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【短編小説】6/25『無駄にしない努力』

 詰め替えられる日用品が好きだ。
 まだまだ使える丈夫な容器を捨てるのが勿体ないと思っていたけど、中身だけ売ってることが少なくて、なかなかのジレンマだった。
 最近の【資源を無駄にしない】という風潮により、詰め替え製品が豊富になってきて、待ち望んでいたよと諸手を挙げて祝福した。
 無駄にしないで済むのに加えて、選択肢が増えて嬉しかったのだ。
 本当は量り売りをしてほしいくらいだけど、洗剤なんかの日用品でその販売方法は難しいのもわかるから、諦めてパウチ容器のものを買っていた。
 少しの罪悪感を抱えながら使い終わったパウチを捨てていたのだけど、最近になって一部のパウチ容器を回収してくれる場所があると知った。
 回収ボックスが置かれた施設は自宅から少し距離があるけど行けなくはないから、ある程度溜まったタイミングで出しに行ってる。
 少しでも環境破壊を食い止めるお手伝いができていたらいいのだけど。
 それはさておき、最近なんだか胃の調子が悪いんだよな。あと、視界も少し、ぼやけてきた。
 部屋の片隅にある保冷庫の中を確認する。あったあった、スペアのパーツ。
 自分の細胞から培養した自分専用のパーツを保冷庫から取り出して期限を確認。すぐに詰め替えるための手続きを予約する。
 自分で詰め替えられないのが難点だけど、悪いまま放っておくのも良くないはず。
 限りある自分の身体(うつわ)だもん。ちゃんと定期的に中身を詰め替えて、永く使ってあげないとね。

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