要約 トクヴィル-平等と不平等の理論家- 宇野重規 第一章~第二章

はじめに
 『アメリカのデモクラシー』
アレクシ・ド・トクヴィル(1805~59)
19世紀フランスの思想家、『アメリカのデモクラシー』著者
…アメリカにおける包括的意味での「デモクラシー」を文明論として論ずる
左右両方に利用されやすい、近年では特にネオコン

どんな本なのか?何故ここまでの影響力を持つようになったのか?
 読みやすさ
 地方自治・司法の政治的役割・結社…現代においても重要な意味
 負の側面にも着目

…これらは既出のテーマでは?何故『デモクラシー』なのか?

 トクヴィルの思想
本書:「トクヴィルの思想が持つ今日的意義を明らかにしようとするもの」
思想家のアクチュアリティに着目、
執筆の経緯は?
トクヴィルの時代を超えた射程

他の著作にも着目
トクヴィルの思想の変化に着目、その中で思考の方向性を見つけ、示す
目的:「トクヴィルの〈可能性の中心〉をできるだけ明確な言葉で表現」

 三つの課題
(1) 「トクヴィルの〈思想〉は、単なるアメリカ論、あるいはフランス革命論としてではなく、近代社会の本質を「デモクラシー」という概念を通じて包括的に説明するグランドセオリーとして読まれるべきである」ことについて
「デモクラシー」…社会類型として用いる
中心に「諸条件の平等」
トクヴィル:新たな不平等を見落としていたわけではない、「諸条件の平等」によって近代社会の根本的特質を明らかにできると考えていた
アリストクラシーの時代における不平等と意味が全く異なる
独自のダイナミズム

(2) 「アメリカにおいて見出した「デモクラシー」が、「デモクラシー」の唯一のモデルであるどころか、必ずしも最善の「デモクラシー」であるとすら考えておらず、慎重に「デモクラシー」社会の特質とアメリカ社会の特質とを区別しようとしていたこと」の確認
トクヴィル:アメリカのデモクラシー…アメリカ社会の独自性によるもの、等しく適用できるモデルではないのでは?
…現代の読者が見失いがちな点
現代の「グローバルスタンダード」…アメリカナイズと同義であることが多い
アメリカのモデルを他に適用する際の諸条件とは?代替の条件は?
→アメリカ社会の特質について検討する必要がある

(3) 「トクヴィルが未来の社会抗争のために、いかなるヴィジョンを提示しているのか」の確認
トクヴィルの傾向と保守派の親和性…保守派に利用されやすい
しかし実態は微妙
→「ラディカルな民主主義者」としてのトクヴィルについて
当時:伝統の消滅、秩序の枠組みの模索、
→「その中でいかに社会を見つめ、自分たちの未来を決定するか」
…デモクラシーの使命
「あるべきデモクラシーの姿とは?」

第1章 青年トクヴィル、アメリカに旅立つ
1. 生まれた時代と家庭環境
 『赤と黒』の時代
1820~30 王政復古
「時代の空気」
ナポレオンの記憶…社会的上昇、社会変動と流動化の記憶
→現実・表面上は古い身分制
しかし、人々に想像力を植え付けた

 家庭環境
名門貴族一家、「過激王党派」
復古王政期の政府と社会…新旧の人材が入り交じったもの
←社会に緊張を生み出す

旧勢力の中に生まれた人が取り得る態度
 現実逃避、ノスタルジーに浸る
 「反動」
 環境に反逆、新時代側へ
トクヴィル…いずれの態度もとらない
「時代の変化は正しいもの」と考える
→「独特な態度」をとる、『デモクラシー』執筆の最大の原動力

 受けた教育
家付きの家庭教師による伝統的教育
(⇔オーギュストコントらが受けた新しい教育制度)

父の書斎での経験 「一事件」
「全般的懐疑」が精神に入り込む
ヴォルテール・ルソーらの本→信仰への懐疑、貴族階級への不安etc.

