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福官はどうやって生まれた?

参考画像は結構あちこちで拾ってきたものを使わせてもらっています。

使いたくなるヘルプ

はがねオーケストラのサポートシステム「福官(誤字ではない)」は、私がゲームを作る際に必ずプライオリティを上げる要素「使いたくなるヘルプ」を軸にして設計されたものです。

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この設計思想はアークサインの頃にも使われていて、インタビューでもそのように答えてます。

該当記事:
そこのお主!この記事を読むと幸せになれるらしいぞ…運営がなんだか勝手にインタビューを受けたようじゃが…。「アークサイン」話題の謎に迫る!コラボも見逃すでないぞよ。(Online Gamer)

別のインタビューでもっと詳しく話してた気もするけど見つかったのこれだけだった(ノ∀`)

「ヘルプ」というのは見ればおおよそが解決するものであり、取扱説明書がなくても遊んでるうちに分からないこと、知りたいことをその場で調べることが出来る便利な機能です。
しかし、大抵は詰め込み式に置いてあるか膨大な情報量をざっと流してしまうことで「見たくないもの」「見ても頭に入ってこないもの」になってしまっています。

これを解決する為に「見たくなる、使いたくなる」を重視した設計をしたわけです。これがアークサインでいえば「パートナーシステム」であり、はがねオーケストラであれば「福官」なわけです。

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アークサインでは説明文ではなく、その項目についてCV早見沙織さんのユイを筆頭としたパートナーキャラ(選択可)が雑談形式で面白おかしく語っていました。

どんなに面白いゲームでも理解できなきゃクソゲー

はがねオーケストラもチュートリアルやヘルプについて、非常に気を使って設計されていることが分かるかと思います。
例えばチュートリアルは当時流行していた「ゲーム実況動画」形式にしてあり、見る側が楽しみながら覚えられるように工夫してありました。

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この形式ですら見たくないという人向けに、スキップした時は簡単に説明するTipsを用意したかったのですが、工期とスタッフが突然半分にされてしまった関係で対応できませんでした。残念。(後に実装しました)

そのほかにも、中身を見ていなくても視覚情報から「無意識に」その機能を覚えられる方法として、ハガネが将棋の駒になってるという工夫もあります。

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小回りが利く二足なら歩、直線だけ早い逆間接なら香車といった感じです。

はがねオーケストラはRTSよりも「将棋」をベースに構築されたゲームです。なので、こういった駒を使った印象づけの方がしっくりくるわけです。

ただ、この福官も最初から上手く設計されていたわけではありません。

それ、本当に必要?

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実装当初はどこにでもあるようなただのお知らせ機能でしかありませんでした。掲示板も最新情報が上にこないなど、その設計の稚拙さが非常に目立っていました。

この仕様なら「別にパートナーいらなくね?」という話です。誰も見ませんし、利用しません。
多くのゲームタイトルで見られるこの「当たり前の仕様」は、ユーザにとって「全くもって不要なシステム」なわけです。
だからこそ、開発が多少落ち着いてきた頃に改めて私が仕様を切り直し、元々の想定していたとおりのヘルプシステムへと生まれ変わらせました。

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新しい福官システムは、すべてが対話式。

ずっとプレイしてくれていた方は分かるかと思いますが、はがオケは非常に大きくUI/UXを変更していったタイトルです。
そのいずれも好評でデータ的にも効果が高く、初めからこうであれば・・・というものばかりでした。

なぜ分かっていたにも関わらず最初から作れなかったのかについては、まあ察してください。色々、一般的な常識では理解不可能なアレやコレが起きてた会社だったのです・・・🥺

なぜ、このようなヘルプ機能開発に至ったのか

そんなこんなで生まれ変わった福官システム。
これはアークサインのパートナーシステムを元に、さらにスマートフォンという媒体の特徴をよく考えた上でアレンジを加えられています。
その参考元となったのが、一時代を気づいたデスクトップアプリ「伺か。」です。(複雑な事情があり、他にも呼び名はありますが)

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人工無能を上手く使い、デスクトップ上でキャラクター同士が対話しているようにし、機能についても逐一会話形式で答えてくれるという仕様。
それまで常駐ソフトは「常駐させ続けることが困難」でしたが、本ツールはそれを上手くカバーしていました。

ここで気づいたのが対話式であれば、人は退屈しづらい。相手の話(文)を受け取りやすいという点です。
その為、後のアークサインやはがねオーケストラでもその手法を取り入れたというわけです。

話を聞きたい、話したいという感情をさらに高める為、福官はさまざまなリアクション(タッチやタイマー、スワイプ等)を用意し、そのすべてにボイスを用意してありました。
収録時のボイスはバトルボイスと福官ボイスで半々というほどのボリュームです。
キャラクターの生命感が高まれば愛着も湧きやすく、2次創作等、さまざまな副産物、イメージを生み出すと考えてコストをかけてありました。
どのキャラクターもよく愛していただけたようで、試みとしては成功したと考えています。

いつかまた新作を作った際も、きっと「見たくなるヘルプ」が作られていると思いますよ。(・∀・) 楽しみにしていてください。

それでは。¥e

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