見出し画像

土蔵/生まれて初めての恐怖体験の思い出

今年2023年のゴールデンウィークにおこった震度6の地震で、実家の土蔵(実家ではそう呼んでいた蔵。※お宝はない)がダメージを受け、取り壊されたと、母からLINEにて画像付きのメッセージを送ってきた。
土蔵は外から見ると2階建ての高さがあった。
あまり中に入ったことはなくて、うろ覚えだけれど、吹き抜けのようになって2階に小さなスペースがあった記憶。
窓は明かり取り用がひとつだったと思う、が曖昧。

蔵というと、お宝や大切なものをしまっておくイメージあるけれど、実家のは普段使わないものをしまっておくためだけのもので、子どもはあまり用がなく、古くて薄暗いので、気味が悪くて近寄らないようにしていた。
私がまだ幼稚園に通っている頃、父にお仕置きとして土蔵に入れられたことがある。
何をしでかしたのかは覚えていない。
長女ということもあったのか、厳しく育てられ、しょっちゅう怒られていた。

日中で、土蔵の中は明かり取りの窓から陽が差していたと思うのだが、想像力たくましい頃だったので、目に映るのは真っ暗闇。
今にも闇から何かが襲ってきそうで、怖くてたまらず、泣き叫んで出してくれるように頼んだのだけれど、情けなのか少しだけ開けられた入り口の引き戸からは父の姿は一向に見えず。
ちなみにその引き戸は大層重くて、子供の力では開けられなかった。
あきらめずにしばらく泣き叫んでいたら、祖母が家から出てきて『ごめんね、おばあちゃん、出してあげられんで』と涙ぐんでいて、子ども心に、お仕置きより、大好きな祖母の涙で反省したこともうっすら記憶に残っている。

それ以来、その土蔵には近づくことすらせず、中に入ったのも多分成人してからではなかったろうか。

送られてきた画像は更地になった、かつて土蔵があった場所。
剥き出しになった地面は驚くほどに狭い。
もっと広かったと思ったのは、私が幼かったからか、深い闇が広がるイメージだったからか。

土蔵が姿を消したことで、私の恐怖の記憶も薄れてしまうのか。
ちょっとした武勇伝的な話題でもあったので、(それにしても何をしでかしたのか。)それはそれで寂しい気もする。

それはともかく、頻発する地震に、住んでいる家屋の方もダメージはあるだろうし、早く収まって欲しいと願うばかり。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?