2. 知的遍歴
 トクヴィルと懐疑
フランス革命の衝撃後の旧貴族の依代…ブルボン朝とカトリック
「宗教覚醒」
トクヴィル:宗教の重要性は理解し、棄教はしなかったが、疑いの余地のない信仰には至れなかった
…個人的信仰心のみの問題ではない
カトリックへの態度が即政治的に意味を持つ状況
自分のスタンスの確立が喫緊の課題

トクヴィル:自身の懐疑を普遍的な問いへ昇華
「みずからの生まれ育った世界の自明性が損なわれ、拠って立つべきものが見失われる経験」地盤の喪失、アイデンティティの危機
→世界観の決定

トクヴィルの懐疑=具体的生活環境に由来する実感としての懐疑
(≒パスカル的思考法)(≠デカルトの方法的懐疑)

トクヴィル:「懐疑は近代的人間の性質の一つ」
一方でそれは人々を「不安、苦しみ、孤独へ導くもの」
「神を見失った時代に、人間はいかにみずからを越えた存在を見出すことができるか」 ←「自らを越えた存在」の必要性??ただ自分のみがそこに立つのではダメなのか(P35 l4)
 法曹の道へ
高校卒業後、法曹へ(家族の常識に反する)…「抵抗」?
しかし法律の勉強には身が入らず
判事修習生…興味もてず、歴史の独学とボーモンとの出会い

 ギゾーの文明史講義の衝撃
フランソワ・ギゾーの文明史
文明史…諸要素を文明の概念下に統合、歴史をグローバルに説明

ヨーロッパ文明史におけるダイナミズムの原因…
「過度に統一されることなく、つねに多元的であったこと」「世俗権力と宗教権力の分立」「世俗権力もまたつねに多元的であったこと」
…巨視的な視点からヨーロッパ史における権力形態の推移を説明
フランス革命すら必然のイベント
(「自由の発展」と「中央集権化」の弁証法的関係による一つの到達点)

→文明史的視点への関心、自らが置かれている貴族身分の客観的状況と今後、フランス革命の展望etc. トクヴィルがまさに求めていたもの
→思考の一つの方向性を示唆、思考枠組みの提供
これを用いてアメリカ社会を分析

 アメリカ視察旅行へ
1830年7月28日~29日:「栄光の三日間」、ブルボン朝倒れ、オルレアン朝へ
トクヴィル:いずれにも肩入れせず、微妙な感情
司法官への忠誠の強制…家族(旧派)の圧力を退け新王朝に従う

法曹としての将来が見いだせない(職業への興味面、政治的スタンスを定めることができないことへのもどかしさ)

→アメリカ視察旅行を構想

北東部(ニューイングランド)中心、「偏り」は否めない
米仏関係は良好、歓迎

3. 『デモクラシー』執筆まで
何故アメリカを研究対象に?
…「19世紀初頭のフランスにとってアメリカがどのような存在だったのか」を考える
「アメリカが共和国であったこと」
「都市国家より大きい国に共和制は可能なのか」…古くからの政治学上の大きな論点

「フランスにおける共和制の実現可能性」が念頭(君主制→共和制→王政復古→七月革命を経たフランスにおいて実感を持つ問題)
→「現存する大国共和国としてのアメリカ」が最重要

エキゾチック・ロマンティックな関心「新大陸」

アメリカ…フランスにとって「二重の存在」
 フランスの未来
 純朴な習俗を保つ国
どっち??

トクヴィルの答え…フランスの未来
←アメリカ:「諸条件の平等」が極限に達した、「デモクラシー」が最も発展した国
デモクラシーは共通の未来

 アメリカ社会の観察
いかにして『デモクラシー』の構想に至ったのか
ブロードウェイ
社交界からの気づき
 中産階級が社会の中心
 アメリカン人の習俗←宗教の役割に大きな関心

カナダへ
 ネイティブアメリカンの現状
 フランス系移民の子孫たちが置かれている地位…フランスの植民地経営失敗の煽り、「棄民」
…英仏比較の問題意識、後のアルジェリア植民へのスタンスに影響

ボストン
「中産階級の国」という洞察を更に深める
←平等主義的な相続制度、貴族階級は成立しにくい社会
ダイナミズムの正体は「平等化」ではないかという意識

共和政の評価
実感「統治の不在」
しかし社会は正常に機能
→根底での自然発生的な「デモクラシー」が背景に存在するのではないか
ボトムアップ的自治

 『デモクラシー』の基本的な視座
アメリカ…全く新しい共和政(≠モンテスキュー)
「正しく理解された(自己)利益」
←社会の底辺における自治活動、陪審制や結社を通じての政治参加

