2024年22号


表紙:全然知らない国で古典落語



《特集》絵文字のみで語る「emojirap」

概要

2018年4月、無明蕎麦とSIXによって公開された「emojirap」。
emojirapシリーズ第1作であるこの作品は、“悪夢の始まり”“emojirapビギニング”とも呼ばれ、今なおファンから愛されています。

そんな「emojirap」ですが、歌詞が絵文字のみで構成されており、日本語訳が記載されていないため、解読が困難であり、初心者にとってはハードルの高い作品――との声もしばしば聞かれました。
そこで、作品世界をより深く楽しめるよう、作者の二人に「emojirap」の見どころを語ってもらいました。
すでにemojirapシリーズを熟知している方から、今回はじめて触れる方まで、どうぞごゆっくりとお楽しみください。

なお、この対談はemojirapシリーズの流儀に則り、絵文字のみで行われました。

***

🤷‍♂️😨😰😱😇🈚️
❓❔❓❔
👾👽👾👽

無明蕎麦:
👆📧🎤🫢

無明蕎麦:
🅱️🍵〰2️⃣1️⃣📆🙋🏻👣

SIX:
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🗓😴🛌
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🦎🕷🗣🎤🎶

SIX:
🎷🏠📖🧠💚🔥

無明蕎麦:
😎♪🌊🗣3️⃣🍮👍

SIX:
🎤💿🤔❓💬💡✨

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無明蕎麦:
🐌🐌🐌🐌〜

無明蕎麦:
🅰️🅰️🅰️🔂👶🏻👶👶🏾🗣
☝️📧🎤✨

SIX:
🐌🔁💮🌊🔍✅

🙏💔✅
🖕6️⃣🤛
🇺🇬🇼🇫🇧🇿🇲🇴🐄👏
💩🎤💃

SIX:
👿💜🎁🪐🎹⛲️

無明蕎麦:
🙇‍♂️🤕🤛
🫘🧠🐄👏⬅️牛ほめ
💃⬅️❓

SIX:
🙏⛔️💪
🪭📚❓9️⃣
💃🚄💫

👍👶2⃣Ⓜ©
🆒🅱🅿Ⓜ↕↔
📅®🅰🅿🅿ℹ🆖🎁🎁🎁
👬🚂🚂

SIX:
👩‍👩‍👧📺3️⃣🍮👍
🆒🔥🟰😎
📅🐙⏺️🥲
👺🖤🚂

無明蕎麦:
🅰️🔧👏🚂🚂👍
🐙👁💚💜💚💜💞

👤💭❓
🔧🆖🚮
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👑✨🚂🚂

SIX:
🪴📈✅
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無明蕎麦:
🌑🔂🌕📝💞
🚂🚂👏😭🎤💦

SIX:
🙇‍♀️🍎

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😊🌊🔝🅿🔛🚻
🎓6⃣📕
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SIX:
😡🌏📅
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無明蕎麦:
🔝🅿🔛⬅️🅰️🪚🪛😎
💟💞

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💯💑0⃣
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SIX:
🐢🔊🚩
🟠🟣🟢🟡
💯📈🪐
🖋️☀️🍮😉

無明蕎麦:
🏥🚑🌸🎌🗣🎶⚙📈
👧🐥🔔〆👌

無明蕎麦:
3️⃣☀️😲

SIX:
🙏

(文/無明蕎麦 from M.C.Z、SIX)



《特集》「証人喚問」許容度アンケート結果(2)

概要

先日実施した“「証人喚問」許容度アンケート”に多くのご回答をいただき、ありがとうございます。
ここでは、皆様にいただいたコメントから一部をご紹介します。

2024年20号に掲載した“「証人喚問」許容度アンケート結果(1)”のつづきとなります。

また、アンケートに未回答の方は、こちらのURLよりぜひご回答ください。
https://forms.gle/ma98Epb9HFwrTihXA

採点対象

World Technique「証人喚問 feat.M.C.Z, ぺーた, SIX」
(今回は、パート5「自ら手放す 実行権を」~パート9「どうオツに蹴るか」までが対象)

許容度アンケート(抜粋)

