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ホッとする、変わらない風景 田んぼ
都県境も近い埼玉県志木市から、荒川を渡る秋ヶ瀬橋を自転車で行く。
急に拡がる景色に、50メートルくらいの高さの橋の上から足のすくむ思いで一面の田んぼを見渡す。
お盆も明けて20日になり、半ば諦めていた風景が広がっていた。
天候の影響もあるのだろう、お盆過ぎには全て稲刈りが終わっていたこともあった。
実りの秋、収穫も近い。
このままで充分、心が動く。壮大なアートである。
暑い風が吹く。田んぼの匂いがする。
奥に映るのは秋ヶ瀬取水堰、向かって右に荒川が流れている。
子供の頃から変わらない風景に、なぜかホッとする。
なぜだろう。
両親の故郷は茨城の北。
山あいに小さな田んぼがあった。
母は私を産みに実家に帰りお盆直前に私を産んだ。
盆と正月には必ず帰省していた。
山の匂い、田んぼの風景が私の心に刻まれた。
山の匂い、田んぼの風景。
たぶんどこへ行っても変わらないもの。
仕事を始め、会社も街も、そして人も。
人間が関わると目まぐるしく変わっていく。
常に変わっていく環境。
山や川や海と空。
昔から変わらないもの。
そこで生きてきて、これからも生きていく人々。
変わらないものの中で、生きて死んでいくことへの安らぎ。
変わらない風景の中で
何も変わっていない自分に気づいて
ホッとしている。
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