アメリカ…自己利益の追求と健全な共和政の維持の両立を実証
(徳と自己犠牲(モンテスキュー)の不必要性)

関心…共和政から民主政へ
共和政:元来「世襲の君主のいない政治体制」
しかしそれには収まらない意味の広がり

 古代ローマの共和政:統領・元老院・民会からなる混合政体
 レース・プブリカ(「公共の事柄」):国家一般、「国家とは公共の利益」
→エリート主義的色彩

 混合政体のバランスに基づくもの、君主・貴族の補完(「優れた少数者」)によって成り立つ
 全ての市民の公共の利益に繋がる政治≠全ての市民による政治
…近代、民衆の政治参加が進むにつれてより強調

アメリカの建国においても共和政ローマが意識
混合政体
『ザ・フェデラリスト』…いかに民主的要素を抑制するか

トクヴィルの関心…「君主の存在の有無」から「社会的ダイナミズム」へ
アメリカ観察の結論:アメリカ政治を動かすのは「一般市民の日常的政治活動」
→ヨーロッパにおいて絶対的だったローマ共和政から比重を移し、
(「貧しい」)民主政の「偏見」を覆した

「諸条件の平等」…「アメリカの中の、アメリカを越えるもの」
ヨーロッパ社会を動かす力
大きな視点の転回

 フランス貴族へのメッセージ
最初の読者…親族
…「諸条件の平等」と対極の人々
何を語ろうとした?
デモクラシーの発展は共通の未来
抗えない、「摂理」(宗教的含意を伴う)
→反動との決別を促す

革命の記憶…恐怖、生々しい
理論的営為によってそれを拭いたい
「デモクラシー」と「革命」の区別
デモクラシーの一般的性格、革命はフランスの特質故であることの説明

出自と時代の矛盾の客観視という試み
更なる難問と模索の始まり
 「デモクラシーの本質」
 「いかなる社会においても適用可能なのか」
 「内在する問題は?どのように対応すべき?」

デモクラシー…パンドラの箱


第2章 平等と不平等の理論家 p57-91
1. 平等化とは何か p57-69
 「諸条件の平等」
『デモクラシー』執筆に専念できたのは帰国から1年半後
「アメリカを越える」“何か”の概念化
トクヴィル:それぞれの社会には、その社会を突き動かす最も根源的な原理が存在
ある社会を理解するには、その原理を明確に理解することが重要(モンテスキューの影響)

アメリカ社会の原理…「諸条件の平等」
…一体何?本当にデモクラシー社会の「原理」なのか?

トクヴィル:「諸条件の平等」を〈ただ単にアメリカ社会を理解するためにのみ必要な原理〉とはみなさなかった
〈アメリカ社会の原理〉かつ〈ヨーロッパの過去と未来を説明する原理〉
→平等化・貴族の没落は歴史の必然、自らの出自に対し態度決定

『デモクラシー』序文
過去700年のヨーロッパ史…平等化の不可逆の発展
平等化の中心…聖職者→法律家→商人
王・貴族(旧権力者)の自滅
技術、知識、プロテスタンティズム、制度、新大陸etc.…平等化を推し進める原動力
人々は、平等の理想の下に現実の不平等を克服していったわけではなく、(意に反して、或いは無自覚に)結果として平等化に貢献してしまった ←ヘーゲル?世界精神?

新たな不平等、経済的・階級的対立の出現
→「平等化は歴史の不可逆の方向性だ」と言い切るにはまだ説得力に欠ける

 平等の想像力
別の角度から平等化を考える

平等化以前:身分制は自明、意識すらしない(できない?)
お互いに、異なる(非人道的な)扱いに対しても人間的感情は持ち得ない

トクヴィルの〈平等化〉…想像力の変質、象徴秩序の変容、自分と他者との関係のあり方の捉え直し
→議論のポイントが変わる ←「変わる」とは?従来は?

