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【短編小説】3/25『ブンブンなシッポ』

 ご主人が「さて、行くかぁ」と伸びをしたらそれが合図。
 ぼくは嬉しくてわーい! ってなって、気づいたらシッポがピョンってなってる。
「ほら待って。リード付けないと危ないから」
 はぁい!
 座って待つけどシッポの動きが止められない。顔もずっと笑顔のまま。だって嬉しいんだもん!
 ご主人も同じように笑ってくれて、ぼくたちはいつもニコニコしながら家を出る。
 ご主人より前を歩くと“アブナイ”みたいで、いつも道路に出る前は“マテ”する。
 そうして“ダイジョウブ”な河原に到着。川から離れた道を歩く。
 ご主人、今日も道路が暖かいです! って見上げるとご主人もぼくを見てニコニコ。
 ご主人、あっちからおともだちが来ます! って見上げるとご主人もニコニコ。
 ご主人とおともだちのご主人がお話してる間に、ぼくもおともだちと交流する。
 おともだちはぼくと一緒で、毎日しあわせ! って感じだって。
 おともだちとお別れして、また違うおともだちと交流して、ってしてたら、あっという間にお散歩コースが終わろうとしてる。
 やだやだ、もっとご主人とお外でお散歩する!
 って駄々をこねたら、ご主人は笑ってぼくのことを写真に撮った。
 その写真が“ばずった”? みたいで、ご主人は大喜び。
 そのあとから知らない人がぼくに会いに来てくれるようになった。
 みんな可愛がってくれるし喜んでくれるけど、みんななんで初めましてなのにぼくの名前しってるんだろ?
 ユウメイ? がよくわからないけど、初めましての人もご主人も嬉しそうだし、ぼくも嬉しいからまぁいいや。
「さて、行くかぁ」
 ご主人が伸びをして、ぼくのシッポはブンブンブン。
 すれちがう人がみんな、ぼくを見てニコニコ。
 みんなが嬉しそうなのを見てご主人も嬉しそうで、ぼくもとっても嬉しい。
 ぼくは今日も、ご主人と一緒に笑ってる。

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