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東大工学部推薦 体験談

はじめに

便宜上、推薦入試で入学した人を推薦生と呼びます。

自己紹介

皆さんこんにちは !
東京大学工学部1回生( 2024年4月時点 )のKengoと申します。
東大推薦の合否発表からはや1ヶ月が経ち、時の流れの早さを実感する今日この頃です。

皆さんは「東大推薦」に対して、どのようなイメージをもっていますか?
国際学術オリンピックメダリスト? 物凄い研究実績を持つスーパー高校生?
そのような学生がいることも事実ですが、実際には推薦生の大部分を占めるのは私のような普通の高校生です。
私は大した実績も持たないまま東大推薦に挑戦しました。
詳細な情報は伏せますが、私の実績は以下のような感じでした。

・マイナーな学術系大会入賞( 8位 )
・高校で行った探究活動について日本語論文を1本執筆( 受賞歴なし )
・校内英語プレゼン大会2位
・英検準一級

このように、私は目立った実績もないまま東大推薦を受験しました。
そして幸運にも東大推薦で合格することができました。
東大推薦で重要になるのは、実績ではなく、特定分野に対する自分の強い関心である、ということを多くの人に知ってもらいたく、数ヶ月前の記憶を掘り起こしてこの記事を書きました。

受験のきっかけ

私はもともと東大を一般で受験するつもりでしたが、東大について調べているうちに推薦入試の存在とそれのメリットを知り、推薦入試に挑戦したいと思うようになりました。
また、私が所属していた高校が探究活動に力を入れていたこともあり、高校で学んだことを活かせればいいなと思いました。

推薦入試のメリット・デメリット

推薦入試の受験を検討している人のために、メリットとデメリットをまとめておこうと思います。

メリット

①受験の機会が増える
これは言わずもがなだと思いますが、単純に受験のチャンスが増えます。
どうしても東大に行きたいならいいチャンスです。
②自己分析の良い機会になる
書類作成や面接対策の過程で自分のこれまでの活動を振り返ることになるため、本当に自分がやりたいことを見つめなおす貴重な機会になります。
③推薦生は様々な恩恵が受けられる
工学部の話に限定しますが、次のようなメリットがあります。

・進学振り分けを経ずに希望の学科に進める
推薦生は工学部の特定の学科群への進学が確定することになります。学科群は分野ごとに以下のように7つに分類されており、出願の際に第3希望まで選択します。

工学部の学科群 ( 出典 : 令和6年度学校推薦型選抜募集要項 )

進学振り分けを経ずに希望の学科に進学することができるため、将来やりたいことが明確に決まっている人にとっては大きなメリットになります。
その一方、進学振り分けに参加することができなくなるため、大学に入ってから将来やりたいことを決めたい人には推薦入試はおススメしません。

・早期履修制度が利用できる
早期履修制度とは、教養学部に所属している1,2年生の内から工学部の専門的な授業を履修することができる制度です。
教養教育を受ける1,2年生の内から専門的な内容に触れることができるため、これも大きなメリットになります。

・学生にアドバイザー教員が割り当てられ、履修の相談などができる
推薦生にはアドバイザー教員が割り当てられます。
定期的に面談をしてくれるため、様々な相談をすることができます。
アドバイザー教員の研究室を見学させてもらった先輩もいるそうです。

・推薦生のコミュニティに所属でき、多くの刺激をもらえる
推薦生同士は定期的に交流をしています。例えば、推薦入試の合否発表直後には「推薦生のつどい」というイベントがあります。
私の1つ上の代の先輩方は定期的に食事会などを行っているそうです。
推薦生は様々な経験を持つ面白い人たちの集まりです。
その人たちと関わることで多くの刺激をもらうことができます。

デメリット

周りが前期試験に向けて黙々と受験勉強をしている間に推薦入試の準備をしないといけないため、負担が多くなります。11月頃が特に忙しいです。

推薦入試について

それでは推薦入試の試験内容について詳しく説明します。
推薦入試の試験内容は学部・受験年度によって異なる
ので、推薦入試を受験する前に募集要項をよーく確認してください。
ここでは令和6年度の工学部推薦の試験内容について書きます。

一次試験(書類審査)

一次試験は書類審査です。提出書類は大きく分けて2つ。
①選抜志願書
400字で志望理由、800字で東大で学びたいことを書きます。
制限字数が少ないため要点を簡潔にまとめることが求められますが、言いたいことをすべてストレートに記入することはおススメしません。
試験官が質問することがなくなってしまうため、面接で変化球ばかり投げてくるようになり、面接の対策がしづらくなってしまいます。
適度に含みをもたせることで試験官の質問を予想しやすくなります。

