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声をインターネット上に残すということ


風邪をひいた。

当たり前といえば当たり前だけど、休職中でも風邪はひくんだなと思った。
ここ数年は、風邪をひいても熱が出ることはめっきり減ったんだけど、久しぶりに微熱も出た。どちらかと言えば多動な僕は、休職中でも出かけることが多いんだけど、今日は久しぶりに、ほとんど家から出ずに過ごした。

本を読むのもだるいときに、podcastやstand.fmで人の声を聞いて眠りにつくのはいい。


昨日の夜、オードリーや南海キャンディーズらの実話をもとにしたドラマ「だが、情熱はある」をテレビで見て、7年前に他界した芸人、前田健さんのことを思い出していた。

生前の本人のtwitterの投稿は今も残っていて、2016年4月24日の最後の投稿は、新宿3丁目のお店のパスタの写真だった。その2日後に、前田さんは44歳の若さで、虚血性心不全で亡くなった。


SNSの時代、本人が生前に考えていたことを、より身近に知ることができる。著書よりも、twitterの投稿はずっと近い気がする。もしこれが、声だったらと想像する。もちろん、前田さんは有名人だから、探せば声や映像もたくさん見つかると思う。


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大学時代、友人の家で時々ボードゲームのカタンをしていた。理学部の数学科と物理学科、そして文系の友人と僕の4人はどういうきっかけか仲良くなって、その日は餃子パーティーのあと、それぞれが最近関心を持っているテーマについて、友人の家のホワイトボードに書いたりしながらちょっとした講義のようにして話していた。もうとっくに内容は忘れてしまったけど、数学科の友人の話は知的好奇心を掻き立てられて、わくわくするものだった。

なんとなく、4人の会話を音声に残したら面白いんじゃないかと思って、スマホの音声レコーダーの録音ボタンを押した。

数年後に容量が圧迫されてきたときに消してしまったんだけど、時々、あの日のことを思い出す。

理系の友人は、カタンも強かった。


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気が向いたときに、stand.fmにとりとめのない話やウクレレの練習音声を投稿することをしている。友人と、テーマを決めて話した内容を投稿することもある。テーマを決めて収録ボタンを押せば、やってることは普段の会話とそんなに変わらないはずなのに、何人いるかわからないリスナーを意識してちょっと高揚感が出て楽しい。

僕の周りにはどういうわけか、podcastやstand.fmで話や弾き語りを配信している友人がわりと多くいて、会っていなくてもその人たちの声を聞けるのがとても楽しい。引っ越して遠くに行ってしまった友人の声も、電話や会う約束をしなくても聞ける。

友人のブログやnoteを読むのも好きだけど、声だとぐっと近くに感じる。その人がひとりで考えていること、経験したことを一緒にいるときよりもたくさん聞けることもある。

頭のなかであれこれツッコミを入れたり、ふむふむと思いながら聞いている。共感すること、ユニークな考え方、意外と雑なところや、口の悪い一面、妙なところで笑ったり、テンションが上がっていたり、どれも楽しい。



我が家のパキラが少しずつ成長している。
そろそろ大きめの鉢に植え替えたいのだけど、気に入ったデザインのものが見つからない。


3年前に亡くなった友人の墓参りに、今度職場の元同僚2人と行くことになった。亡くなった友人の声は、僕はもう聞くことができないけど、元同僚2人にその友人のエピソードを聞いてみたいなあと思う。

できたらどこかに残しておいて、時々聞き返したい。
たぶん、やらないけど。


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podcastやstand.fmに収録された一人語りの声には、その人のその瞬間の関心事がそのまま残っている。アバターでもなく、そのまんまの声。

人目を気にして話す内容を選ぶことはあっても、嘘を話す人は少なそう。たぶんあんまり意味がないし、嘘をつくほど大事なことはわざわざ残さない。

聞く側も、とても素直に聞けるし、ああ、この人は今そんなことで悩んでんだなあとか、旅行中にそばを食べるのが好きなんだ、とか、よく使う言葉とか、考え方の偏りに気づいて、そこが魅力だよなあ、とか、いろんなことを思う。

僕は時々、自分の過去の声も聞き返す。

自分の声は、あんまり変わってないようで、このとき余裕ないなーとか、のんびしりてるなーなんて思うこともあるし、今では全然考えなくなったことを、当時の自分は大事にしてたんだなーなんて思えておもしろい。

背景の音、メインのテーマには関係ない導入の雑談、その日やっていたこと。音声には、いろんな情報が詰まっていて、あのとき仕事忙しかったよなーとか、友達とこんなテーマで話してたな、なんて、懐かしく思い出すことも多い。


大学1回生のとき、もう10年以上前に遠い親戚のおばちゃんに買ってもらった扇風機。
遠慮して、リモコンもない一番シンプルな安いものを買ってもらったんだけど、
シンプルな分長持ちなのか、10年以上たっても全く衰えを感じない。
おばちゃん、元気だろうか。もう長いこと連絡をとっていない。



僕と一緒に、以前、時々コラボ配信をしていた友人が、同僚にstand.fmで配信していることを話したら、「ハイソな遊びだね~」って感心されたって言ってた。僕はそのときハイソって言葉を知らなかったんだけど、別に高級でも上流でもなんでもなくて、ただ、お喋りが好きな人ならだれでも楽しめる娯楽だと思う。

いつか誰かが聞いて、くだらないことしてんなーって、くすっと笑ってくれるかもしれない。もしかしたら、身近な人の孤独を癒したり、何か楽になるような気づきを与えることができるかもしれない。

ひとりでやるのが恥ずかしかったら、友人と会ったときの思い出を残すつもりで、ぽちっと録音ボタンを押してみるの、結構おすすめです。


回し者みたいなことして、すいません。笑

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