5

① 自ら手放す 実行権を
② 陥ってナーバス 自己嫌悪
③ “インターネットの端っこ”を請け負う
④ 彷徨う様 マジ滑稽 乙

9
「自ら手放す 実行権を」「陥ってナーバス 自己嫌悪」と倒置法を連続しているのが引っ掛かる(-1)
単体としてはいずれも自然だと思う

9
ここは苦しい感じもなくきれいな韻だと思います。ただ「手放す実行権を」が前の「お寄越しエンジンキーもうターン任さんッ!!」と矛盾するように感じました。

8
②の素材先行なので韻についてはやや物足りなく感じる部分もあるが、ルールとは無関係の韻を隙あらば入れていることに作者の韻への拘りを感じるし、変態性が垣間見えるとも言える。

10
押韻島でも頭抜けた実力者として名高く、平常時から踏みすぎて何を言っているのか一聴しただけでは分からないこともあるという同音ライムのスペシャリスト、petaによる一投目。卑屈なインターネットアンダーグラウンドレペゼンが芳しく、【手放す】【てナーバス】のアナグラム、【彷徨う様 マ】の「さま」踏みもギンギラギンにさりげない。発音すると舌が気持ちいい。

6

① ―ライミン。 忠誠心問うらしい
② 盲目な網膜 正視と乱視
③ 半端な思いで接しとらんし
④ 今 交わるよ 精子と卵子

8
「正視と乱視」は前段からのつながりがよく分からず、説明不足に感じる(-1)
「精子と卵子」は肯定的に解釈すれば“作品が今生まれる”という意味かもしれないが、説明不足か(-1)
説明より繋ぎ音数を重視しているように見える

7
2行目の「正視と乱視」が若干唐突な印象を受けました。4行目と格助詞「と」が被っているのも気になりました。

8
対比となる言葉を並列させた②④の踏み方は面白いが、やはり接続詞「と」が重複しているのは物足りなさが残る。おそらくは④の素材先行と考えられるが、作者の癖がこのブロックにおいては悪い方向に出た気がする。

10
文章間の意味の連帯はぶっちゃけ怪しいものの、petaらしい丁寧な音合わせが堪能できる。ど頭からモーターを真っ赤に蒸していたSIXに比べるとトビっぷりは抑えられ──具体的にはトンデモな造語やアクの強い名詞の使用は控えられており、ジャブの連発といったところ。同音ライム4連打縛りでソツなくジャブを連発する彼の業前が発揮されるとともに、4連打目の素材選びには危険な域に達した下ネタの遣い手としても知られる彼の性豪っぷりの片鱗が伺える。前段の【端っこ”を請け負う】同様、【忠誠心問うらしい】のような、他の3連打に敢えて発音を寄せない、とは言え素直にそのまま読んでいるだけでもない若干崩したフローを混ぜる遊びが聴いていてクセになる。
しれっと繋ぎに仕込まれているが【盲目な網膜】という音遊び・言葉遊びを兼ね備えたラインは噛みごたえ十分。このフレーズ自体を素材に一ラインひねれるくらいのポテンシャル、解きしろを残しており、翻って、韻を接続して文章に馴染ませるための一介の繋ぎとしてはやや持て余すだろうか。【正視と乱視】【精子と卵子】における【と】の重複はベーシックな韻の評価としては減点ポイントかも知れないが、「対照する単語を並列した文同士」という構成における類似性、言わば構成での押韻は、配置の妙もあって、鋳型ライム©︎SIXが醸すシンメトリーな構造物を目にした時の視覚的な面白さに似た効果を産んでいる。
【ーライミン。 】は押韻島独特の構文であり、一種のスラングと言ってもいいだろう。起源や推奨される使い方の解説は有識者に譲るが、結果的に地域性、身内ノリ性の強い言葉を使って仲間意識を強調するHIPHOPお作法に則っている感もある。

7

① いいね!ばっかうるせえしトランシーバー
② 電波混信 虚勢・嫉妬・乱心の類
③ ここじゃ制し通らしはせん
④ 禁断の地 accessing transit
⑤ 弟子は取らんし 聖使徒らシッシッ
⑥ この共演 スコセッシとランシド
⑦ M+P+6+W セシン+トラシン
⑧ 泳ぐ音楽が五線紙とLAN Sync

9
英語に明るくないので「transit」のネイティブな発音はわかりませんが、日本語ではトランジットと読むかと思います。
そうすると子音不一致となるのではと思いました。
自分も濁音の扱いはかなりファジーな方なので人のことは言えませんが。

