【短編小説】6/20『white on white』
カレーと同じように、ご飯にシチューをかけるって言ったら驚かれたんだけど、なんでカレーは良くてシチューはダメなのかが理解できなかった。
どっちも同じ、とろみのついたご飯に合うおかずだと思ってる。
シチューにはパンでしょって言われるけど、カレーだってパンと一緒に食べるじゃん。なんでそんなに否定されなきゃなんないんだ。
色か。白いご飯にホワイトシチューがダメなのか。ブラウンシチューやビーフシチューだったらいいのか。
そう言ったら、カレーはおかずや主食だけどシチューはスープでしょ。スープはご飯にかけないじゃん。と反論された。
え、私お味噌汁ご飯にかけるし、サッと食べたいときはインスタントのコーンクリームスープをご飯にかけてその上からお湯かけて即席リゾットみたいにして食べるけどって言ったらちょっと退かれた。
そんでわかったんだ。
食に対する意識が根本的に違うんだって。
あなたはあなた、私は私。もうそれでいい。
にしても、なんでこんなにプンスカしてるんだ私。
ふと冷静になって考えて、あ、お腹減ってるからだって気づいた。
議論していた相手とバイバイまたねして、帰るついでにスーパーで買い出しする。今日はもう絶対シチューライスの口。
レトルトでも良かったけど、なんだか煮込みたい気分だからシチューのルウを一箱、カゴに入れた。
生鮮食品売り場をウロウロしながら、具材はなににしようかと物色する。
野菜はじゃがいも、玉ねぎ、にんじんあたりが割と定番? あ、ブロッコリーも美味しいよね。
お肉はなににしよう。鶏か豚か牛……鮭なんかもいいよねー。
よし、決めた。
今日は鶏肉が安かったから鶏肉がメインのシチューにした。
クツクツ煮込んだシチューを熱々のご飯にかけて、いただきまーす。
んー、これこれ。濃厚なホワイトソースが甘いご飯に絡まって、なんとも優しい味。
こんなの寒い日に帰ってきてすぐ出てきたら泣いちゃうね。あぁ美味しい。
あまりの美味しさにおかわりまでしてようやく満足した。
シチューライス否定派に、いつか食べてみてもらいたい。食べてみて、それでもダメなら無理強いしないから。
あーあ、この美味しさ、もっと世の中に広めたいなぁ。
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