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サッカー天皇杯 2021−1回戦

 第101回サッカー天皇杯の1回戦の24ゲーム(2ゲームが延期)が5月22・23日に行われ、48チームが登場した。内訳はカテゴリー上位からJ2が4チーム、J3が11チーム、JFL10チーム、関東関西などの地域リーグ所属が14チーム、広島県リーグから1チーム(福山シティFC)、そして大学が8チーム*1である。
 唯一の県リーグチームの福山シティFCは、本来中国リーグに昇格するはずのところコロナ禍でリーグ戦が開催されなかったために県リーグに留め置かれたもので、昨年の天皇杯でも準々決勝まで進出するなど実力は十分のチームである。
(*1.大学名のチームで地域リーグや県リーグに所属しているケースもあるが、ここでは「大学」と区分する。)
 さて、結果はどうなったか。J3の11チームは内9チームが、JFLの10チームは7チームが勝ち残り実力を示した。一方、地域リーグ14チームは地域リーグ同士の対戦に勝った3チームと大学チームに勝った1チームを含めて5チーム、大学チームは大学同士の対戦に勝った1チーム(関西学院大学)だけが残るという厳しい結果となった。それ以上に問題なのはJ2の4チームで、残ったのは大学に勝った1チーム(SC相模原)だけで他の3チームは全て姿を消してしまった。内訳をみると、ブラウブリッツ秋田は地域リーグ(北海道)の十勝スカイアースに、愛媛FCは同じ愛媛県のFC今治(J3)に、レノファ山口は昨年のJFL王者でシードされたヴェルスパ大分に敗れている。
 実はJ2で1回戦から出場している4チームは、コロナ禍で降格が無かった昨年のリーグ最下位2チームと今季昇格した2チームで、健闘して上位〜中位にいる秋田を除いて今季も下位に低迷しているチームである。しかも今年のリーグ戦では下位4チームが降格という厳しい条件のため、おそらくリーグ戦を優先した選手起用とならざるを得ず、ベストメンバーでは戦えなかったのではないかと思われる。
 1回戦にはJ1チームが出場しないので典型的な「ジャイアントキリング“GK”」は見られないが、カテゴリーが上のチームが下のチームに敗れたゲームは6つ生まれている。上記のJ2チームが敗れたゲーム以外では、JFLの松江シティFCが広島県リーグの福山シティFCに、J3上位にいるFC岐阜が元々アマチュア最強とされるHonda FCに、そしてJ3の下位で苦しむカマタマーレ讃岐がJFLの高知ユナイテッドSCに敗れているのだが、負けたチームには申し訳ないがさほどの“GK”とは感じられない。
 格上に勝った6チームの中で、上記の福山シティFCと並んで注目したいのは、今季好調のブラウブリッツ秋田(J2)を破った北海道十勝スカイアース(北海道リーグ)である。今このチームを実質的に率いているのは元日本代表の城彰二であり、高原直泰が自ら設立した沖縄SV(九州リーグ)、ガンバのOB達が創設したティアモ枚方(JFL)などと同様に、良い意味での自身の知名度と人脈を武器に特定の企業に依存せずに地域に根を下ろしたクラブを創り上げようとしているからである。また、元日本代表監督の岡田武史さんが社長であるFC今治には、駒野や橋本英郎といった元代表選手が所属、このゲームで決勝点を挙げたのが駒野だったのも懐かしい驚きであった。
 来月初旬の2回戦からはJ2・J1の各チームが加わってくる。1回戦で残った24チームと今後代替日程で行われるであろう2ゲームの勝者たちはどこまで勝ち上がって行けるだろうか。

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