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最強の料理


そぼろ丼

お風呂介助をしているときの、たわいもない会話。

「○○さん、最強の料理ってなんやと思いますか?最近友達とお題を出しあって、出されたお題について文章を書く遊びをしてるんですけど、今回のお題が『最強の料理』やったんですよ。そもそも強い料理ってどんな料理やと思います?」

「・・・・おいしい料理。」

「じゃあ○○さんにとって最強の料理ってなんですか?一番おいしい料理って」

「・・・・」(数十秒の間が空く。彼はゆっくりと考える人だ。)

「そぼろ丼かなあ」

「へえ。小さいころお母さんが作ってくれたとか?」

「うん」

「めっちゃいいですね! いまでも実家帰ったらたまに作ってくれたりするんですか?」

「・・・(無言で首を横に振る)」


ケバブ

大学では経済学を専攻していて、海外に住んだこともある友人の答えはケバブだった。その理由はこうだ。

「遊戯王カードとかで最強いうたら、使い勝手よくて、安定して強いもんやからな。そしたらケパブや。栄養かんぺきやしめっちゃ簡単やし、うまいからな」

なるほど。たしかにケバブは手軽に食べられるしバランスがとれていて、しかもおいしい。さらに言えば、ハラール料理として僕の母校の大学の食堂に置かれていた唯一の料理だ。ムスリムにも食べられるという点で汎用性も高い。

ところで、遊戯王カードで最強のカードって何だろう。

子どものころ、強い遊戯王カードを買い取ってくれるゲーム屋さんが近所にあった。その店と同じように遊戯王カードはどこでも売れると勘違いしていた小学2年の頃のあわじ君と僕は、土曜日の夕方ごろ、おなかがすいてどうしてもお菓子が食べたくて、でもお金を持っていなかったから、たまたま持っていた大事な遊戯王カードを、泣く泣く駄菓子屋で売ろうとしたことがある。

小学校の正面にあった駄菓子屋のおばちゃんに「そんなもん私からしたらただの紙切れや!」と突っぱねられた。高い価値があるはずだった自分の遊戯王カードを貶められたことに傷つきながら、物の価値には人によって差があることを僕たちは学んだ。

当時は毎日のように友人と遊んでいた遊戯王カードだが、離れてから15年以上がたつ今の僕には、ブルーアイズホワイトドラゴンくらいしか強いカードが思い出せなかった。経済学部の友人が考える最強のカードは「人造人間サイコショッカー」らしい。確かに強かった気がするし、なんなら僕も好んでデッキに入れていたカードである。しかし、トラップカードを無効にする特殊効果があるとはいえ、防御力1500のこのカードが最強とはどうも思えない。

ぼくは最強のカードが何か、インターネットで調べることにした。(以下略)


カレーVS鍋

5人に聞いたなかで一番納得できた答えは、縄跳びが好きな職場の同僚が答えた「カレー」だった。「子どもでも簡単に作れるし、だいたいおいしくなるし、いろんな種類の具材でも入れられるし、国によって使うスパイスも全然違ってレシピも幅広いから。」

なるほど。たしかにカレーもおいしい。チキンの入ったタイカレーなどは絶品である。

しかし、この定義なら鍋も当てはまるのではないか?簡単で、だいたいおいしいし、レシピも幅広い。辛いものもあれば、きりたんぽを入れるものだってある。

カレーか、鍋か。究極の2択だ。

カレー鍋というものも世の中には存在するが、それはなんだか違う気がする。

うーん。

残念ながら、決着がつかないままタイムリミットが来てしまったようだ。

ちなみに僕が最初にイメージした最強の料理は、とろとろのチャーシューが麺を覆うくらいたっぷり乗ったチャーシュー麺だった。ビジュアルのインパクトと、激しく食欲をそそられる感じが強さを連想する。

食べたい。ただそれだけのことだ。


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文字数を大幅に超えてしまった。聞いてみる人によって「強い料理」の定義が人それぞれやったけど、「簡単」と「おいしい」ってのが割と共通していておもしろかったな。

「暮らしの中の豊かさ」→「最強の料理」の次は、

・両腕

・理科の先生の話

・リラックスしたいときにしていること

から選んでもらいます。

たまには遠くを眺めてぼーっとしようね。