7
共同作業者の選定した素材に被せたうえにそれを上回る回数を重ねるという行為は当てつけのようでもあり、相手のモチベーションを下げかねない行為。人の心が無い。また、ルールが4連打"以上"とは言え、質の低い素材を混在させてまで8連打にするメリットがあったとは思えない。
「トランシーバー/transit」は同義韻の疑いあり。④は英語表記で誤魔化しているが一般的には"トランジット"のような気もするし、どうせ誤魔化すなら「accessin'」表記で良かった気がする。⑤の「弟子は取らんし」は「痛むヒップ」と同様の理由でマイナスなうえに前ブロックの「接しとらんし」とも被る。⑥⑧も対比を並べた前ブロックほど効果的な用い方には見えない。例えば⑥は映画監督同士やバンド同士であれば印象は違ったように思う。⑦に関しては8個用意する為の苦肉の策というかほぼ反則。

10
SIXの悪癖「既に縛りが設けられている制作に、自ら別の縛りを課してくる」が発動。今回はpetaが前段でもう4発撃っている「せ(い)しとら(ん)し」を拝借して、
 
8連打
 
追加するお戯れを披露している。自身又は他者が押韻に用いた素材を拝借して別解を見せつけるかの如く重ねて踏む、サンプリングというかライムの追い討ちは邪神SIXの十八番ムーブの一つであるが、まさか証人喚問でやるかねという。
このやり込み感、やり過ぎ感こそがSIX節なのである。いかれたギミック(しかも大概は自ら企画した)に対応するだけでなく、更に上乗せして、更に捻りを加える。特に韻を用いた表現における「ここまでこの韻を踏み通せたら気持ちいいやろなあ」「ここでこの韻踏み返せたらアがるなあ」という想定を、時には「とは言え流石にここまではできないだろうなあ」という想像すら及ばない形で顕現させてしまう、尊敬を通り越して呆れを通り越して恐怖で笑けてくるような、底知れぬスキルと実行力を無邪気に振り回す6次元ポケットのドラミちゃんがSIXというプレイヤーなのである。「そりゃ他のプレイヤーが既に4連打したライム使ってもう4連打とか、できたら凄い。無理だけど」に対する「できらあ(8連打)」。そもそも証人喚問は同音ライム4連打“以上”縛りなので人のライムで更に8連打してもルール上問題無い建て付けになっているのがまた抜け目ない。邪神!
なお、追い討ち行為は後述の【証人喚問】踏みにおいて、別の音源にさえ跨って更に禍々しくヒートアップしていくこととなる。
そんな訳で、本パートは「やり過ぎておもろい」ネタであることが優先されたラインかと思われるが、同時に独立したライムでもあるため、内容や韻のクオリティについても言及しておく。
先ず内容。デジタル化の潮流に呑まれ逃れられないインプレッションの多寡やより浮き彫りになった暗愚なる人類の後ろ暗い裏垢感情に気取られてばかりの俗世とは距離を置いて、只管己の欲するところに従い創作へ打ち込むスタンスの誇示、からのネームドロップと隠喩を絡めたボースティングという、如何にもラッパーらしい、「いつもの」テーマにギミックとライムを詰めていくSIXお得意のパターンが展開されている。
個人的に、曲にしてまで言いたいこと、伝えたいこと、表現したいことは、多彩であればあるほど、詳細であればあるほど曲のアイデンティティを補強してくれると考えているので、曲ごとに異なるテーマを持たせて、その曲ではそのテーマのみを語り通すくらいの思い入れが見えてもいいかなとは感じるが、殊SIXが手がける作品、しかも証人喚問のような曲自体のハード面に突出した仕掛けを設けているフィールドにあっては、仕掛けをなんとか乗りこなしながら繰り広げられるライミングこそが主役であり、そういうジャンルとして享受している感は否めない。SIXモノ。SIXの冒険シリーズ。凡百のアーティストはテーマに沿って詞を書く中で韻も踏めるよう工夫する訳だが、こちとら韻を踏みたい欲が、それも高難度の制約を課して踏みたい欲が先立った作詞であり、無理に内容でも特別なテーマを足して焦点を散らすよりは韻をストレートに楽しめるようシンプルな味つけに落ち着かせるのも確実に正解択の一つと言えるだろう。SIXがゴリッと踏みつつ恋愛遍歴を語るズンドコ節を聴きたくないと言えば嘘になるけども。なんならそんなに踏んでなくても聴くけども。
韻について。既に4連打済みの音を回収しての追い討ちのために【虚勢・嫉妬・乱心】の【・】や【セシン+トラシン】の【+】といった、単語を区切りつつ発音はしなくて済む記号が駆り出されている点は、テクニカルでありつつも文章としての不自然さを鑑みて「韻に踏まれている」箇所と言えなくもないが、【+】のためにラップあるあるのイニシャルを使ったネームドロップを【M+P+6+W】と表記する努力は決して憎めない。【accessing transit】にしても、英語を使うことで助詞の使用をスキップし語の被りを回避しながら音を抽出する荒業の賜物であり、一応【通らしはせん】から交通関連のワードに繋げる(ように見せる)配慮を加味しても、和訳や意訳をすっ飛ばしてリスナーの「やり過ぎやり過ぎw」というツッコミを引き出す豪快なプレイング。熱心なファンならSIX不朽のマスターピース『立入禁止』を匂わせる【禁断の地】の採用にニヤつけるだろう。厄介なレベルで熱心なファンは「いやコレ繋ぎとして機能してんのか?」となるかも。
【スコセッシとランシド】は恐らく映画監督界とパンクロック界の巨匠たるアーティスト同士、【セシン+トラシン】はどちらも化学的に云々して生じる成分?の名称で揃えていると推測され、執念の発掘力はよくぞ見つけてきたな〜という感嘆を誘うものの、文章として読むとなると、定型的なボースティングのダシに使うにしても説明十分とまでは行っていないように思う。やはり全体で「踏めること」への比重が「読めること」へのそれを上回っている印象。リスナーの【セシン】と【トラシン】の組み合わせに対する見識が深ければまた違った読み方が可能だろうが、私はぶっちゃけ【キモオタマッカッサー】の方が好み。
1verse目の【痛むヒップ】同様、音は外しているものの【弟子は取らんし】でも踏むなど、だって踏めるんだもんとばかりに少ない繋ぎ部分に韻をマシていく意欲的な趣向が見られる。ただ【痛むヒップ】よりかは文章として読んだ時のスムーズさには欠けるかな。また、蠢き躍動するライムだけでなく、前段の【精子】からオタマジャクシ→音符♪→【泳ぐ音楽が五線紙とLAN Sync】という、連想ゲームを張り巡らせているのも楽しい。
証人喚問に纏わる種々のウワサ伝説ゴシップ七不思議に「元はSIX→peta→M.C.Zの順で書いていたものに後からSIXが追い討ちパートを割り込ませた」というものがあるが、構成を見る限り強ち単なるウワサ伝説ゴシップ七不思議でもないのかも知れない。

