。
だから今でも、私はこれからも仲良くしたいなって思ってる人とはあまり沢山会わないようにしています。私の死にたいという感情をぶつけてしまって苦しめたくないから。

あの時の私は、自分が考えている"愛"というものは全部彼に注いでいたつもりです。
愛がなんなのか自分でもよくわかってないのに
お金はもちろん使ったし、慰めたし、殴られたし、殴ったし、叱られたし、叱ったし。
あんなに本気で他人と向き合ったのはあれが人生で初めてだったかもしれません。

最近会ってないね。元気にしてるかな。
LINEも前よりしなくなっちゃったね、でもずっと大好きなんだよ。
お前と一緒にいられるのは僕しかいないと喧嘩した時に言ってくれたね、あれね。そうでもないよ。でも、貴方といた時の私は今よりもずっと死にたがりで弱かったけど、今よりもずっと貴方のことを考えていたよ。
まだ死にたいって思うし毎日夜になると泣いちゃうし、寒いのは苦手だけど1人でも頑張れるようになったよ。

また気が向いたら会いに行こうかな、その時はもう喧嘩したくないね。

これを書くの途中でやめちゃってましたね。普通に忘れてました。それだけ自分の中から貴方がいなくなってるんだなあ。なんだか少し寂しいです。
ちょうど昨日、彼は前に私が怒った時と同じことをしました。
彼に酷いことを沢山言いました。
でも、嫌いになれないんです。


1度愛した人の事を、死ねばいいのにとかそんなふうに思えないのが私の性なんでしょう。
と言うか、人間みんなそうなんじゃないかな。分からないけどね。
もっと話したいこと沢山あったな。
生まれ変わったら君になりたいよ。

最後に私から
もう、薬はやるなよ!ぜってーだぞ!
チンピラに殴られたら私が教えた必殺技使えよ!
歌舞伎町って言う薄汚い世界で、たった一人で戦うあなたをずっと応援してます。


良くも悪くも今の私を作ったのはあなたです。
ほんといい迷惑だなあ。愛しています。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?