【読書備忘録】不浄の血からヒドゥン・オーサーズまで
不浄の血
*河出書房新社(2013)
*アイザック・バシェヴィス・シンガー 著
*西成彦 訳
十六編を収録した短編集。イディッシュ語・ユダヤ教に基づいた伝承的な物語が紡がれており、そこには人間の独白もあれば悪魔の独白もあり、荒廃した家に残された年老いた靴屋、悪魔と結婚させられた娘、欲望と狂気に駆られ屠殺人となる主婦、空虚な生活を営む老人、各時代を生きる人々の鮮烈な声が記されている。近現代を題材にとったグロテスクな宗教画が連続的に展覧されるような感覚。どの物語にも悪魔の影がち