8

① お題無茶過ぎてはぁ?とデータキル
② でも韻も難易度も「ハード」で滾る
③ 俺氏興奮で口からハート出た
④ ギルティ
(中略)
⑤ 範人…大典太…ギル…
⑥ ハント…デッタン…キール…
⑦ あとテンタキル

9
「データキル」はよく分からない(-1)
人名列挙パートは元ネタをひとつも知らないが、謎の説得力を感じたのでOK
濁音の差異に大らかな点は個性として尊重したいが、同音ライムを謳った企画であることを考えると少し残念

8
ここも濁音を許容するかどうかで評価が変わってきそうです。
固有名詞の羅列による韻は人を選びそうですが、個人的に面白いと思いました。
願わくば最後の「あとテンタキル」も「h」の子音頑張って欲しかった。

評価なし
踏む為に特に思い入れのない固有名詞が使われた直前のブロックとは対照的に、作者の趣味が漏れ出たキャラクター名の羅列は動画ならではの表示方法も含めて非常に面白く、繋ぎ無しで踏み切っている点も素晴らしい。同音のルールには違反しているので評価はなし。失格!(by有田哲平)

10
証人喚問史上3人目のチャレンジャーはmic checkerz(M.C.Z)から怪蠱厨。M.C.Zでは最も韻に意識的なMCの一人だが、初っ端から【はあ?と】と【「ハード」】で乗り切ろうとするなど同音ライム4連打に対する練度と解像度があまり高くないことが透けるverseになってしまっている。構成の上では3連打してから(中略)を挟んでいるので4連打でもない。【データキル】が地味に聞いたことがない。【データキル】が言葉としてダサい。【「ハード」】を「」で囲ってるのもだいぶダサい。
内容は『証人喚問』という企画そのものへの愚痴と、企画主たるSIXへのチクチク言葉。顔も知らない相手の容姿を悪人面キャラの歴々に準えることの倫理的な是非は置いといて、文意を(相当蛇行しながらも)通しながら韻へ接続する手腕は、企画ありきの曲中で言及するテーマをフワッとさせずに企画そのものと絡めてしまうメタいアイデアも含め他のverseに優っているポイントと言えるが、M.C.ZはSIXとの共作について「宇宙的恐怖に巻き込まれたヤレヤレ系一般人」という斜に構えたスタンスでの不幸自慢みたいなラインをしばしば落としているのでこれも定型っちゃ定型。
因みに(中略)部分では
 