一次試験で提出する選抜志願書

②説明書
A4用紙4枚分で「求める学生像」に合致することを説明します。
参加した課外活動の実績など、求める学生像に合致することを具体的かつ客観的に示すことができる内容について記載します。
私は、これまでに参加した課外活動の内容とそこで学んだことについて3枚分書き、残りの1枚分で将来やりたいことについて熱意100%で書きました。

一次試験で提出する説明書

書類審査で落ちることは滅多にないと言われていますが、今年度の入試でも約4分の1が書類審査で落ちているので、ある程度時間をかけて書類作成をすることをおススメします。
後述しますが、二次試験の面接はこの書類をもとにして行われるため、適当に書くと後で後悔することになります。

二次試験(面接)

二次試験は約40分間の面接です。試験官はなんと5人の教授
基本的には提出した書類をもとに質問されますが、受験者の答えに応じて柔軟な質問がされるので、対話形式というのが正しいと思います。
面接を担当する教授によって面接の雰囲気は変わってくるそうで、圧迫面接だったと言う人もいれば終始和やかだったという人もいます。
私の面接は若干圧迫面接気味でした。

質問内容は以下のようなものがありました。

【質問内容】
①志望動機
②高校での活動について詳しく説明
③高校で行った研究内容についてホワイトボードを使って説明
④得意科目と苦手科目( なぜ聞く? )
⑤なぜアカデミアに進むのではなく起業したいのか
⑥大学での専攻分野についての専門知識を問う質問 etc…

専門知識を問う質問があることは他の方の東大推薦についての記事を読んで事前に知っていたので、一次試験の合否発表(12/1)から二次試験(12/10)までの約1週間の間に専門書を読んで知識を再確認しておきました。
あとは学校の先生に協力してもらい、面接本番を想定して40分間の面接練習を何度もしてもらいました。先生方には本当に感謝しています。
正直面接内容を予想することは難しいので、下手にヤマを張りすぎないようにした方がいいと思います。面接本番で焦りたくないですよね。

面接室の様子。部屋の隅にホワイトボードが設置されている。

戦略

私の体感では、推薦合格者は次の4つのタイプに分けられます。

①JMO, JPhOなどの各種学術オリンピック出身者
②JSECなどの各種研究系課外活動出身者
③ボランティアや国際活動経験者
④熱意と将来性でアピールする人

自然科学系の学部では①と②、人文科学系の学部では③のタイプの人が多いと思います。私は大した実績がなかったので④のタイプに当たります。
①,②,③のタイプの人は、自分の実績とその課外活動で得た経験についてアピールすればよいため、対策は非常にシンプルです。
これまでの活動と、東大で取り組みたいこととの論理的なつながりを説明できるようにしておけばいいと思います。
問題は私のような④のタイプの人です。
通常は自分の強い関心を実績で証明するので、④のタイプの人は自分の知識の深さを示したり、将来の綿密な計画などを示すのが1つの方法です。

追記 : 一般入試

私は一般入試でも東大を受験する予定だったので、推薦入試の準備と並行して一般入試の受験勉強も進めました。大変でした。

共通テスト

東大は共通テストの配点が低く推薦入試での要求基準も概ね8割程度だったので、8割以上とれればいいかと楽観的に考えていました。
1年前の共通テスト同日体験受験で8割以上とれていたので、共通テストの勉強はほとんどしませんでした。そのツケが回ってきたのか、共通テスト当日に風邪をひいてしまいました。なんとかカロナール(解熱剤)を飲んで受験することができました。カロナールさまさまです。

前期二次試験

東大模試ではずっとB判定かC判定だったので、推薦入試が終わってから集中的に勉強を始めました。推薦入試の準備で忙しくなることを見越して早期から受験勉強を始めることをおススメします。

おわりに

ここまで読んでくださってありがとうございました!
この記事で東大推薦についての理解を深めていただけたなら嬉しいです。
東大推薦についての記事は、noteやその他のサイトにも多くありますので、 #東大推薦 でぜひ検索してみてください。
この記事は東大推薦、特に工学部に焦点を当てて説明しました。
もし工学部以外の学部について知りたいという人がいれば、他学部の推薦生に連絡できるように仲介しますので、私のXのアカウント(@kengoxr)までDMしてください。質問や相談でも構いません。
それでは、また!


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