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【短編小説】6/24『未確認だと確認したい!』

 夜空をゆっくりと移動する光の粒を見つけ「お、飛行機」と呟いた次の瞬間、その光が眼前に現れ『ブブー! 不正解!』と頭の中に言って、正解を言わぬまま夜空へ戻りゆっくりと消えた。
 その日から世界中の乗り物を研究し早幾年。ついに【未確認飛行物体】と呼ばれているであろう乗り物の開発に成功した。未確認だから確定はできない。
 あの日消えた乗り物と同じように、ゆっくりと夜空を飛ぶ。
 機体を見た人が発した言葉が聞こえるように設定したけど、誰も感想なんて言わない。
 あの日の私と同じ気持ちを誰かに味わわせてやるぞ! と息巻いていたのに、とんだ肩透かしだ。
 なんだ、つまらん。と窓の外を見て驚愕した。同じ速度で飛ぶ物体のカタチが、写真でよく見る定番の未確認飛行物体と一致していたからだ。
「ゆ、ユーフォ―……」
 驚いて呟いた次の瞬間、頭の中にあの日と同じ声が聞こえた。
『おまえもな』

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