【なQが急で窮しても
キュンキュンさせる邪神がご主人
終始 ジューシーな修辞に執心
顔も知らんが 多分悪人ヅラ like】
 
と続けており、後半における、韻を用いた表現としては単調にも映る固有名詞の羅列を【悪人ヅラ】の類例とすることで、繋ぎ無しの「は(ー)とで(ー)たきる」連打を強引にまとめている。
共作で動画を担当することが多い他のM.C.ZメンバーがSIXを多触手神話生物風に描いている流れを汲んで【あとテンタキル】で落とす小ネタがマニアックでナイス。贅沢を言えばそこでも頭で「は」を拾って欲しかった。

9

① 「どうオツに蹴るか」
② 感動追っつかん程
③ own tool披露する
④ 同音通 aha!

9
「own tool」は無理があると感じた(-1)
ラップとして格好いい

10
文に纏まりがありますね。
人によっては句跨りを減点としそうですが、個人的には許容してます。(自分でも多用してるし)

8
残念ながら「4音以上」という裏ルールには違反しているが小節数の少ない中でも無理のない詰め込み具合で「同音通」のワードドロップまで綺麗な流れを作り出していて好印象。

10
前段でも顕著だったが、M.C.Zは『証人喚問』に対して構成でのアプローチを試みている。脚韻っぽく聴こえるように音を小節ごとの末尾に配していく二者に対し、前段の(中略)内から文頭、文中、文全体に細かい韻を散りばめるような踏み方にトライしており、特にキマっているのがこのパート。文を詠みあげる過程で、韻を踏んでいる箇所をフローによって強調するなどして重ねる音響とリズムのパターン、ノれるグルーヴを産むためのキメを短い間隔で配し、それまでのループから一旦外れブレイク的に音を抜いたトラックと合わせることでラップとしての聴き心地を向上させている。
(中略)内の「きゅー」踏み及び「しゅじ/しゅーし/じゅーしー/しゅーじ/しゅーし(踏めてないのでこういう表記になる)」踏みもスタンダードな脚韻に留まらないトリッキーな構成で攻めてはいるものの、いかんせん踏んでいる音数が寂しい。厳密に定められている訳ではないが、「歌詞/貸し/瑕疵/菓子」みたいなんばっか無邪気に踏まれても(ノ∀`)なので、同音ライム4連打しときゃおkとしつつ一定以上の音数を求める姿勢は『証人喚問』の不文律として共有されているところだが、ま、ルールブックには書かれてないんで!と言わんばかりのラフプレイでリズムに振っている。
そんな悪童ムーブに自覚的か否かは当人による釈明を待つとして、ラップを使って実験的ライムを発表する企画にライムを使った実験的ラップを捻じ入れる、初出にして実験的逆張りに走る元気モリモリご飯パワー加減は或る意味M.C.Zの本領であり、韻の質の差をカバーできているとまでは言い難い小手先の細工ながらプレイヤーなりの試行錯誤を凝らし、音をピックして踏んでいく同音ライムの特性を音楽的なグルーヴに活かしてみせた点で『証人喚問』に挑む意義と役割は満たせているのではないだろうか。
【同音通】は、押韻島に浅からぬ縁のあるアーティストSYNCOPEACHが2017年に公開した(準)同音ライムお披露目アンセムのタイトル、転じて同音ライムを嗜む一部の奇矯なライマーをぼんやり指す語彙。コンセプトとしては『証人喚問』、そして全編同音ライムで踏み通してしまった宇宙を揺るがす超傑作にして大問題作「同音ライム界のさようなら、ドラえもん」こと『四面楚歌』の先駆けかと実しやかに語られるクラシックであり、事実、REMIXやオマージュを誘発するムーブメントを巻き起こした点でも共通している。怪蠱厨も肩をブン回しながらREMIXをドロップしたクチで(当時から同音ライムに対するツメの甘さを露呈していた)、『証人喚問』への参加に寄せてその文脈を引っ張ってくる辺りはヘッズからすれば“理解”ってるね、といったところか。
本パートのライムのうち【動追っつ】以外は当該REMIXなど別の曲で使用されている、所謂既出韻。個人的に使い回しは別にプレイヤーの裁量に委ねればいいしセルフサンプリング兼再構築として上手くいってれば尚のこと上等と思っているので、寧ろ評価したいポイントかな。
【aha!】はマジで何?

