【読書備忘録】テルリアから死体展覧会まで
テルリア
*河出書房新社(2017)
*ウラジーミル・ソローキン(著)
*松下隆志(訳)
舞台は二十一世紀紀半ばのロシア、ヨーロッパ。首都モスクワを中心とする地域はモスコヴィアなる国に変貌し、それぞれ壁で区切られたモスクワ、ザモスクヴォレーチエ、ポドモスクワが栄えている。イスラム原理主義勢力との戦争で疲弊したヨーロッパも変わり果てており、その近未来における社会構造は概観するだけで目がくらむほど緻密だ。近年良くも悪くもわかりやすいストーリーラインが目立っていたロシアのポストモ