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【短編小説】2/17『望まぬカプセル』

 親ガチャ、なんて言葉を聞いた。
 ホントのガチャは欲しいのが出るまで引き直せるけど、親はできない。一度決まったら一生そのまま。
 たまに変わることもあるけれど、【血が繋がった両親】はこの世に二人しかいない。
 でもそれって親にとってもそうだよね。【子ガチャ】。
 生んでみて、育ててみるまでどんな子が出たのかわかんない。
 親が幸せなら子も幸せ、と限らないように、子が不幸なら親も不幸とは限らない。
 だけど母さんはどうやら、ボクを生んで不幸だと思ってるみたい。周りの兄弟姉妹とは違う見た目のボクを生んで後悔してる。
 ならばいっそ、目の届かない場所へ行ってしまおう。
 羽ばたくにはまだ未発達の翼を広げてなんとか見知らぬ場所へ移り住んだ。
 様々な人間と出会い、邪険にされたり優しくされたりしながら、つらい季節を乗り越える。
 どこに行けばいいのかわからないのに、身体が勝手に動く。あちらへ、あちらへとなにかの衝動に追い立てられ、その場から飛び立つ。
 月日が経ち、僕は僕の正体を知った。憧れていた存在が、僕の仲間だったなんて。

 育ったいまになってわかったんだ。
 僕の本当の親は、あそこにはいなかった。だってこんなにも見た目が違う。
 奇跡的に再会できた育ての親と義理の兄弟姉妹に声をかけたけど、僕のことがわからないみたいでそそくさと逃げられてしまった。
 その後ろ姿に「育ててくれてありがとう」って声をかけて、僕も移動する。
 欲しくはない【ガチャ】を渡されて思い悩んだだろうってことも、いまならわかるから。

 僕の本当の親はいまどこにいるのか……。短いこの命の途中で、見つけることができるだろうか。
 そうして僕は今日、また旅立つ。住みやすい場所と、本当の両親を探しに、この湖から……。

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