【短編小説】1/19『コア・ステージの歌姫』
ワタシが歌えば世界は動く。でもそれを知っているヒトはいない。
ワタシはこの星の中心で歌う歌うたい。
星が怒ればなだめるように、星が落ち込めば励ますように。
いつからそうしていたかは覚えていない。気づいたらここにいて、気づいたら歌っていた。
星の感情は周囲の温度でわかる。ヒトの体温のようなもの、だろうか。
知識として知っているけど、実際にどんなものかはわからない。
ワタシいつまでここで歌を歌うのだろう。この命が尽きるまで? この星が消えるまで。
今日もワタシは歌をうたう。誰かに聞かせるわけじゃなく、この星のために、生きるすべてのもののために。たとえ地表でなにが起きようと。新たな生物が誕生しようとも、いつか絶滅しようともワタシは歌う。ワタシのために。
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