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「行政行為をストップ!…ってできるの?」

 こんばんは。

 今回は、自治体職員が出くわすとダントツに嫌いなできごと「住民からの不服申立て・抗告訴訟」についてお話ししますね。実を言うと、現在、わたしの所属セクションでは不服申立てを3つも抱えてます…はあ、笑うしかないですね😂

 住民が不服申立て、はたまた抗告訴訟が提起した場合、その対象となる行政行為をストップさせることができるのでしょうか。意外と知らない職員も多いんです。




■私人がその行政行為に対して不服申立てや抗告訴訟を起こして争っている場合でも、行政庁は、裁決または判決が出るまで執行をストップして待つ必要はない。

 行政不服審査法では「審査請求は、処分の効力、処分の執行または手続の執行を妨げない」と、行政事件訴訟法では「処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行または手続の執行を妨げない」と定めています(執行不停止原則)。

 これは、どうしてそうなっているかというと、取消訴訟が起こされたときに当然に執行停止をするということになると、勝ち目がないということを十分に知っていながら、時間稼ぎのためにともかく訴えを起こすというようなケースがたくさん出てくるのではないか、そうすると、私人の権利保護ということを考えるあまりに、行政がスムーズに行われることが必要以上に妨げられる結果になってしまうのではないか、という考え方がされているからなのです。

 しかし、私人の方から見るならば、処分が違法であると考えて不服申立てまたは取消訴訟を起こしたのに、処分の効力が停止されず、執行もストップされないと言うのでは、やはり大変具合が悪いのではないでしょうか。もちろん、処分が執行されてしまっても、本体の訴訟で最後に勝って、処分が取り消されたならば、元に戻せということを求めることはできるわけですが(原状回復請求)、ただ、場合によっては元の状態に戻すということが事実上はなはだ難しいことがあります(例えば、土地が収用されて、先祖代々の由緒ある家屋や庭園が壊されてしまったような場合、あるいはもう飛行場ができてしまっているような場合などを考えてみてください)。

 そこで、行政不服審査法では「処分庁である審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行または手続の続行の全部または一部を停止その他の措置(以下「執行停止」という。)をとることができる」と、行政事件訴訟法では「処分、処分の執行または手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、処分の効力、処分の執行または手続の続行の全部または一部の停止…略…をすることができる」として、例外的に「執行停止」が認められることとされています。

 とはいうものの、ボールは行政や裁判所側に預けられている状態といっても過言ではなく、全体として行政側に有利なシステムになっていることは否定できないように思われますね。

 今日はこのあたりで。ではでは。

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