社会のヒエラルキー的秩序が自明でなくなる
権威、支配-服従関係の非自明化…「想像力の変質」
異なる扱いをすることに理由が求められる…「デモクラシーの社会」
『ボヴァリー夫人』

新たな想像力の普及
読書体験、700年の歴史、フランス革命

『デモクラシー』=〈民主的人間(ホモ・デモクラティクス)〉の人間学

 〈民主的人間(ホモ・デモクラティクス)〉p65-
〈民主的人間〉とは?
他者を同類とみなす想像力を持つ人、「人類」の理念

⇔「アリストクラシー」の社会
身分間の「壁」がリアリティを持つ
極めて抽象的な「人類」概念

他者と自分の同質視、自分と全く異なる人間の存在について想像しにくくなる
→権威のあり方について、特定の個人<個人の総体(「社会」、「人類」)

自己認識の変更
「人類」に帰属する個人のうちの一人としての自分
「あらゆる社会的諸関係は、作為として生み出されるものにすぎない」
自分らしさ・独自性の抽象化 ←現代における人間の「平均化」?

 「アリストクラシー」の社会
デモクラシー社会と正反対な社会…「アリストクラシー」の社会
不平等が社会原理、ヒエラルキーの自明化、所属する集団のメンバー(同じ身分の人々)との深い繋がり

ルール・規範、価値の源泉、ヒエラルキー…外部から与えられたもの、
「正当」であり、服従に喜びを感じることすらある

「アリストクラシー」…元来「優れたものの支配」という意味、優劣の基準は所与

トクヴィル:「デモクラシー」以前の社会は全て「アリストクラシー」(≠一般的な歴史学)
←トクヴィルの問題意識の表れ ←「問題意識」とは?(古代ギリシア・ローマと中世ヨーロッパ封建社会の共通点)

アリストクラシー社会…人間間の差異はそれ自体前提であり、自明なもの、無価値
デモクラシー社会…平等が前提であるが故に、差異・個性が価値を持つ

デモクラシー社会における個性の追求=「平等の枠内において、平等が許容するかたちで差異を取り戻そうとする試み」 ←消費社会、ボードリヤール?

2. 平等社会のダイナミズム
 平等社会における不平等
平等の想像力の普及≠現実の不平等の撲滅 ←現代に通ずるのでは
→現実の不平等についてトクヴィルはどう論じた?

「平等社会においても不平等はなくならない」ことを前提に、〈不平等社会における不平等〉と〈平等社会における不平等〉の性質の違いに注目
(「社会の中で自然なものか異質なものか」の違い、前述)
平等社会の不平等の方がより鋭敏に意識されること
…平等化の本質が「想像力の変質」であれば、必然の結果

『旧体制と革命』においてフランス革命に応用、説明

 フランス革命の原因
トクヴィル:有力な見方(=「革命による断絶をことさらに強調するような見方」)の相対化
旧体制下で既に中央集権へ向かっていたが、革命はこの流れを加速させたにすぎない “必然の結果”と考える

革命は何故起きたのか?
事件としてのフランス革命が起きたメカニズムの解析
 旧体制下における貴族のあり方
 当時の知識人(文人・哲学者・経済学者)のあり方
共通点…政治の実務から切り離され、無力であった

 知識人
集権化に伴う政治からの疎外と引き換えに、一般的・抽象的な理論の分野について自由な議論を許された
→政治理論の急進化、パリの影響力、メディアによる増幅→革命の原動力

 貴族
トクヴィル:「フランス革命は、フランスが西欧諸国の中で農奴解放が進んだ国であった故に起きた」
(…従来の革命のイメージにそぐわない、逆説的な説明)
→「平等社会における不平等」の論理を応用

一定の自由が認められたフランス農民にとって、「政治機能を持たないのに特権を持ち、負担を免除されている」貴族は目障りな存在に映る、「何故?」
不平等の自覚、特権の不当性の可視化→革命の原動力

 心理的還元?
トクヴィルは革命のメカニズムを、単なる嫉妬・憎悪に還元したのか?
←不十分な理解

トクヴィル:「平等社会において、不平等を正当化する論理はもはや存在しなくなる」点を問題にした
アリストクラシー社会→デモクラシー社会
…ヒエラルキーの非自明化、主従関係(及びその感覚)の洗い直し