たくさんのコメントありがとうございました。

(集計・編集/SIX)



《企画》視聴者参加型・別解ライムグランプリ

概要

お題フレーズに対してどのような韻を踏めるか、作者と視聴者が対戦する競作企画。
視聴者からの韻投稿には、ニコニコ動画のコメント機能を利用する。

手順

  1. お題フレーズを決定

  2. 先攻(作者)は、韻を動画で提出

  3. 後攻(視聴者)は、韻をコメントで提出

実施例

SIX vs LISTENERS「Thousand Rhymes」

(企画/SIX)

関連項目

  • 別解ライムグランプリ

  • ニコニコ動画



《付録》同音ライム4連打マイクリレー2024の暴走

前回のあらすじ

同音ライム4連打マイクリレー2024を完成させるために時空転移を繰り返すSIX。
38875回目の2024年8月は、これまでになく順調な進行を見せていた。
そんなある日、ゴオウインが参加辞退を申し出る。

計画の綻び

ゴオウインは公民館に入ってくると、申し訳なさそうに告げた。
「やっぱり同音ライム4連打は気が乗らないので、今回は辞退させてください」

「――!」
SIXは息を飲んだ。

だが、そんなSIXと同じく、言葉を発したゴオウイン本人も驚いた表情を浮かべていた。

「『やっぱり同音ライム4連打はあまり気が乗らないので、今回は辞退させてください』」
ゴオウインは、もう一度同じ言葉を口にした。

失われた記憶

「……これ、前にもやりませんでしたか?」

「『やっぱり同音ライム4連打はあまり気が乗らないので、今回は辞退させてください』」
「以前にもこう答えたような気がする」
「それも一度や二度ではなく、俺は何度もこの台詞を返している」
「思い出したぞ……」

「……どういうこと? 気のせいじゃない?」
SIXは何気ない口調で返した。

「そして」
「俺が参加辞退を伝えるとSIXさんは残念そうにこういう」
「『今回こそはと思ったが、不完全だったか』」
「それからラジオのような機械を操作して宣言する」
「『《タイム・スクイーザー0》、2024年2月1日』」
「そうですね?」
ゴオウインはSIXを睨み、彼の返答を待った。

「……ゴオウイン」
「なぜ“前回”の記憶を持っている?」

【つづく】



《お知らせ》フリーライム出品祭

フリーライムマーケットでは、2024年6月1日(土)~2024年6月30日(日)の間、在庫補充のための“フリーライム出品祭”を開催中です。
こちらは“1ヶ月間、毎日1件の韻を書き下ろし、フリーライムマーケットに出品する”という参加型企画となっております。
ぜひ皆様のご協力をよろしくお願いいたします。

(文/SIX)


今週のリリース情報

  • 調べていないのでよく分かりません


今週のフリーライムマーケット抜粋


今週の押韻島文庫

別冊SIX

ライマーノーツ

  • 「RUN 1MC(2007x2018)」解説(2024.5.31)

  • 「無関係者各位」解説(2024.5.31)

  • 「ラップアンドビーツは突然に」解説(2024.5.31)

  • 「eddy」解説(2024.5.31)

  • 「oldie」解説(2024.5.30)

  • 「tempest」解説(2024.5.29)

  • 「拝啓、涅槃にて」解説(2024.5.29)

  • 「Karma」解説(2024.5.29)

  • 「stay gold」解説(2024.5.28)

  • 「眠り姫」解説(2024.5.28)

  • 「四面楚歌」一致音数メモ(没ライン編)(2024.5.26)

関連リンク


今週の押韻島地下城

  • 最近立ち寄っていないのでよく分かりません


編集後記

今週号の編集担当、SIXです。
好きなものは録音以外のあらゆるもの、嫌いなものは録音です。
よろしくお願いします。

(文/SIX)


愛読者アンケート

以下のリンクより、ご意見やご感想をお気軽にお寄せください。
今後読みたい記事のリクエストも募集しています。


次号予告

  • 《特集》SYNCOPEACH「同音通」を語る

  • 《インタビュー》素材ライムとキモオタマッカーサーの真実

記事内容は変更になる場合があります。


編集 SIX
発行 押韻島公民館

2024.6.2

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