「デモクラシー」社会…「独自のダイナミズム」を持つ、
「各人が等しく自由への権利を持つ」ことの自覚…異議申し立て、デモクラシー社会は原理的にこれを否定できない→社会を(急激に、或いは漸進的に)変化させる、
異議申し立てに開かれた社会、つねに新しい異議申し立てを生み出していく社会

 平等化が及ぶ範囲
トクヴィルは、平等化の及ぶ範囲をどこまで想定していたのか?
…平等化の不可逆の発展について、キリスト教的西洋社会だけが対象、非キリスト教徒については想定外だった可能性

黒人・ネイティブアメリカンについて…『デモクラシー』の一体性にとっては脅威

「平等化が極限に達した国」アメリカ⇔人種間不平等が危機になることを予言

どう論じた?
黒人の状況(奴隷制)について、より問題視 「深刻かつ不正」

基本的構想としては「平等の国アメリカ」(一貫性)
しかし『デモクラシー』終盤に人種論についてかなりのウエイトを置いた…トクヴィルの問題意識が垣間見える

トクヴィルが平等化として論じた領域は限定的
エスニシティについて未消化
平等の範囲の想定についても不明

しかし(本書の議論・視点からすれば)平等化のダイナミズムがキリスト教社会の枠を越えて拡大する可能性を疑うことはできない

平等化論の意義
指摘:平等化の力がキリスト教的西洋社会を根本的に変えていきつつあること
明らかにしたこと:西洋社会の内部になお不平等が残っていること
+西洋社会の外部にも巨大な不平等が存在していること ←?

…トクヴィルは「平等と不平等の理論家」「平等と不平等が生み出すダイナミズムについての理論家」である(「平等の理論家」では不十分)

現実の人類の歴史
平等化は西洋社会の内部/外部を問わず普及、浸透
今日も進行中 ←具体的には?
…『デモクラシー』の射程はキリスト教国民を越えている

「平等社会でも不平等は残る」「〈不平等社会の不平等〉と〈平等社会の不平等〉は、それぞれ性質が全く異なる」「平等社会でも不平等はなくならないが、異議申し立ての原理が働き、平等化へのダイナミズムはつねに生まれている」
…近代社会の最大の特質、トクヴィルの〈可能性の中心〉

3. 平等社会の両義性
 精神のデカルト主義
トクヴィル:平等社会のダイナミズムに負の側面も見出す(…第二巻)

「アメリカ人は無自覚にデカルト主義になっている」
…自分の理性の見地から、全てを疑い、検討し直す ←一概に言えるのか?

第二巻…〈民主的人間〉の抽象的考察
…「懐疑と想像力」、概ね肯定的評価

あやうさも指摘…青年期の自身の体験と重ね合わせる
根拠への懐疑→自らをも不安定にさせる ←現代人は?

 デモクラシー社会における権威

近代西欧の地の歴史…外部における大きな根拠/権威の喪失

「何が起ころうとも、知性と道徳の領域にはつねに権威がどこかに存在しなければならない」

 「個人主義」
19世紀初頭フランスで登場
トクヴィル…利己主義との区別において用いる

個人主義…「外部/他者に対する関心の希薄化」

フランス革命、精神的無秩序
社会的紐帯から個人を切り離す傾向 ←デュルケーム「アノミー」?

思いがけない展開
フランスの理論的・実戦的関心…「切り離された個人を社会の中にいかに埋め戻すか」…自然な帰結
理念としての「個人からなる社会」→無秩序を生む

 「多数の暴政」
トクヴィルの「個人主義」…独自性
トクヴィル:「平等化はより強固な秩序を生み出す」…?

トクヴィルの「個人主義」の二面性
「他の人と同等」=「大多数のうちの一人にすぎない」 
…アンバランスな個人の自意識

無自覚に大きな権威を求める
「同等者の総体」→「多数の暴政」…デモクラシー社会の最大の問題の一つ ←フロム「自由からの逃走」?

 「民主的専制」
「多数の暴政」との区別
想像力・象徴秩序の変容がもたらす新しい秩序の姿を問題にするもの

社会の平等化…個人の埋没、相対的な集団的権力への依存
→権力が影響力を拡大する絶好の機会 「後見的権力」

トクヴィル:平等化の帰結の二面性
「デモクラシー社会」の到来は不可避と考えた上で、それをよりよいものにするため

→アメリカ社会の分析へ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?